*&ruby(えすえーなな){【SA-7】}; [#a3486e7e]
旧ソ連が開発した、東側初の[[個人携帯式地対空ミサイル>地対空ミサイル]]。~
[[NATOコード]]ではSA-7「グレイル」と言い、ロシアでは9K32「ストレラ2(矢の意味)」と言う。~
1960年代半ばに開発がスタートし、1967年には量産化が開始された。~
誘導方式は[[赤外線誘導]]。~
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発射手順は[[IFF>敵味方識別装置]]で敵を確認(使用しなくても発射は出来る)後、射手は使い捨て式のファイバーグラス製容器ごとミサイル本体を発射機に装填する。~
その際、撃鉄を押して[[シーカー]]を作動状態にしておく。~
シーカー・ヘッドが作動を開始すると、目標捜索が始まり、発射機の赤色灯が点灯、そして発射機を目標に向けることで[[ロックオン]]、緑色灯が点灯し信号音が出ると射撃準備完了となる。~
安全距離550m以上で目標に直接当たることで起爆され、命中しない場合は14〜17秒後に自爆する。~
また、夜間でも使用でき、LOMO光学夜間照準装置と組み合わせて使用出来る。~
高度2300mまで到達でき、最大射程は4.2km、重さは発射機5kg、飛翔体9.6kgである。~
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初期型は~
「目標の後方からしか発射出来ない」~
「射角が20度〜30度以下になるとシーカーが地上の熱源を捕らえてしまうため、[[赤外線]]量の少ない[[ヘリコプター]]やレシプロ機に対しては命中率が低下する」~
「晴天時、ミサイルの飛翔方向から20度以内に太陽があればそちらに向かって飛翔する」~
という問題があった。(改良型のSA-7Bではより精巧な誘導装置を採用し、シーカー・ヘッドに新たにフィルターを装着している)~
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SA-7は個人携帯式にも複数タイプがあるが、他にも[[ヘリコプター]]の短射程[[空対空ミサイル]]として[[Mi-24]]や[[ガゼル]]に搭載が確認され、さらに海軍型のSA-N-5「グレイル」が登場し[[フリゲート]]艦等に搭載された。~
輸出も好調で中国・チェコ・スロバキア・エジプト・ポーランド・旧ユーゴスラビア・イラク・シリア・北朝鮮・旧東ドイツ・ベトナム・カンボジア・アンゴラ等に輸出され、国以外にも[[ゲリラ]]や反政府組織等にも裏ルートで輸出されたと言われる。~
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現在では公式には生産を終了(まだ生産されている可能性はあり)していて、[[SA-14「グレムリン(9K34『ストレラ3』)」>SA-14]]に切り替わっている。~
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実戦では[[ベトナム戦争]]・[[湾岸戦争]]等、数々の戦争や[[紛争]]にたびたび登場し、少数ではあるか戦果を残している。~
最近では[[イラク戦争]]後、イラク国内を飛行する多国籍の[[輸送機]]に対し旧[[イラク軍]]の残党兵等が複数発射しているが、今の所[[撃墜]]には至っていない。~
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**スペックデータ [#c9de87ee]
|開発社|Kolomna設計局|
|全長|1.44m|
|直径|7.2cm|
|翼幅|30cm|
|発射重量|9.2kg/9.85kg(SA-7B)|
|誘導方式|パッシブ[[赤外線誘導]]|
|推進方式|2段固体燃料[[ロケットモーター>ロケットエンジン]]|
|最大射程|3,600m(SA-7)/4,200m(SA-7B)|
|最大射高|150〜1,500m(SA-7)/23〜4,300m(SA-7B)|
|最大速度|[[マッハ]]1.5(SA-7)/マッハ1.95(SA-7B)|
|弾頭|[[HE>榴弾]] 破片効果弾頭(1.15kg)|
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**主な種類。 [#q9e875b7]
-9K32「ストレラ2(SA-7)」:~
初期モデル。~
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-9K32M「ストレラ2M(SA-7B)」:~
初期型の改良型。~
[[赤外線]]の探知能力が強化され、弱点だった[[ヘリコプター]]やレシプロ機に対する交戦能力が強化された。~
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-SA-N-5「グレイル」:~
SA-7の[[艦対空ミサイル]]型。~
4発装填の台形発射機に取り付けて使用される。

-紅纓5(HN-5):~
中国の[[ライセンス生産]]型。~
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-サクールアイ:~
エジプトのライセンス生産型。~
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-ワスチョン:~
北朝鮮のコピー品。語の意味は「火縄銃」。~

-アンザMK1:~
パキスタン仕様の改良型。~
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#ref(SA-7.jpg)

Photo:Ukraine Department of Defense

関連:[[SA-14]] [[SA-16]] [[SA-18]]

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