*&ruby(てぃーゆうじゅうろく){【Tu-16】}; [#y024319e]
旧ソ連のツポレフ設計局が開発した[[戦略爆撃機]]。~
[[NATOコード]]は&ruby(バジャー){Badgar};((ロシア語でアナグマの意。))~
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Tu-16は、戦後量産されたツポレフ製[[爆撃機]]の中では最も生産数が多い機体（ソ連/ロシアで約1,515機、中国は現在も生産中）で、1940年代後期から開発を開始。~
元々コピー品であるソ連版[[B-29]]の[[Tu-4「ブル」>Tu-4]][[爆撃機]]の胴体やシステムを流用しており、加えて新型の後退角付き主翼・降着装置・双発ジェットエンジンを装着した。~
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基礎的な部分はTu-4からの流用だったため開発時間はさほどかからず、1952年に初飛行（名称タイプ88）、1954年から[[ソ連軍]]への引渡しが開始され、タイプも爆撃型・偵察型・電子戦型・電子妨害型・空中給油型・情報収集型・[[雷撃機]]型等多く製造された。~
タイプが多いせいか、兵装の方も多種多様で[[通常爆弾]]・[[核兵器]]・[[爆雷]]・[[魚雷]]・[[機雷]]の他、[[KS-1「コメット」（AS-1「ケンネル」）>AS-1]]・[[K-10（AS-2「キッパー」）>AS-2]]・[[Kh-20（AS-3「カンガルー」）>AS-3]]・[[Kh-22（AS-4「キッチン」）>AS-4]]・[[KSR-2（AS-5A「ケルト」）>AS-5]]・[[KSR-5（AS-6「キングフィッシュ」）>AS-6]]等の大型の[[空対艦>対艦ミサイル]]/[[対レーダーミサイル]]を搭載出来る。~
固定武装には尾部に[[NR-23]] 23mm[[機関砲]]を2門搭載しており、西側空軍の戦闘機が[[スクランブル]]でTu-16に接近した時には、必ずと言っていいほど銃口を向けられていたと言う。~
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西側への初公開は、1955年にモスクワの「赤の広場」で行なわれた航空記念祭で、この時は54機ものTu-16が赤の広場上空を飛行し、[[NATO>北大西洋条約機構]]関係者を驚かせた。~
その後、1990年代に[[ロシア軍]]から退役するまで、極東アジア地域・ヨーロッパ地域にTu-16が西側諸国の偵察のため多数出没している。~
日本に飛来した中で一番有名な出来事は、1987年12月9日に[[ソ連軍]]のTu-16 3機が沖縄本島に飛来した事で、11分にわたる領空侵犯を行った。（自衛隊が創設以来初めて警告射撃を行った事件として有名である。）~
また、艦船に異常接近する場合もあり、1980年6月27日には、新潟県の佐渡島北方約110kmの日本海で、[[海上自衛隊]]の[[輸送艦>戦車揚陸艦]]「ねむろ(LST-4103)」の目の前で墜落し、同艦が乗員3人の遺体を収容するという事故を起こしている((これより前の1968年5月にもノルウェー海を航行中の[[アメリカ海軍]]の空母「[[エセックス]]」に対して異常接近を行って墜落し、7人が死亡する事故を起こしている。))。~
中東地域にもエジプトやイラクに輸出され、[[第3次中東戦争>中東戦争]]・[[イラン・イラク戦争]]に参加している。~
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現在では、1990年代に[[ロシア軍]]から退役したため純粋なTu-16は存在しないが、中国向けに改良され[[ライセンス生産]]された西安 轟作6（H-6）が、現在でも中国軍で運用されている。~
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**スペックデータ [#t5bc63d5]
-Tu-16/轟作6~
|乗員|6名|
|全長|34.80m|
|全高|10.36m|
|全幅|32.99m|
|機体重量&br;（自重/全備）|37,000kg/75,800kg|
|[[エンジン]]|ミクーリン [[RD-3M-500>AM-3]][[ターボジェット]]（[[推力]]9,520kg）×2基&br;渦噴8（WP-8）ターボジェット（RD-3M-500の[[ライセンス生産]]品、推力93.17kN）×2基（轟作6）|
|[[燃料]]搭載量|34,360kg|
|飛行速度&br;（最大/巡航）|1,050km/h / 750〜850km/h|
|[[上昇率]]（海面上）|N/A|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|12,300m/13,100（轟作6）|
|離着陸距離&br;（[[離陸]]/[[着陸]]）|2,200m/1,200m|
|[[航続距離]]|4,800km（AS-4対艦ミサイル2基搭載時）/6,000km（轟作6）|
|武装|NR-23 23mm機関砲×2基、対艦/対レーダーミサイル×2発（AS-4、AS-5、AS-6など。）&br;対艦ミサイル×2発または巡航ミサイル×6発（鷹撃6（YJ-6）、空地88（KD-88）、&br;空地63（KD-63/鷹撃63）（轟作6H）、東海10（DH-10）（轟作6K））|
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-Tu-104~
|乗員数|7名|
|座席数|50〜100名|
|全長|40.05m|
|全高|11.90m|
|翼巾|34.54m|
|翼面積|184��|
|空荷重量|41,600kg|
|最大離陸重量|41,600 kg|
|[[エンジン]]|ミクーリン AM-3-500 ターボジェット（推力95.1 kN）×2基|
|速度&br;（最大/巡航）|950km/h / 750km/h|
|巡航高度|11,500m|
|[[航続距離]]|2,650km|
|[[上昇率]]|10m/s|
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**Tu-16の派生型（カッコ内は生産・改修機数）[#k252603d]
-Tu-88：~
原型機および生産前機。原型機は別名「88計画機」、「N型航空機」とも呼ばれた。~
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-Tu-16 "バジャーA"：~
中距離爆撃機として開発された通常型。自由落下爆弾を最大9トン搭載可能。~
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-Tu-16A（453機）：~
核兵器運用能力を持つ戦略爆撃機型。この生産数はシリーズ中最多となった。~
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-Tu-16V（3機）：~
[[水素爆弾]]の運用能力を持つ戦略爆撃機型。~
1961年10月30日に行われた「[[ツァーリ・ボンバ]]」の投下試験に使用された。~
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-Tu-16B：~
エンジンをM-16-15（RD-16-15）に換装した中距離爆撃機型。~
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-Tu-16K：~
対艦ミサイル運用能力を持つ長距離ミサイル爆撃機型。~
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-Tu-16K-10 "バジャーC"（216機）：~
K-10（AS-2）対艦ミサイル搭載型。~
