【MiG-17】(みぐじゅうなな) †

旧ソビエトのミコヤン設計局が開発した戦闘機。
NATOコードはFresco(フレスコ).

本機は、飛行機としてはまだ未成熟な部分のあったMiG-15に改良を加えて完成度を高めたものである。
開発は1949年から開始され、1951年から量産が開始された。

機体形状は主翼以外はMiG-15と同じで、主翼は後退角が主翼前縁内側からほぼ半分までが45度、その外側が42度に変わる二重後退翼角付きに改められているほか、主翼上の境界層板の数を片側2枚から3枚へと変更している。
エンジンは、クリモフ製VK-1ターボジェットのアフターバーナー搭載型であるVK-1Fを搭載し、武装はMiG-15bisと同じくN-37 37mm機関砲1門とNR-23 23mm機関砲2門を搭載している。

本機は約10,000機が生産され、旧ソ連以外にも旧東ドイツ・ポーランド・中国・北朝鮮等に輸出された。
中国では「殲撃5」として改良型をライセンス生産し、1970年代まで量産を行なっている。

現在ではほとんどの運用国で第一線から退き、一部の国が練習機などとして運用するのみである。

関連:MiG-17　MiG-21

IMG_1137.jpg
 
↑

スペックデータ †

乗員1名
全長11.26m
全高3.80m
全幅9.63m
主翼面積22.6��
空虚重量3,930kg
最大離陸重量6,286kg
最大兵装搭載量500kg
エンジンクリモフ VK-1Fターボジェット×1基
エンジン推力29.50kN/33.14kN（A/B使用時）
最大速度610kt
海面上昇率3,900m/min
実用上昇限度16,470m
フェリー航続距離1,091nm
戦闘行動半径378nm（Hi-Lo-Hi）
固定武装N-37 37mm機関砲×1門（弾数40発）、NR-23 23mm機関砲×2門（弾数各80発）
兵装100kg/250kg爆弾、ロケット弾ポッド、増槽等
↑

MiG-17の主な種類。 †

  • MiG-17：
    初期生産型。
    細長い形状のエアブレーキが特徴でアフターバーナーなしのVK-1Aエンジンを搭載するが、推力不足によりMiG-15bisより若干性能が低下したとも言われる。
    なお、MiG-17AやMiG-17ASは、基本的にはMiG-17と同型である。

  • MiG-17P：
    「イズムルド」レーダー搭載型。

  • MiG-17F：
    アフターバーナー搭載のVK-1Fエンジンの完成により完成した本格的な量産型。
    MiG-17で低下したとも言われた諸性能も、VK-1Fによって改善している。
    しかしながら、燃料消費の大きなアフターバーナーを使用することは小型の本機にとってしばしば命取りとなり、実戦においても燃料切れによる墜落が幾度となく発生している。

  • MiG-17PF：
    MiG-17Fにイズムルート・レーダーを搭載した量産型。
    レーダーの搭載に伴い、37mm機関砲は23mm機関砲に換装されている。

  • MiG-17PFU：
    MiG-17PFを改修したRS-1U（AA-1「アルカリ」）及びRS-2U（AA-1A「アルカリ」）空対空ミサイル搭載型で、固定武装は廃止されている。
    MiG-19PMやSu-9?迎撃戦闘機配備までのつなぎとして40機程度がソ連防空軍に配備された。

  • 殲撃5型（殲-5/J-5/F-5）：
    中国でのMiG-17Fのコピーモデル。詳しくは項を参照。

  • 殲撃5甲型（殲-5A/J-5A/F-5A）：
    中国でのMiG-17PFのコピーモデル。
    • 殲教5型 (JJ-5/FT-5) ：
      5甲ベースの複座練習機型*1。

  • Lim-5：
    MiG-17Fのポーランド生産型。
    • Lim-5P：
      MiG-17PFに準じたレーダー搭載型。
      エアインテイクの開口部がPFより大きく、内部のドームも大型である。

  • Lim-6：
    Lim-5の大幅な改設計型。
    数種開発されたが、実用性の問題から結局はどれもLim-5同様の機体に改修された。
    ポーランドでは1990年代前半まで使用された。
    • Lim-6bis：
      Lim-5に準じた型。
    • Lim-6M：
      Lim-5Pに準じた型。
    • Lim-6R：
      Lim-6bisに準じた偵察型。
    • Lim-6MR：
      Lim-6Mの偵察型。

*1 ソ連本国では練習機型は生産されていなかった。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS