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*&ruby(ぴーにーにーまる){【P220】}; [#y2a0eb2e]
SIG / Sauer P220~
スイスの[[SIG]]と、ドイツの[[ザウアー]]が共同開発した[[半自動式拳銃]]。~
[[口径]]は基本的に[[9mmルガー]]だが、口径違いのバリエーションも存在する。(参考リンクを参照)~
スイスの[[SIG]](シグ、スィグ)と、ドイツの[[Sauer]](ザウアー、サワー、ザウェル・u・ゾーン)が共同開発した(実質的にはほぼ[[Sauer]]による)[[セミオートマチックピストル>半自動式拳銃]]。~
[[口径]]は[[9mmx19>9mmルガー]]の他、様々なバリエーションが存在する。(参考リンクを参照)~

それまでスイス軍で制式採用されていた[[P210]]は高い命中精度を誇っていたが、職人芸による高精度加工で製造されていたため非常に高コストであった。~
P220ではコストを低減するため、職人に依らず、マシニングセンタやプレス機などの自動機械で加工することを主眼に設計された。このため外形はそれまでの[[拳銃]]とは異なり、まっすぐな面を組み合わせた単純な形状になっている。後に多くの[[拳銃]]がこれに倣ったため、現代型拳銃の始祖ともいえる。~
また形状合理化の一環として、[[排莢口]]が[[ティルトバレルロッキング]]のロッキングラグを兼ねている。加工を簡略化できるうえ、[[排莢口]]が大型化したことにより回転不良が低減されるという効用もあった。これも後に多くの[[拳銃]]が模倣した。~
それまでスイス軍で制式採用されていたSP47/8([[P210]])は高い命中精度を誇っていたが、主要な部品を高品質のスチールブロックからの削りだしにより製作する等、職人芸による高精度加工で製造されていたため、非常に高コストであり、大量生産が難しい製品であった。~

安全装置は、それまでの[[マニュアルサムセフティ]]を廃し、かわりに[[デコッキングレバー]]を採用した。これにより簡単な操作で[[撃鉄]]を安全位置へ移動させることが可能になり、かつその状態からでも[[ダブルアクション]]で射撃を再開することができた。~
[[回転式拳銃]]に近い操作で射撃できるため警官などには好評であった一方、[[コックアンドロック]]を信条とする一部のコンバットシューターからは不評であった。~
そこで、次期スイス軍制式拳銃の選定においては、製造コストを低減し、短時間で大量に製造出来るような設計とすることが求められた。そこでSIGは、マシニングセンタやプレス機などの自動工作機械で製造することを主眼に設計されたピストルを設計、これが1976年、P220として採用された。このピストルは、スライドはスチールプレスの側にブリーチブロックをロールピンで固定、フレームはアルミ合金からの削りだし等、コストダウンの実現のため徹底した設計が成されていた(ただし、現在はP220系のスライドはすべてステンレスの削りだし製である)。これにより、外形はまっすぐな面を組み合わせた単純な形状になっている。後に多くの[[拳銃]]がこれに倣ったため、現代型拳銃の始祖ともいえる。~
また形状合理化の一環として、銃身の薬室部分の外形を角張った形状とし、この上部が[[排莢口]]と直接かみ合う事により、[[ティルトバレルロッキング]]のロッキングラグを兼ねる構造となっている。これにより、スライド内側等の加工を単純化できるうえ、[[排莢口]]が大型化したことにより回転不良が低減されるという効用もあった。これも後に多くの[[拳銃]]が模倣した。~

