【Strv.103】(えすてぃあーるぶいひゃくさん)

「Sタンク」の愛称で知られる、スウェーデン陸軍がかつて配備していた第二世代主力戦車
開発はボフォース社が担当し、1960年に試作車両が製作され、1967年に量産開始された。
射撃と操縦を一人でこなせる構造になっており、世界で唯一ワンマン(乗員1名)戦闘可能な戦車である。

この戦車の最大の特徴として、砲塔を持っていない事が挙げられる。
これは、スウェーデンの森林面積が広く、起伏も多いという地理的特性を活かして敵の侵攻軍を迎え撃つ、待ち伏せ戦術に特化した(どちらかといえば戦車駆逐車に近い)コンセプトで設計されたためである。*1
主砲はL74 62口径105mmライフル砲を車体に固定する形で装備し*2、副武装にはKsp58 7.62mm機関銃を装備する。
車体ごと砲を動かすため、超信地旋回の性能が高く、照準も兼ねて姿勢制御可能な油気圧懸架を採用している。
また、エンジンは巡航用のロールスロイス K60ディーゼルエンジン(出力240hp)に加え、ダッシュ用のボーイング502ガスタービンエンジン(出力300hp)を搭載している。

改修も行われ、浮航用のフロート・スクリーンとドーザーブレードを装着できるようにしたB型やエンジンの換装や生残性の向上を図ったC型が開発されたが、行進間射撃が出来ないなどの問題も多く、後継としてStrv121及びStrv122が導入され退役した。


*1 ちなみに、本車と同時期に開発が進められていた日本の74式戦車も、(砲塔こそ残されたものの)そのコンセプトは類似している。
*2 これにより、砲関係装備を省略できることと砲が動かないことで自動装填装置が採用し易く、それによって発射速度の向上と装填手が廃止でき、車体の小型化が可能となるのである。

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