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*&ruby(えすえーじゅうご){【SA-15】}; [#uaacb8b7]
現在[[ロシア軍]]で使用されている、最新鋭の自走式[[短距離地対空ミサイル>地対空ミサイル]]。~
[[NATOコード]]では「SA-15『ガントレット((Gauntlet：篭手の意。))』」、ロシアでは「9K330『トール((Тор：ロシア語でトーラス（輪環面/体）の事を指す。))』」と呼ばれる。~
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SA-15は前作[[9K33「オサー（SA-8『ゲッコー』）」>SA-8]]の後継として1970年代から開発された。~
車両には自走式キャタピラタイプの9A330装軌車(([[2K22「ツングースカ」>2S6]]と同じくGM-569A装甲車をベースにしている。))を使用、全システムが車両中央のターレットに集約されており、1台での運用が可能である。~
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捜索[[レーダー]]は「ドッグイア」パルス/ドップラー[[フェイズドアレイレーダー]]で最大索敵距離は約25km、[[カタログスペック]]では最大48個の目標を補足でき、その中から脅威である10個の目標を追尾することができる。~
移動時はマストを折り畳むことができる。~
初期型は機械捜査式だが、9K331M「トールM1」以降は電子操作式になっており、探知距離や目標数が増加している。~
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誘導レーダーにはシステム前面に取り付けられた「スクラムハーフ」フェーズドアレイ迎撃レーダーを使用し、最大探知距離は20km、最大2発のミサイルを誘導することが可能である。~
このレーダーは固定式で、ミサイル誘導時はシステム全体を旋回させる。~
このレーダーは固定式（仰俯のみ可能）で、[[ミサイル]]誘導時はシステム全体を旋回させる。~
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[[ミサイル]]は9M330又は9M331を使用する。~
ミサイルは2段式の固体推進で最大射程は12km、弾頭には14.5kgの[[HE>榴弾]]破片効果炸薬が装填されている。~
誘導方式は[[TV誘導>可視光誘導]]及び[[指令誘導]]を使用している。~
発射方式にはコールド・ローンチ方式の[[VLS>垂直発射システム]]を採用している。~
攻撃目標には[[航空機]]・[[無人機]]・[[ヘリコプター]]のほか、[[巡航ミサイル]]や[[誘導爆弾]]等の精密誘導兵器も[[撃墜]]出来るという。~
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9K330の1個中隊は9A330自走発射機4両の装備が基本となっている。~
支援装備として9S737「ランジール((Ranzhir：規律の意。))」中隊指揮車両、装輪式トラックから成る9T231再装填支援車両、9T245ミサイル運搬車両が配備される。~
大隊指揮官車には[[BTR-80]][[装甲兵員輸送車]]をベースとしたPU-12Mが使用され、大隊は基本的に[[2K22「ツングースカ」>2S6]]自走対空システム1個中隊と混成されることになっている。~
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[[ロシア軍]]への実戦配備は1991年だが、珍しい事に[[艦対空ミサイル]]型である3K95「キンジャール」（SA-N-9）が先に（1989年）配備された。~
現在ではロシアの他にも、ウクライナ・中国・ベラルーシ・キプロス・インド・ペルーに輸出されている((この他、ベネズエラも発注しており、将来はイランにも輸出される可能性がある。))。~
まだ配備されてから間もないため、これから当分の間はSA-15の後継は出て来ないと思われる。~
#ref(SA-15.jpg)
Photo:Ukraine Department of Defense~
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関連:[[SA-8]]
**性能諸元[#s57f0dc8]
|>|CENTER:''自走発射機''|
|設計社|Almaz-Antey：&br;Antey design bureau（主設計社）&br;MKB Fakel（ミサイル設計社）&br;MNIIRE Altair（海軍型設計社）|
|製造社|IEMZ Kupol&br;メトロワゴンマッシュ（Metrowagonmash）（装軌型設計社）&br;ミンスク・ホイール・トラクター工場（MZKT）（装輪型設計社）|
|乗員|3名|
|全長|7.93m|
|全高|5.1m|
|全幅|3.23m|
|エンジン|V-46-4 V型12気筒[[ディーゼルエンジン]]（出力780hp）|
|全長|7.5m|
|全高|5.1m（[[レーダー]]マスト展開時）|
|全幅|3.3m|
|重量|34t|
|懸架・駆動方式|トーションバー、油圧式変速機|
|[[エンジン]]|V-46-4 V型12気筒[[ディーゼルエンジン]]（出力830hp（630kW））|
|最大速度|65km/h（路上）|
|[[行動距離>航続距離]]|500km|
|最低地上高|450mm|