[[弾倉]]の紛失を防ぐため、[[マガジンキャッチ]]は誤って触ることの少ないグリップ底面に配置された。しかしこれは同時に意図的な[[弾倉]]交換をも難しくしており、後に欠点のひとつと評価されている。~
また、[[弾倉]]の装弾数が9発というのも、既に他の拳銃では[[複列弾倉]]を採用していたため、見劣りするものであった。~
これらの欠点を解消したP226が発表されると、持ち前の高い性能とあいまって広く普及するようになった。~
ただし[[P210]]よりも安価とはいえ、他の拳銃よりはまだまだ高価であり、P226の特長を模倣したより安価な拳銃が登場すると、再度市場を奪われた。ただし信頼性を重視する一部のユーザーからは現在も愛用されている。~
安全機構は、それまでの[[マニュアルセフティ>手動安全装置]]を廃し、かわりに[[デコッキングレバー]]を採用した。これにより簡単な操作で[[ハンマー>撃鉄]]を安全位置へ移動させることが可能になり、かつその状態からでも[[ダブルアクション]]で射撃を再開することができる。~
さらに、AFPB(オートマチック・ファイアリングピン・ブロック)の採用により、引き金を引ききらない限り撃針が前進しない構造となっている。~
これらのインターナルセフティ機構により、薬室に装填した状態でも安全に携行でき、[[リボルバー>回転式拳銃]]に近い単純な操作で初弾を発射できるようになっている。~

[[陸上自衛隊]]では、P220をミネベアで[[ライセンス生産]]したものを「9mm拳銃」の名称で採用しているが、なぜ初期型のP220を採用したのかが疑問視されている。~
これには「P220の形状が前任の[[M1911A1>M1911]]に比較的似ていたため」「[[複列弾倉]]は日本人の体型に合わないと考えられたため」「[[弾倉]]の紛失防止を重視したため」など諸説がある。~
[[マガジンキャッチ>弾倉止め]]はグリップ底面に配置されていた(俗にコンチネンタルスタイル・マガジンキャッチとも呼ばれることがある)。これは当時のヨーロッパ製ピストルで採用例の多かった方式だが、誤って[[マガジンキャッチ>弾倉止め]]に触ってしまうことが少ない反面、意図的かつ素早い[[弾倉]]交換を難しくしており、後に欠点のひとつと評価されていた。このため、後に発表されたP225以降は、多くの[[セミオートマチックピストル>半自動式拳銃]]と同様に、[[マガジンキャッチ>弾倉止め]]がトリガーガード付け根部分に組み込まれるようになった、また、P220自体も、主にアメリカの民間向け市場からの要求により、[[マガジンキャッチ]]をトリガーガード付け根部分に移設した仕様が発表され、現在はこちらの方のみが市場に供給されている。~
[[マガジン>弾倉]]はシングルカアラム(シングルスタック、単列弾倉)で、装弾数は9発([[9mmx19>9mmルガー]])となっている。これは1970年代半ば頃に存在した自動拳銃の装弾数としては標準的な物であり、特別少ないという訳ではない。
なお、ダブルカアラム(ダブルスタック、スタガードカアラム、[[複列弾倉]])による多弾数[[マガジン>弾倉]]と、それを使用するピストルが一般化したのは、アメリカ軍によるJSSAP(ジョイント・サービス・スモール・アームズ・プログラム)が開始された1979年以降である。~
このJSSAPトライアルに参加するべく、P220を基にプログラムの要求に沿うように改良を加えたP226を発表、ベレッタ社原案のM92S(後にはSB-F)と正式採用の座を最後まで争ったが、最終的には破れてしまう。しかし、一般市場や警察など法執行機関にはその高性能ぶりが高く評価され、数多くの法執行機関に制式採用されていった。現在、アメリカ国家安全保障局とSIG Sauerとの契約により、隷下の各機関の制式サイドアームとなっている他、世界中の軍および法執行機関に採用されている。~

ブローニングBDAの名前でアメリカ市場に入ってきた1977年当時、.45のDAオートピストルとして登場したものの、そのあまりの先進性をアメリカの(.45=M1911と刷り込まれている)ユーザーが理解できず、全く売れなかった(このため当時のモデルは今やコレクターズアイテムと化している)事を思えば、隔世の感があるといえよう。~

