【USP】 †
ドイツのヘッケラー&コッホ社が1993年に開発した自動拳銃。
USPとはUniversale Selbstladepistole(英語で汎用自動拳銃)の略である。
設計はM1911系をはじめとする大口径モデルの好まれるアメリカ市場をかなり意識しており、以前のP7?などでは強度上の問題で限界のあった.45ACP弾にも、大型化することで対応している。
また、9mmパラベラムと.40S&W弾では、弾倉と銃身組み込み済みのスライドなどの部品を交換することで使用弾薬を変更できる。
安全装置にはコントロールレバーというコック&ロックとデコッキングの双方が可能なセーフティを備える。
このコントロールレバーには、位置や機能、シングルアクションの有無、コントロールレバー自体の有無によって10のバリエーションがあり、使用者が好みや用途に応じて選択できるようになっている(下表参照)。
ヴァリアント1 | シングル/ダブルアクション。 後方から見て左側にコントロールレバーがあり、セフティ、デコッキング両方の機能を持つ。 |
ヴァリアント2 | ヴァリアント1のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。 |
ヴァリアント3 | シングル/ダブルアクション。 後方から見て左側にコントロールレバーがあり、デコッキングのみの機能を持つ。 |
ヴァリアント4 | ヴァリアント3のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。 |
ヴァリアント5 | ダブルアクションのみ。 後方から見て左側にコントロールレバーがあり、セフティの機能を持つ。 |
ヴァリアント6 | ヴァリアント5のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。 |
ヴァリアント7 | ダブルアクションのみ。コントロールレバーが無い。 |
ヴァリアント9 | シングル/ダブルアクション。 後方から見て左側にコントロールレバーがあり、セフティのみの機能を持つ。 |
ヴァリアント10 | ヴァリアント9のコントロールレバーを後方から見て右側としたもの。 |
他のバリエーションを含めると、多数の軍、警察、国家機関等に採用されており、9mmパラベラム仕様は、P8の名称で現在のドイツ軍の制式拳銃になっている。
日本では警察のSAT?や陸上自衛隊の特殊作戦群、海上保安庁のSSTに配備されている。
スペックデータ †
口径 | 9mm |
全長 | 194mm |
銃身長 | 108mm |
重量 | 780g |
使用弾薬 | 9x19mmパラベラム弾、40S&W弾、.45ACP弾、.357SIG弾(USP コンパクトのみ) |
装弾数 | 15+1発 13+1発 12+1発 |
作動方式 | ダブルアクション・ティルトバレル式ショートリコイル |
銃口初速 | 350m/s |
有効射程 | 50m |
バリエーション †
- USPコンパクト:
警察向けモデル。
装弾数は9×19mm弾は13+1発、.40S&W弾と.357SIG弾では12+1発、.45AUTO弾では8+1発と、小型化しながらも多弾装を実現している。
- USPタクティカル:
銃口にサプレッサー?装着用のネジを設けた特殊部隊向けモデル。
口径は9×19mmと.45AUTOのみ。
- USPコンパクト・タクティカル:
コンパクトの銃口にサプレッサー装着用のネジを設けたモデル。
- USPエキスパート:
Mk.23を元に開発された競技用モデル。
5.19インチバレル。ノーマルのUSPと違い、フレームのダストカバー部からスライドが突き出ている。
9×19mm、.40S&W、.45AUTO弾のバリエーションがあり、それぞれ、18+1発、16+1発、12+1発の多弾数である。
- USPマッチ:
競技用モデル。
競技用に特化したため、銃身前部に大型のバレルウェイト(コンペンセイターではない)を装着している。
その他、USP TACTICALの装備とほぼ同等。
- USPエリート:
6.2インチバレルの競技用モデル。銃身回りのスライドが延長されている。
- P8:
ドイツ連邦軍に制式配備された際の名称。
- P10:
USPコンパクトのドイツ連邦軍制式採用版の名称。
小型化された以外にはP8と変わらないが、コンパクトと比べ、グリップ下部が若干斜めに突き出ている。
- P12:
USPタクティカル(.45AUTO弾仕様)のドイツ連邦軍制式採用版の名称。
特殊部隊向けとされる。