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*&ruby(おーわいきゅうすりー){【OYQ-3】}; [#t4871719]
[[海上自衛隊]]で運用されていた戦闘指揮システム。[[ヘリコプター]]搭載[[護衛艦]](DDH)向けに開発され、「[[しらね]]」「くらま」に搭載された。TDPS(Tactical Data Processing System)とも呼ばれる。~
*&ruby(おーわいきゅうすりー){【OYQ-3】}; [#t4871719]
[[海上自衛隊]]で運用されていた戦闘指揮システム。~
[[ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)>護衛艦]]向けに開発され、「[[しらね]]」「くらま」に搭載された。~
TDPS(Tactical Data Processing System)とも呼ばれる。~

~OYQ-3を搭載していた[[しらね]]型[[護衛艦]]は前級の[[はるな]]型とは異なり、当初から[[シースパロー>RIM-7]][[ミサイル]]システムと高性能20ミリ機関砲([[CIWS]])を搭載し、防空能力にも優れた艦となった。~
**概要 [#w3beb147]
[[海上自衛隊]]においては、第3次防衛力整備計画(3次防)時代の[[たちかぜ型ミサイル護衛艦(46DDG)>たちかぜ]]より、脅威評価・武器管制(TEWA)機能を備えた戦術情報処理装置の装備化に着手した。~
当初搭載された[[OYQ-1 WES>OYQ-1]]は[[アメリカ海軍]]の[[海軍戦術情報システム]](NTDS)に準拠しており、[[チャールズ・F・アダムズ]]級[[ミサイル駆逐艦>ミサイル艦]]の一部が後日装備したJPTDS(Junior Participating Tactical Data System)をベースとしたものであった。~
ただし、アメリカ合衆国政府の輸出制限のため、この時点ではリンク11は実装されておらず、対空戦情報処理を主眼としたシステムであった。~
~
一方、海上自衛隊は、第4次防衛力整備計画(4次防)において、従来の4,700トン型DDHの実績を踏まえて、対潜・対空捜索能力や近接対空能力、部隊指揮機能等を向上させた5,200トン型DDHの建造を計画した。~
そして同型において、部隊対潜戦指揮支援機能の向上を目的として搭載された戦術情報処理装置が本機である。~
本システムを搭載した[[しらね型>しらね]][[護衛艦]]は、前級の[[はるな型>はるな]]とは異なり、当初から[[シースパロー>RIM-7]][[ミサイル]]システムと[[高性能20ミリ機関砲>ファランクス]]([[CIWS]])を搭載し、防空能力にも優れた艦となった。~

~しかし一方で、OYQ-3はこれらのシステムとの連接がなされておらず、[[FCS-2]]なども個々に独立している。これが本システムがCDS(Combat Designation System)とは呼ばれない所以で、はるな型に搭載されなかった理由のひとつである。~
**構成 [#b5a71b98]
就役当初のコンソール配置は次の通りである。~
ミサイル護衛艦用のWESと類似するが、武器管制機能をもたない一方で、大型のOJ-197コンソールを導入するなど状況判断機能を強化している。~
これは本級が対潜中枢艦・[[旗艦]]として情報処理能力を持たせるためであり、これに合わせて海自艦としては初めて[[戦術データリンク>データリンク]]・リンク11を搭載している。~
~
-電子計算機:AN/USQ-20B(CP-642B)×2基
-TDSコンソール 追尾員用:AN/UYA-4(OJ-194B)×3基 
-対空目標追尾員(Air Detection and Tracker:AD/T)
-水上目標追尾員(Surface Detection and Tracker:SD/T)
-追尾監理員(Track Supervisor/ Identification:TS/ID)
-管制官用:AN/UYA-4(OJ-194B)×2基
-戦術評定官(Evaluator:EVAL)
-[[航空機管制官>航空管制官]](Helo Control:HC)

~そんなOYQ-3を構成するのは当時のDDG「[[たちかぜ]]」型にも搭載された[[OYQ-4]]と同じ[[UYK-7]]・[[UYK-20]]で、リンク11、リンク14の搭載も可能になった。このため、[[ヘリコプター]]や僚艦との連携が強化され、当時の八八艦隊で、対潜中枢艦としては高い能力を誇ったのは確かである。
ただし、これらのシステムは武器管制機能とは連接されておらず、砲システムと短SAMシステムは国産のTDS-2目標指示装置(Target Designation System)による武器管制を受けていた。~
TDPSにおいてセンサー情報の入力・脅威評価を行って高脅威目標を選定したのち、その目標情報をTDSに送出し、武器管制を行うこととされていた。~
なお、TDS-2や、SFCS-6水中攻撃指揮装置やOQA-201[[ソノブイ]]信号処理装置(SDPS)等のサブシステムには、新型のデジタル・コンピュータである[[AN/UYK-20>UYK-20]]が導入されており、艦全体で計9基が搭載されていた。~
しかし一方で、本システムはこれらのシステムとの連接がなされておらず、[[FCS-2]]なども個々に独立している。~
これが本システムがCDS(Combat Designation System)とは呼ばれない所以で、はるな型に搭載されなかった理由のひとつである。~
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なお、5,200トン型DDHでは、新たに強力な広域対潜センサーとして曳航式パッシブ・[[ソナー]](TACTASS)の[[OQR-1]]、またその捜索能力に対応するための[[OYQ-101]]対潜情報処理装置を後日装備化している。~
これにより、艦のソナー(艦首装備ソナーと曳航ソナー)、ヘリ装備のソナー([[ディッピングソナー]]とソノブイ)の目標探知状況・識別結果、攻撃状況、探知を失った場合の目標推定位置などを統合処理・管制できるようになり、8艦6機体制による本格的な艦隊航空対潜戦時代の到来に対応した指揮・統制能力が具備されていた。~
ただし当初、OYQ-3とOYQ-101は連接されていなかった。~
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その後、1990年代後半に入って、機器の老朽化と性能の陳腐化を受けて近代化改修が計画された。~
これは、電子計算機を新世代のAN/[[UYK-44]]に更新するとともに、TDSの機能をTDPSに統合、ASWDSとTDPSを連接するものであり、これに伴い名称もOYQ-3 TDPSからOYQ-3B CDS(Combat Direction System)に変更された。~
~
「[[しらね]]」は1997年12月から1998年4月にかけて、また「くらま」は1999年3月から8月にかけて改修を受けた。~
ただし「しらね」のOYQ-3Bは2007年12月の火災事故で全損したため、退役予定であった「[[はるな]]」のOYQ-6-2を移植して搭載している。~


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