[[自衛隊]]では、1982年、P220を「9mm拳銃」の名称で採用し、ミネベアで[[ライセンス生産]]したものを装備している。~
これについて、なぜ初期型のP220を採用したのかと疑問視する向きもある。~
これには「P220の形状が前任の[[M1911A1>M1911]]に比較的似ていたため」「[[ダブルカアラムマガジン>複列弾倉]]ではグリップが太くなってしまい、手の小さな日本人には合わないと考えられたため」「[[マガジン>弾倉]]の紛失防止を重視したため」など諸説がある。~
グリップについては、そもそもP220の[[マガジン>弾倉]]自体、.45を収容できるように作られており、M1911と比べても[[マガジン>弾倉]]の寸法自体は大差ない。故に、その[[マガジン>弾倉]]を収めるグリップ部の寸法は、M1911とP220では、実は大差がない。また、自衛隊仕様のグリップは、本国仕様に比べ、側面の厚みを減らし、外周の寸法を減じているといわれる。そのために却って握り心地を悪化させていると言われており、「P220よりもP226のほうが握りやすいのでは」という声も多い。
そもそもサイドアームなので火力はあまり重視されないものではあるが、一部では「[[拳銃]]は自殺用の武器なのだから弾数など要らない」というジョークもささやかれている。~
なお日本の機関であっても、[[海上保安庁]]の[[特殊警備隊>SST]]などは[[複列弾倉]]のP226を採用しており、「P220よりもP226のほうが握りやすいのでは」という説すら存在する。~
なお、日本の機関であっても、[[海上自衛隊]]の「特別警備隊SBU」は2007年6月の訓練展示の際に、フラッシュライトを装着したP226を装備しているのが目撃されている他、[[海上保安庁]]の[[特殊警備隊>SST]]なども、SIGではないが[[ダブルカアラムマガジン>複列弾倉]]のS&WM5904を使用しているのが確認されている。~

-P220: 初期型、装弾数9発
-9mm拳銃: P220を[[陸上自衛隊]]が制式採用したもの
-P225: P220を若干小型化したもの、装弾数8発
-P245: P225の[[.45ACP]]版、装弾数6発
-P226: P225の[[マガジンキャッチ]]を移動して操作性を向上、[[複列弾倉]]化して装弾数を15発にしたもの
代表的なバリエーション
-P220: シリーズの基本形、口径.45ACP(現在アメリカで販売されているのは.45仕様のみ)、[[9mmx19>9mmルガー]]、.38スーパー、.30ルガー等。装弾数9発(.45のみ8発)
-9mm拳銃: P220([[9mmx19>9mmルガー]])を[[自衛隊]]が制式採用したもの
-P225: P220を基に全長・全高を小型化したもの ドイツ警察がP6として制式化していた。装弾数8発
-P245: P225の[[.45ACP]]版小型化改良型、製造中止 装弾数6発
-P226: P220を[[ダブルカアラムマガジン>複列弾倉]]化する等改良したJSSAPトライアルモデルの市販化仕様 口径[[9mmx19>9mmルガー]]、.40S&W、.357SIG 装弾数15発([[9mmx19>9mmルガー]])12発(.40S&W、.357SIG)
-M10: P226を[[アメリカ空軍>USAF]]が護身用拳銃として採用したもの
-P228: P226を小型化したもの、装弾数13発
-P228: P226を基に全長・全高を小型化したもの 現在は製造中止 口径[[9mmx19>9mmルガー]]、.40S&W、.357SIG 装弾数12発(.40S&W、.357SIG)13発([[9mmx19>9mmルガー]])
-M11: P228を[[アメリカ空軍>USAF]]が護身用拳銃として採用したもの
-P229: P228をさらに小型化したもの、装弾数12発
-P229: P228を基にスライドをステンレス削りだし製とし強化、.40S&W弾を使用できるようにしたもの 口径[[9mmx19>9mmルガー]]、.40S&W、.357SIG 装弾数12発(.40S&W、.357SIG)13発([[9mmx19>9mmルガー]])

参考リンク:http://www.sigarms.com/Products/ShowCatalogProduct.aspx?categoryid=6 ~
      http://www.jda.go.jp/jgsdf/html/soubi/bottom/kaki/kaisetu/9mkenjyu.html ~


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