【THAAD】(サード)

Terminal High Altitude Area Defence(終端高高度地域防空)
ロッキード・マーチン社が開発し、アメリカ陸軍への配備を目指している地対空ミサイル
以前は"Theatre High Altitude Area Defence(戦域高高度地域防空)"ミサイルと呼ばれていた。

本ミサイルは、ミサイル防衛において、落下段階での短・中距離弾道ミサイルを大気圏外にて迎撃するものである。
ここで撃ち漏らした弾道ミサイルの迎撃はMIM-104「パトリオットPAC-3(ERINT)」に託されるが、例え成功しても大気圏内(高度20km程度)での核爆発が起これば被害は避けられないと思われる。
このことから、パトリオットPAC-3よりも高高度、成層圏よりも上の高度で目標を迎撃するために本ミサイルが開発された。

具体的には、極超音速で落下してくる弾道ミサイルに対して、大気圏外(最大150km程度?)での空中衝突を演出する。
その相対速度は場合によってはマッハ20にも及び、命中すれば運動エネルギーによって確実に破壊することが可能とされている*1
なお、純粋な対弾道弾迎撃ミサイルであるため、低高度や対航空機での運用は考慮されていない。

ミサイル本体は、"KKV(Kinetic Kill Vehicle)"と呼ばれる弾頭部とロケットブースター部からなる。
発射後は地上から管制を行うが、大気圏外でロケットブースター部を切り離し、後はミサイルに搭載された赤外線センサーとスラスターによって誘導・衝突を行う。

システムは、ミサイルを10発搭載したM1075 PLSトラックランチャー・AN/TPY-2 TMD-GBR(Theater Missile Defense Ground Based Radar)Xバンドフェイズドアレイレーダー*2・それらの指揮情報管制システムBM/C3Iからなる。

2008年、本システムを装備した最初の実戦部隊がテキサス州フォート・ブリスで編成された。

関連:ミサイル防衛 MIM-104(パトリオット) RIM-161(SM-3)

スペックデータ

全長6.17m
直径0.37m
発射重量900kg
推進方式1段式固体ロケットモーター
有効射程200km
射高40〜150km
弾頭運動エネルギー弾
信管直撃
誘導方式慣性誘導+アップデート(中間誘導)/赤外線誘導終端誘導
シーカー高性能赤外線識別シーカー
操舵方式TVC+サイドスラスタ



*1 目標があまりにも超高速なため、通常の地対空ミサイルのように近接信管による爆発では壊しきれず、誘爆の可能性もある。
*2 このユニットのみをミサイル防衛の地上レーダーとしてアメリカ国外へ展開することも考えられており、2006年には青森県の航空自衛隊車力分屯基地に配備されている。

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