【TCAS】(てぃーきゃす)

Traffic alert and Collision Avoidance System(空中衝突防止装置).

航空機同士が空中衝突する危険を抑える目的で開発されたアビオニクス装置。
地上の航空管制に依存せず航空機の周囲を監視し、空中衝突する恐れのある他の航空機の存在を操縦士に警告する。

このシステムを搭載する航空機は、周波数1,030MHzの電波を発するトランスポンダで問い合わせを行い、他の全ての航空機は1,090MHzの周波数を発するトランスポンダで返信する。
これを毎秒数回行うことで、空域に存在する航空機の相対位置や高度・速度を組み込んだ三次元の地図を作り上げ、その後、現在の位置データから将来の位置を推測し、潜在的な衝突の恐れがあるかどうかを判断してメッセージを流す。

現在のグラスコックピット機では、航法ディスプレイにTCASのディスプレイが統合されている。

(機械の常として)たまに誤った情報を出すこともあるが、操縦士は「(航空管制官の情報と矛盾していても)TCASが発する全てのメッセージを『本物の警報』として、優先的に即刻対応せよ」と厳格に命じられている*1

日本では、最大離陸重量5,700kgまたは客席数が19を超え、タービンエンジンを搭載するすべての民間航空機に装備が義務付けられている*2


*1 これよりも更に優先されるのは「対地接近警報装置の警報」「失速警報」「ウインドシア警報」のみである。
*2 根拠法令:航空法施行規則第147条及び付則。

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