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【SA-7】 †
旧ソ連が開発した、東側初の個人携帯式地対空ミサイル。
NATOコードではSA-7「グレイル」と言い、ロシアでは9K32「ストレラ2(矢の意味)」と言う。
1960年代半ばに開発がスタートし、1967年には量産化が開始された。
誘導方式は赤外線誘導。
発射手順はIFFで敵を確認(使用しなくても発射は出来る)後、射手は使い捨て式のファイバーグラス製容器ごとミサイル本体を発射機に装填する。
その際、撃鉄を押してシーカーを作動状態にしておく。
シーカー・ヘッドが作動を開始すると、目標捜索が始まり、発射機の赤色灯が点灯、そして発射機を目標に向けることでロックオン、緑色灯が点灯し信号音が出ると射撃準備完了となる。
安全距離550m以上で目標に直接当たることで起爆され、命中しない場合は14〜17秒後に自爆する。
また、夜間でも使用でき、LOMO光学夜間照準装置と組み合わせて使用出来る。
高度2300mまで到達でき、最大射程は4.2km、重さは発射機5kg、飛翔体9.6kgである。
初期型は
「目標の後方からしか発射出来ない」
「射角が20度〜30度以下になるとシーカーが地上の熱源を捕らえてしまうため、赤外線量の少ないヘリコプターやレシプロ機に対しては命中率が低下する」
「晴天時、ミサイルの飛翔方向から20度以内に太陽があればそちらに向かって飛翔する」
という問題があった。(改良型のSA-7Bではより精巧な誘導装置を採用し、シーカー・ヘッドに新たにフィルターを装着している)
SA-7は個人携帯式にも複数タイプがあるが、他にもヘリコプターの短射程空対空ミサイルとしてMi-24やガゼルに搭載が確認され、さらに海軍型のSA-N-5「グレイル」が登場しフリゲート艦等に搭載された。
輸出も好調で中国・チェコ・スロバキア・エジプト・ポーランド・旧ユーゴスラビア・イラク・シリア・北朝鮮・旧東ドイツ・ベトナム・カンボジア・アンゴラ等に輸出され、国以外にもゲリラや反政府組織等にも裏ルートで輸出されたと言われる。
現在では公式には生産を終了(まだ生産されている可能性はあり)していて、SA-14「グレムリン(9K34『ストレラ3』)」に切り替わっている。
実戦ではベトナム戦争・湾岸戦争等、数々の戦争や紛争にたびたび登場し、少数ではあるか戦果を残している。
最近ではイラク戦争?後、イラク国内を飛行する多国籍の輸送機に対し旧イラク軍?の残党兵等が複数発射しているが、今の所撃墜には至っていない。
スペックデータ †
開発社 | Kolomna設計局 |
全長 | 1.44m |
直径 | 7.2cm |
翼幅 | 30cm |
発射重量 | 9.2kg/9.85kg(SA-7B) |
誘導方式 | パッシブ赤外線誘導 |
推進方式 | 2段固体燃料ロケットモーター |
最大射程 | 3,600m(SA-7)/4,200m(SA-7B) |
最大射高 | 150〜1,500m(SA-7)/23〜4,300m(SA-7B) |
最大速度 | マッハ1.5(SA-7)/マッハ1.95(SA-7B) |
弾頭 | HE 破片効果弾頭(1.15kg) |
主な種類。 †
- 9K32「ストレラ2(SA-7)」:
初期モデル。
- 9K32M「ストレラ2M(SA-7B)」:
初期型の改良型。
赤外線の探知能力が強化され、弱点だったヘリコプターやレシプロ機に対する交戦能力が強化された。
- SA-N-5「グレイル」:
SA-7の艦対空ミサイル型。
4発装填の台形発射機に取り付けて使用される。
- 紅纓5(HN-5):
中国のライセンス生産型。
- サクールアイ:
エジプトのライセンス生産型。
- ワスチョン:
北朝鮮のコピー品。語の意味は「火縄銃」。
- アンザMK1:
パキスタン仕様の改良型。
Photo:Ukraine Department of Defense