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【R-550】 †
R-550 Magic.
フランスのマトラ社が開発した短射程空対空ミサイル。
1975年から生産された「マジック1」と、その後継として1984年から生産された「マジック2」がある。
マジック1 †
本ミサイルは、マトラ社がフランス空軍への納入を目指して開発したものであった。
1969年に開発が始まり、1975年に量産化が開始、フランス初の国産短射程空対空ミサイルとなった。
誘導方式は赤外線誘導で、オールアスペクト発射能力もなく(目標前方からの攻撃は不可)、射程も約3kmと短い「第1世代」の短射程空対空ミサイルだった。
ミサイルとしての能力は、当時、アメリカ軍が使用していたAIM-9D「サイドワインダー」(第2世代)と比較すれば(射程距離や誘導性能等)全ての面で劣っていた。
一方で海外への輸出は好調で、フランス以外にもアブダビ・アルゼンチン・チリ・エクアドル・エジプト・ギリシャ・インド・イラク・ヨルダン・クウェート・リビア・モロッコ・オマーン・パキスタン・ペルー・サウジアラビア・スペイン・南アフリカの18ヶ国が購入・使用し、1984年の生産中止までに約9,000発以上が生産された。
そのため搭載出来る機種も、ミラージュシリーズ(ミラージュF1、ミラージュIII、ミラージュ5、ミラージュ50、ミラージュ2000)やミーティア、ミステール?、アルファジェット?といったフランス製戦闘機のほかF-16、MiG-21、MiG-23など15機種による運用が可能である。
本ミサイルは何度か実戦で使用されており、初戦となったフォークランド紛争ではアルゼンチン軍?のミラージュIIIEAやダガー?が使用したが撃墜には至っていない。
一方、次のイラン・イラク戦争では、イラク軍?がミラージュF1やMiG-21に使用し多数のイラン軍機を撃墜したと主張している。
スペックデータ | |
全長 | 2.75m |
直径 | 16cm |
翼幅 | 66cm |
推進方式 | 固体燃料ロケットモーター |
エンジン | Romeo Butalene motor |
最大速度 | M2.5以上 |
射程 | 3km |
G限界 | 6G |
弾頭 | HE通常ロッド |
弾頭重量 | 12.5kg |
シーカー | AD3601型赤外線シーカー |
誘導方式 | 赤外線誘導 |
マジック2 †
マジック1の後継として開発された空対空ミサイル。
外見はほぼ同じであるが、シーカーが変更されたことによりオールアスペクト発射能力が付与され、さらに新型のロケットモーターにより射程が15kmとなった。
搭載出来る機種はラファール、ミラージュF1、ミラージュ2000、ジャギュア?等である。
1984年から現在まで4,000発以上量産されたが、現在ではさらに新型のMICAにより更新されつつある。
スペックデータ | |
全長 | 2.9m |
直径 | 15.7cm |
翼幅 | 66.8cm |
発射重量 | 89.8kg |
推進方式 | 固体推進ロケットモーター |
エンジン | SNPE Richard motor |
最大速度 | M3.0 |
射程 | 0.5〜20km |
最大飛行高度 | 18,000km |
G限界 | - |
弾頭 | HE 通常ロッド |
弾頭重量 | 12.5kg |
シーカー | AD3633型赤外線シーカー |
誘導方式 | 赤外線誘導 |
Photo :India air force