【TOS-1】(てぃーおーえすいち)

ソ連/ロシアが1980年代に開発した多連装ロケットシステム愛称「ブラチーノ」。
燃料気化爆弾の運用に特化しているため「重火焔放射システム」と分類する資料もある。

中古のT-72戦車*1から砲塔を撤去してロケットランチャーに改装したもの。
車体上部に220mmロケット弾発射機と、2名用の小型砲塔を装備している。
T-72をベースにしているためNBC防護装置も搭載されている。

装填するロケット弾有効射程は500m〜3,500m。
砲兵任務には利用できない短射程であり、主砲を換装された主力戦車と見る方が運用実態に近い。
弾種は燃料気化弾頭のみ。正面幅数十メートル、縦深数百メートルの面制圧が可能。

旧ソ連軍のアフガニスタン侵攻において試験投入されたのが記録上最初のバトルプルーフ
ソ連崩壊後も、1999年の第二次チェチェン紛争において実戦投入されている。
また、2014年にもイラク内戦においてイラク政府側勢力がイスラム過激派組織「ISIS?」に対して投入している。

スペックデータ

乗員3名
全長9.53m
全高2.226m
全幅3.6m
戦闘重量46t
エンジンV-84MS 12気筒ディーゼルエンジン(出力840hp)
最大速度60km/h(路上)
懸架・駆動トーションバー方式
航続距離550km
発射速度30発/15秒
射程500〜3,500m
兵装24連装または30連装220mmロケット弾発射機×1基(弾数24発/30発)
902G 4砲身発煙弾発射器
電子装備火器管制装置(弾道コンピューター、追尾照準器、1D14レーザー側距儀からなる)
車長用にTKN-3A照準器、GPK-59ナビゲーション装置、R-163-50U無線通信装置、R-174インターコム

派生型

  • TOS-1(Ob.634):
    30連装の発射機を持つ初期型。

  • TOS-1A(Ob.634B):
    24連装の発射機を持つ後期型。


*1 イラクに輸出されたタイプではT-90ベースの車体が使用されている。

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