*&ruby(あーるえーえいちろくじゅうろく){【RAH-66】}; [#x93e2e9a]
Boeing / Sikorsky RAH-66 &ruby(コマンチ){Comanche};(北米先住民族のコマンチ族(コマンチェ族とも)から)~
アメリカ陸軍のLHX計画に基づき開発されていた偵察兼[[攻撃ヘリコプター]]。~

LHX(Light Helicopter X)とは、アメリカ陸軍が1980年代に提唱した、一機種で輸送・[[観測>観測ヘリコプター]]・[[攻撃>攻撃ヘリコプター]]を兼ねるという大胆な[[ヘリコプター]]の開発計画であった。~
しかし輸送能力は他の性能と相反しやすいため、1987年に要求から外された。~
[[OH-58]]や[[AH-64]]の後継となりつつ、強行偵察も可能な機種として研究が開始された。機種統合を睨んだ大掛かりな調達計画がなされたため、[[シコルスキー]]は[[ボーイング]]と共同開発し、ライバルの[[ベル]]も[[マクダネル・ダグラス]]と組んで開発する運びとなった。~
ペーパープランを比較検討した結果、1991年に[[ボーイング]]/[[シコルスキー]]案が採用された。~
一説には[[ベル]]/[[マクダネル・ダグラス]]案のほうが性能上優れていたが、[[コスト・パフォーマンス]]などを重視して選定されたといわれる。当時は東欧に民主化の波が押し寄せており、[[冷戦]]体制に変化がおとずれることも予想されたのである。~
実際に、[[冷戦]]体制はその直後に崩壊した。~

不要論をささやかれながらも試作機は1995年にロールアウトし、1996年に初飛行した。~
最前線で使用されることを想定されており、生存性、特に機動性と[[ステルス]]性が重視された。~
複合材を多用した小ぶりな機体には専用に設計されたT800[[ターボシャフト]]が双発で搭載され、非常に高度な機動性を誇る。~
[[コックピット]]はBC兵器に耐えるべく与圧されている。[[フライバイワイヤー]]を採用し、[[ヘリコプター]]には珍しい[[サイドスティック]]式の[[サイクリックレバー]]を備える。~
[[タンデム]]複座だが、通常の[[攻撃ヘリコプター]]とは異なり、前席が[[パイロット]]、後席が[[ガナー]]となっている。これも機動性を重視したがためである。~

本機は[[ヘリコプター]]として初めて本格的に[[ステルス]]を考慮された機体である。~
胴体は二次曲面を組み合わせた外形をしており、機尾には[[ダクテッドファン]]を備える。~
空気取入口はくさび形、[[エンジン]]排気口は胴体脇の下部にスリット状のものを設けるという特殊な方式を採っている。~
[[メインローター]]は5枚ブレードの先端後退角付き、[[ダクテッドファン]]はオフセット配置で、静粛性も配慮されている。~
[[ランディングギア]]や[[ガトリングガン]]は引き込み式になっている。また[[ヘリコプター]]としては珍しく[[ウェポンベイ]]を持ち、左右に[[AGM-114]]を各3発、または[[AIM-92]]を各6発装備することが可能。~
攻撃力や航続力を重視する場合は[[ステルス]]性を犠牲にして[[スタブ翼]]を追加し、さらなる[[ミサイル]]や[[増槽]]を吊り下げることができる。~
また世界各地への緊急展開も意識され、機体は輸送機に搬入させやすく設計されており、たとえ半分解状態で[[輸送機]]に搭載されても、わずか22分で飛行状態にすることが可能となっている。~

細々と開発が続けられていたコマンチだったが、とうとう正式に開発中止が決定された。~

[[無人偵察機>無人機]]が普及し、イラクやアフガニスタンでの戦争で偵察任務で活躍したことから、高価な有人機で強行偵察する意義が薄れたのである。~
しかしながら武装偵察機を欲する声も大きく、代替として安価な[[武装偵察ヘリコプター]]を開発するARH計画が立案された。~
[[ベル]]は[[ベル407>OH-58]]をベースにしたベルARH、[[ボーイング]]は[[OH-6]]の最新型であるA/MH-6Mをそれぞれコンペティションに供し、結果としてベルARHが選定された。ベルARHは[[ARH-70>OH-58]]の名前で米陸軍へ供給される。~

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