【PT-91】 †
PT-91 "
ポーランドで開発された主力戦車。
T-72M1の発展型で、1995年に配備が開始された。
主な改修点としては、射撃統制システムの換装(ソ連製の2E28Mから国産のSKO-1「ドラヴァ」)、爆発反応装甲の装備、エンジンの換装・高出力化、トランスミッション、自動装填装置などである。
SKO-1「ドラヴァ」射撃統制システムは砲手用のPCD昼間照準器、イスラエルのELOP社製造のTES赤外線暗視装置、指揮官用のPOD-72昼夜間観察照準器、弾道コンピューターおよびそれへの情報処理システム、レーザー測量器などで構成されている。
装甲には複合装甲とポーランド製の「エラヴァ(ERAWA)」爆発反応装甲を導入している。
主にアップグレード・キットとして提供され、ポーランド陸軍とマレーシア陸軍で採用されている。
スペックデータ †
PT-91「トファルディ」 | |
乗員 | 3名 |
全長 | 9.67m |
車体長 | 6.95m |
全高 | 2.19m |
全幅 | 3.59m |
戦闘重量 | 45.9t |
懸架方式 | トーションバー方式 |
エンジン | PZL-ヴォラ S-12U液冷ディーゼル(出力850hp) |
登坂力 | 60% |
超堤高 | 0.85m |
超壕幅 | 2.8m |
最大速度 | 60km/h(路上・整地)/ 45km/h(不整地) |
行動距離 | 450km/700km(追加燃料タンク搭載時) |
装甲 | 複合装甲 正面、側面、上面に「エラヴァ-1」または「エラヴァ-2」ERAを装備。 |
兵装 | 2A46 51口径125mm滑腔砲×1門(携行弾数42発) NSVT 12.7mm重機関銃×1挺(対空用、携行弾数300発) PKT 7.62mm機関銃×1挺(主砲同軸、携行弾数2,000発) 12連装発煙弾発射機×2基 |
PT-91M「ペンデカル」 | |
乗員 | 3名 |
全長 | 6.86m |
全高 | 2.60m |
全幅 | 3.70m |
戦闘重量 | 48.5t |
懸架方式 | トーションバー方式 |
エンジン | PZL-ヴォラ S-1000R液冷ディーゼル(出力1,000hp) |
最大速度 | 65km/h(路上・整地) |
行動距離 | 450km/700km(追加燃料タンク搭載時) |
装甲 | 複合装甲 「エラヴァ-3」ERA |
兵装 | 2A46MS 51口径125mm滑腔砲×1門(携行弾数42発) M2HB 12.7mm重機関銃×1挺(対空用、携行弾数300発) MAG 7.62mm機関銃×1挺(主砲同軸、携行弾数2,000発) 12連装発煙弾発射機×2基 |
主なバリエーション †
- PT-91「トファルディ」:
T-72M1の改修型。
主な装備はSKO-1M「ドラヴァ-1T」射撃統制システム*2、PCO SSC-1「オブラ-1」レーザー警戒システム、「エラヴァ」爆発反応装甲を装備。
エンジンはPZL-ヴォラ S-12U(出力850hp)を搭載している。
- PT-91A:
エンジンをPZL-ヴォラ S-1000(1,000馬力)に換装し、機械式トランスミッションなどを改修した型。
- PT-91Z「ハルディ*3」:
近代化改修型。ZはZmodernizowany の略語で「近代化された」という意味。
試作のみだが、後にPT-91Mの開発の参考に用いられた。
- PT-91M「ペンデカル*4」:
マレーシア向け輸出型。
SAGEM 「サヴァン-15」射撃統制システムのほか、SAGEM VIGY 15 ジャイロスタビライザ付きパノラマ光電子サイト、「シグマ30」レーザージャイロ慣性航法装置、EADS EPS72 砲塔安定システム、PCO SSP-1「オブラ-3」レーザー警戒システムを装備している。
エンジンはレンク/SESM ESM-350M自動トランスミッションを備えたPZL-ヴォラ S-1000R(出力1,000hp)を搭載。
- PT-91E/Ex:
輸出型。
- PT-91P:
ペルー向け輸出型。採用されず。
新型のPCO 「ドラヴァ-TG」射撃統制システム、サーマルサイト、現代的な通信システムなどを備える。
その他派生型 †
- WZT*5-3:
PT-91またはT-72の車体を元にした装甲回収車型。
15トンの持ち上げ能力を持つテレスコープ付きクレーン、フロントドーザーブレード、メインとサブのウィンチ2つを装備。
- WZT-3(20両):
T-72ベース。 - WZT-3M(9両(新規)+20両(改修)):
PT-91ベース。 - ARV-3(352両):
T-72ベースの装甲回収車型。
インド陸軍に配備。 - WZT-4:
PT-91Mベースの装甲回収車型。
MID-Mの技術を使用している。
- WZT-3(20両):
- MID*6 ビゾン*7-S:
戦闘工兵車型。
- MID(8両):
PT-91ベース。 - MID-M(3両):
PT-91Mベース。マレーシア陸軍に配備。
- MID(8両):
- PMC*8:
架橋戦車型。
- PMC-90:
PT-91ベースの試作型。不採用。 - PLC-レグアン(Leguan)(5両):
PT-91Mベースで26mのMLC60 レグアン架橋装備を有する型。
マレーシア陸軍に配備。
- PMC-90:
- PLA*9 ロアラ*10:
PT-91の車体をベースに、装甲化された砲塔とレーダーと連動したエリコンL-90 35mm高射機関砲>L-90]]を2門搭載した自走対空砲型。
- AHS クラブ*11:
AS-90?自走榴弾砲の砲塔とPT-91の車体を組み合わせた自走榴弾砲型。
*1 ポーランド語で「堅い、不屈の」という意味。
*2 初期生産型は代わりにSKO-1「ドラヴァ」を備える。
*3 Hardy:ポーランド語で「誇り高い」という意味。
*4 Pendekar:シラットの達人のことを指す。
*5 Wóz Zabezpieczenia Technicznego:技術支援車両の略。
*6 Maszyna Inżynieryjno-Drogowa:技師道路車の略。
*7 Bizon:ポーランド語でバイソンの事。
*8 Pomocniczy Most Czołgowy:戦車補助橋の略。
*9 Przeciwlotniczy zestaw artyleryjski:対空砲熕セットの略。
*10 ポーランド語でロワール川のこと。
*11 Krab:ポーランド語でカニの意。