• 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
*&ruby(えすえーえいてぃ){【SA80】}; [#m7792bd3]
Small Arms 1980's~
Small Arms 1980's(1980年代の小火器)~
~
イギリス軍の現用[[突撃銃]]で、軍採用名はL85。~
メカニズムは[[AR-18]]をベースとしている。~
[[銃身]]を交換する事で、[[分隊支援火器]]のL86にもなる事から、L85とL86の両銃を指す総称としてSA80(Small Arms 1980's:1980年代の小火器)とも呼ばれる。~
[[ブルパップ]]式であること以外は、特に何の変哲もない5.56mmNATO弾使用の[[自動小銃]]である。~
イギリス軍の現用[[突撃銃]]/[[分隊支援火器]]。~
設計自体は典型的な5.56mmNATO弾使用の[[自動小銃]]で、機構は[[AR-18]]由来。~
~
.....と書きたいところだが、''驚異的(ないしは「脅威的」)なまでに信頼性が低い銃''としてよく知られており、あちこちで酷評されている。~
具体的には「薬莢を噛む」「フィーディングトラブル」「[[弾倉]]脱落」といった、あり得る限りの全てのトラブルを頻発させた。~
本銃のボルトにはコッキングレバーが直接取り付けられており、これが発射の際に激しく前後に運動する事になる。~
そしてSA80のレバーは、同じような構造の[[AK-47>AK47]]と違って配置も悪く、排出された薬莢がこのコッキングレバーに当たってしまう。~
その結果、排莢スピードが妨げられるだけでなく薬莢が排莢口に挟み込まれ、最悪の場合孔の中に引き戻したりしてしまう。~
[[突撃銃]]がL85・[[分隊支援火器]]がL86名義で制式採用されているが、銃身以外全ての部品が共通。~
このため、L85とL86の両銃を指す総称として "Small Arms 1980's" とも呼ばれる。~

**欠陥 [#xdb0f3ef]
SA80は明らかに欠陥品であり、その工業製品としての劣悪さと、[[制式]]採用した[[軍政]]の失策とによって悪名を馳せている。~
~
[[マガジン>弾倉]]の信頼性も非常に低かった。~
弾薬を押し出すためのスプリングが弱く、殆どの兵士は装填を28発以下に留めていたが、それでも弾薬が途中で止まってしまい、装填不良の原因となった。~
また、マガジン挿入口を広く取ったのは良いが、マガジンキャッチのスプリングが貧弱でマガジンが滑り落ちてしまう事もあった。~
この結果、発射と同時に装填と排莢がどちらも正しく行われず、弾薬が薬室に送り込まれる段階で噛み合って止まってしまったり、薬莢が機関部の中に戻ってしまったりなどして作動不良を引き起こした。~
コッキングレバーを動かして強制排莢したりマガジンを入れ直して撃てればまだ良し、フィールド・ストリッピングしても直らず、機関部が破損して工場送りになる事も珍しくなかったと言われている。~
よく「[[M16]]は[[AK>AK47]]より信頼性が〜」等という議論が為されたりするが、それらとは遠く及ばないレベルであるという。~
ボルトおよびコッキングレバーの構造に瑕疵があり、内部機構が激しく前後に動く事で命中精度を著しく悪化させている。~
[[回転機構]]の設計にも問題があり、「薬莢を噛む」「フィーディングトラブル」などの[[不発]]が多発する。~
[[弾倉]]の信頼性も低く、固定が弱いため[[弾倉]]が脱落したり、スプリングが弱いために装填不良を起こす事が多い。~
誤作動によって機関部の部品が損壊し、[[前線]]では補修不可能な状況に陥った事例も数多い。~
~
そして本当にどうしようもないのが、「ファイヤリングピン折れ」であった。~
この部品が撃鉄に叩かれることで薬莢の最後部を叩き、[[装薬]]に着火して発射されるのだが、ここが折れると撃鉄が機能しても発火が出来なくなってしまうので、やはり工場送りとなる。~
また、金属を多用しているためブルパップ式なのに重量は5Kg近くと、[[FA-MAS]]や[[ステアーAUG>AUG]]などのブルパップ式ライフルは勿論、一般的な[[アサルトライフル>突撃銃]]よりも重い。~
~
そのように不評な本銃だが、何故か2020年頃まで主力火器として使用し続ける事が既に決定している。~
ただ、さすがに不評に過ぎたのか、2000年にドイツの[[H&K>ヘッケラー&コッホ]]社に改修を依頼し、同社の手で大幅な改修を加えられたL85A2へと発展・更新され、これらの欠点は「多少」改善されたというが、この改修でも『ようやく世界標準水準に近くなった』との評価で、未だにその信頼性には大きな疑問が抱かれている。~
~
そんな中、英陸軍[[特殊部隊]]「[[SAS]]」は既に見切りをつけたのか、L85ではなくアメリカ軍の[[M16シリーズ>M16]]、或いはその[[ライセンス生産]]品であるカナダのディマコC7を使用しているようだ。~
(この点については、元SAS隊員であるアンディ・マクナブ氏の著書、「ブラヴォー・ツー・ゼロ」でも語られているとのこと)~
2001年には[[ヘッケラー&コッホ]]社によって改修モデルL85A2に置換され、現行モデルでは上記の欠陥は是正されているという。~