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-Tu-16K-11 "バジャーG"：~
Kh-16（KSR-2）およびKh-26（KSR-5）対艦ミサイル搭載型。~
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-Tu-16K-10-26：~
KSR-5（AS-6）およびKSR-2（AS-5）対艦ミサイル搭載型。~
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-Tu-16KS "バジャーB"：~
KS-1「コメート」（AS-1）対艦ミサイル搭載型。インドネシアとエジプトに輸出された。~
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-Tu-16KSR：~
KSRおよびKSR-2[[対艦ミサイル]]搭載型。~
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-Tu-16P「ヨールカ((ロシア語で「樅の木」の意。))（"バジャーH"）」：~
電子戦機型。~
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-Tu-16P「ブケート((ロシア語で「花束」の意。))（"バジャーJ"）」：~
電子戦機型。~
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-Tu-16P"バジャーL"：~
[[ELINT]]機型。~
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-Tu-16Ye"バジャーK"：~
電子戦/[[ELINT]]機型。電子情報収集装置や妨害装置を搭載した。胴体下面に複数の張り出しがある。~
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-Tu-16Z/N：~
空中給油機型。~
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-Tu-16S：~
[[洋上捜索救難機>捜索救難]]型。~
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-Tu-16G（Tu-104G）：~
郵便機型。また、アエロフロートの乗員訓練用にも用いられた。~
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-Tu-16KRM：~
[[無人標的機>無人機]]の空中発射プラットフォームとして開発された[[ドローン]]母機。~
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-Tu-16T：~
ソ連海軍が運用する[[雷撃機]]型。[[魚雷]]や[[機雷]]、[[爆雷]]を搭載。~
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-Tu-16R "バジャーE"：~
長距離偵察機型。~
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-Tu-16RM-1"バジャーD"：~
洋上偵察機型。~
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-Tu-16RM-2"バジャーF"：~
電子情報偵察型。翼ポッドに受信装置を搭載。~
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-Tu-16「ツィクローン((ロシア語でサイクロンの意。))」：~
気象観測機型。~
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-Tu-104：~
[[旅客機]]型。民間（アエロフロート航空）でも使用されている。~
--Tu-104：初期生産型。定員50名。~
--Tu-104B：最も多く生産された型。エンジンを改良し、定員を70名にした。~
--Tu-104D：定員を85名にした型。~
--Tu-104V：A型の改修型。定員を100名にした。~
--Tu-110：エンジンを4発にした試験機。~
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***中華人民共和国での派生型 [#u5e43f37]
-H-6A：~
中華人民共和国国内で[[ライセンス生産]]した空軍向け量産型。~
エンジンはRD-3M-500をライセンス生産した渦噴8（WP-8）ターボジェットエンジンを搭載する。~
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-H-6E：~
H-6Aを改修し、20Ktの核爆弾1発を搭載できるようにした核攻撃専用型。~
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-H-6B：~
偵察機型。~
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-H-6C：~
電子戦装備など[[アビオニクス]]を強化した改良型。~
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-H-6D：~
対艦ミサイルを運用可能にした海軍型。~
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-H-6F：~
H-6A/Cの近代化改修型。~
ドップラー航法レーダーと[[GPS>全地球測位装置]]、[[レーザー]][[慣性航法装置]]を統合した航法システムを搭載した。~
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-H-6H：~
KD-63（空地63/鷹撃63）[[巡航ミサイル]]2発を搭載する型。~
胴体後部の機関砲は撤去され、ミサイルと機体間の[[データリンク]]に使用するレドームが装備されている。~
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-H-6I：~
エンジンをイギリスのロールス・ロイス製スペイ512-5W×4に換装した機体。~
エンジン調達難から試作のみに留まる。~
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-H-6U/UD：~
空中給油機型。UD型はH-6Dを改修した型で、U型は空軍、UD型は海軍航空隊に所属する。~
給油方式は両機とも[[プローブアンドドローグ]]方式である。~
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-H-6M：~
2002年の珠海兵器ショーでその開発が明らかにされた機体。翼下に対艦ミサイル4発の搭載が可能。~
現在少数機が海軍航空隊に配備されている。~
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-H-6K：~
現在開発中の巡航ミサイル搭載型。~
翼下に6発の東海10型(DH-10)巡航ミサイルの搭載が可能。~
エンジンは従来の渦噴8（WP-8）からロシア製のD-30KPターボファンエンジンに換装され、航続距離も延伸しているとのこと。機体構造やアビオニクスにも改良が施されている。~
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#ref(Tu-16.jpg)
Photo:Photo:Russia air force
関連:[[Tu-4]] [[Tu-22M]] [[Tu-95]] [[Tu-160]]
