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【Strv.103】 †
スウェーデン陸軍がかつて配備していた第2世代主力戦車。「Sタンク」の愛称で知られる。
開発はボフォース社が担当し、1960年に試作車両が製作され、1967年に量産開始。1971年までに300両を生産。
1990年代末までに第3世代主力戦車のStrv121(レオパルト2A4)/Strv122(レオパルト2A4改)へと更新されて退役済み。
スウェーデン国内の地勢を念頭に置いた設計で、森林や丘陵で待ち伏せを行う事を想定する。
仮想敵であるソビエト陸軍に数で劣るため、防御戦闘における遅滞戦術に特化した戦車駆逐車的なドクトリンで運用される。
射撃と操縦を一人でこなせる構造になっており、世界で唯一ワンマン(乗員1名)戦闘可能な戦車である。
設計思想上の最大の特徴は、砲塔を持たず、主砲を車体に直接固定している点。
砲塔を持たない事で前面投影面積を減らすと共に内部の空間を確保し、その空洞に自動装填装置を搭載して装填手を廃止している。
エンジンは巡航用のディーゼルエンジンに加え、戦闘時の加速用にガスタービンを搭載。
車体ごと砲を動かす前提のため超信地旋回性能が高く、照準も兼ねて姿勢制御可能な油気圧懸架を採用している。
なお、この構造のため行進間射撃が事実上不可能。
これは開発当時の基準では許容範囲内の欠点だったが、ベトロニクスと対戦車ミサイルの進歩によって致命的な弱点となっていった。
スペックデータ †
製造 | ボフォース社 |
乗員 | 3名 |
全長 | 8.99m |
車体長 | 7.04m |
全幅 | 3.60m(B型) 3.80m(C型) |
全高 | 2.43m |
戦闘重量 | 39.7t(B型) 42.5t(C型) |
懸架方式 | トーションビーム |
エンジン | Strv.103A: ロールスロイス K60 2ストローク直列6気筒液冷ディーゼル(出力240hp) ボーイング 502-10MAガスタービン(出力300hp) Strv.103B: ロールスロイス K60 2ストローク直列6気筒液冷ディーゼル(出力240hp) キャタピラ 553ガスタービン(出力490hp) Strv.103C: デトロイトディーゼル 6V53T 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージドディーゼル (出力290hp) キャタピラ 553ガスタービン(出力490hp) |
変速機 | Strv.103A/B:ボルボ社製ダブルディファレンシャル+トルクコンバータ複合型自動変速機 (前進2段/後進2段) Strv.103C:ボフォース社製自動変速機(前進3段/後進3段) |
登坂力 | 60% |
超堤高 | 0.9m |
超壕幅 | 2.3m |
最大速度 (路上/水上) | 50km/h / 6km/h |
行動距離 | 390km |
兵装 | ロイヤル・オードナンスL74 62口径105mmライフル砲×1門 Ksp.58 7.62mm機関銃×3挺(固定×2挺、対空×1挺) 照明弾連装発射器×1基 |
派生型 †
- Strv.103A:
初期生産型。
- Strv.103B:
排土板と水上浮上航行用の防水スクリーンの展開装置が標準装備された型。
A型にも順次装備された。
- Strv.103C:
近代化改修型。
砲手用照準器のレーザー測遠機をSIMRAD社製のNd-YAGレーザー測遠機に変更。
射撃統制コンピュータをセンチュリオン?中戦車の改良型と同じものに換装。
エンジンをデトロイト・ディーゼル製の6V53Tに換装。
車体側面に増加燃料タンク兼用のサイドスカート、車体前端に対HEAT弾用のスラット装甲を装備。
- Strv.103D:
C型の改修型。
運用ソフトウエアを新規更新し、全天候対応型サーモグラフィー式暗視装置を搭載した。
試作のみ。
- Lvkv VEAK 40:
Strv.103のエンジンおよびトランスミッションと走行装置を流用した車体を持つ自走対空砲型。
試作のみ。