|[[装甲]]|10mm（車体前面）|
|携行弾数|9M330/9M331ミサイル×8発|
|兵装|4連装[[SAM>地対空ミサイル]]発射機×2基|
|兵装|4連装[[SAM>地対空ミサイル]]発射機×2基&br;（9M330/9M331ミサイル×8発）|
|生産台数|316輌|
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|>|CENTER:''9M330''|
|全長|3.5m|
|>|CENTER:''9M330/9M331''|
|全長|3.5m/2,900mm|
|直径|235mm|
|発射重量|165kg|
|翼幅|650mm|
|発射重量|165kg/167kg|
|飛翔速度|マッハ2.8|
|推進方式|[[固体燃料ロケットモーター>固体燃料ロケット]]|
|有効迎撃高度|10〜6,000m|
|有効射程|1,500〜12,000m|
|飛行高度|6,000m|
|操舵方式|4枚の操縦翼を使用したガス動的制御|
|弾頭|[[HE>榴弾]] 破片効果（15kg）|
|誘導方式|[[TV誘導>可視光誘導]]及び[[無線指令誘導]]|
**主なバリエーション[#s57f0dc8]
-9K330「トール」：~
9M330ミサイルを使用する初期型。最短迎撃距離2km。~
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-9K331（SA-15）「トールM」：~
9M331ミサイルを使用する量産型。最短迎撃距離1.5km。~
精度が大きく強化され同時に2目標への迎撃も可能になった。~
輸出型も同等の性能だと思われる。~
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-9K331M（SA-15）「トールM1/トールM1T」：~
9M331ミサイル使用する型。最短迎撃距離1.5km。~
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-トールM1-2U：~
2012年に配備が開始された型。~
同時に4目標への迎撃が可能になっている。~
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-トールM2KM：~
戦闘モジュール型。~
システムは自己完結式で運用人員は2名。~
144個の目標のうち、同時に20個の目標を追跡できる。~
~
-9K332「トールM2/トールM2E/トールM2KM/トールMTA/トールMTB/トールMTS」：~
新型の探索レーダーを搭載する型。~
9M331ミサイルを使用。最短迎撃距離1km。~
トールM2Eは6×6輪の装輪装甲車に搭載されている。~
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-3K95「キンジャール（Кинжал）（SA-N-9）」：~
[[4K33「オサーM」>SA-8]]の後継として開発された[[個艦防空ミサイル>艦対空ミサイル]]型。~
愛称はコサックが用いる短剣の名称で、輸出型は「クリノーク((Клинок：ロシア語で「刀身」の意。))」と呼ばれる。~
システムは、9M330ミサイルとPS 4S95[[VLS>垂直発射システム]]、3R95（MR-360）「ポドカット（NATOコード：クロス・ソード）」[[射撃指揮装置>火器管制装置]]によって構成されている。~
MR-360はC(G)バンドの目標捕捉レーダー（最大追尾距離45km）とKバンドの交戦レーダー（最大追尾距離15km）という2種のレーダーによって構成されており、同時に4目標を攻撃することができる。~
[[アドミラル・クズネツォフ級>アドミラル・オブ・ザ・ソビエトフリート・NG・グズネツォフ]][[航空母艦]]、[[ウダロイ級>ウダロイ]][[駆逐艦]]、[[ネウストラシムイ級>ネウストラシムイ]][[フリゲート]]、[[キーロフ級>キーロフ]][[ミサイル巡洋艦>ミサイル艦]]（4番艦のみ）に装備。~
[[アドミラル・クズネツォフ級>アドミラル・オブ・ザ・ソビエトフリート・NG・グズネツォフ]][[航空母艦]]、[[ウダロイ級>ウダロイ]][[駆逐艦]]、[[ネウストラシムイ級>ネウストラシムイ]][[フリゲート]]、[[グリシャ級>グリシャ]][[フリゲート]]「MPK-104」（洋上試験時）、[[キーロフ級>キーロフ]][[ミサイル巡洋艦>ミサイル艦]]（4番艦のみ）に装備。~
~
-紅旗17（HQ-17）：~
9K331Mの中国輸出型。~
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-9K332「トールM2/トールMTA/トールMTB/トールMTS」：~
新型の探索レーダーを搭載する型。~
9M331ミサイルを使用。最短迎撃距離1km。~
装輪型も開発されている。~
--HQ-17A：~
東風汽車公司が製造する装輪型。MZKT-6922に似た6×6シャーシに搭載。~
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--FM-2000：~
輸出型。~
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--FM-3000：~
HQ-17をベースにした射程30kmの地対空ミサイルシステム。~
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