**スペックデータ [#b6157d72]
種別:アサルトライフル~
口径:5.56mm~
全長:785mm~
銃身長:495mm~
重量:4,980g(弾倉に30発装填、4×SUSAT装着時)~
ライフリング:6条右転~
装弾数:30発(箱型弾倉)~
使用弾薬:5.56mmNATO弾~
作動方式:ガス圧利用・ターンロックボルト~
銃口初速:940m/s~
発射速度:610〜775発/分~
|種別|アサルトライフル|
|口径|5.56mm|
|全長|785mm|
|銃身長|495mm|
|重量|4,980g(弾倉に30発装填、4×SUSAT装着時)|
|ライフリング|6条右転|
|装弾数|30発(箱型弾倉)|
|使用弾薬|5.56mmNATO弾|
|作動方式|ガス圧利用・ターンロックボルト|
|銃口初速|940m/s|
|発射速度|610〜775発/分|

**バリエーション [#p7d3285e]
-SA80(L85)IW((Individual Weaponの略)):~
-SA80(L85)IW(Individual Weapon:個人兵装):~
独自に開発した4.85mm弾を使用する試作型。~
後に、5.56mmNATO弾に変更された。~
~
-L85A1:~
正式採用モデル。~
~
-L85A2:~
H&K社による改修型。ガスシステム周りやコッキングハンドルなどの改修が行われている。~
また、AG36(M320)[[グレネードランチャー]]を使用できるようになった。~
H&K社による改修型。~
ガスシステム周りやコッキングハンドルなどの改修が行われている。~
また、[[AG36]](L123A2)[[グレネードランチャー>擲弾発射器]]を使用できるようになった。~
~
-L85LSW((Light Support Weaponの略。)):~
L4(ブレンの改良型)の後継として開発された[[分隊支援火器]]モデル。~
信頼性は劇的に改善され、驚くべき事に、列国の一般的な[[自動小銃]]と同程度の水準に到達している。~
なお、L85A1一丁をA2に改修するために支払われた費用はH&K [[G36]][[自動小銃]]一丁の定価より高い。

> [[ライセンス生産]]や輸入などの手続きで予算が膨れあがるため、実際に[[G36]]を新調するよりは安く済むものと思われる。

-L86 [[LSW]](Light Support Weapon):~
L4([[ブレン]][[軽機関銃]]の改良型)の後継として開発された[[分隊支援火器]]モデル。~
現在は、遠射性能と精度の高さから[[マークスマンライフル]]として運用されている。~
~
-L22A1/A2:~
カービンモデル。ハンドガードの代わりにフォアグリップが取り付けられている。~
カービンモデル。~
ハンドガードの代わりにフォアグリップが取り付けられている。~
A2はピカティニーレールを追加し、イギリス陸軍の戦車兵用装備として配備されている。~
~
-L98A1/A2:~
訓練用モデル。セレクターレバーがなく、ガスシステムを排除しており、グリップ前方まで引き伸ばされたコッキングハンドルを引いて弾薬を発射する。~
-L98 CGP(Cadet General Purpose)Rifle:~
訓練用モデル。Combined Cadet Forceにより使用される。~
~
--L98A1:~
セレクターレバーがなく、ガスシステムを排除しており、グリップ前方まで引き伸ばされたコッキングハンドルを引いて弾薬を発射する。~
~
--L98A2:~
L98A1の後継。機構や操作方法などはL85A2と同一であるが、セミオートのみ。~
~
-L41A1:~
L85A1、L86A1、L98A1で[[.22LR弾]]を射撃できるようにするコンバージョンキット。~
~


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS