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【Mi-24】 †
旧ソビエトのミル設計局が開発した強襲ヘリコプター/攻撃ヘリコプター。
NATOコードは
ソ連政府はベトナム戦争におけるアメリカ軍のヘリコプター運用を研究した結果、Mi-8よりも小型で戦闘力に優る攻撃輸送ヘリの開発をミル設計局に命じた。
その結果誕生したのは、機体後部のキャビンで兵員を輸送することが可能で、多数の武装で地上部隊を支援できるMi-24だった。
対戦車ミサイル、ロケット弾、爆弾、ガンポッドなどを多数装備でき、非常に攻撃力が高く、チタニウム製のローターは、12.7mm弾の直撃にも耐えることができるが、その反面機体が大きく鈍重であることが最大の欠点。
開発された当時としては非常に強力な攻撃ヘリコプターで、1974年に東ドイツにHind Aで編成された飛行隊が配備されたとき、その存在がNATO?軍の戦車兵たちに衝撃を与えたほどである。
1975年には、Hind Aを改造したA-10と呼ばれる機体が最高速度や上昇速度などヘリコプターに関する世界記録を8つ記録した。
アフガニスタン紛争?ではソ連軍の主要対地攻撃力のひとつとして活躍をみせたが、アフガンゲリラの使用する FIM-92 によって多数が撃墜された。
輸出も盛んにされたため、旧共産圏をはじめとして30カ国以上で現在でも使用されている。
近年ロシアでは強襲ヘリコプターとしての能力よりも、純粋に攻撃ヘリコプターとして使用される事が多く、大型で鈍重である弱点が運用上の足かせになっている。
Ka-52?/Ka-50やMi-28といった後継攻撃ヘリコプターが登場して久しいが、その選定は何度も決定と白紙化を繰り返しており、当分本機はロシアをはじめ多くの国で主力攻撃ヘリコプターとして運用される見通しである。
かつてはこの機体を使用した展示飛行チーム「ベールクトィ」(Беркутыビェールクトィ)が編成されていた事がある。(現在は解散)
主にMi-24P、Mi-24VP、Mi-24VMなどが運用され、展示飛行のほか機体の評価も行った。
Mi-24のバリエーション †
- Mi-24 Hind:A-12.7 12.7mm機銃を搭載する初期型。
- Mi-24A Hind A:三座で大型の胴体をもつ初期の暫定生産型。
テイルローターの取り付け向きにより、前期型と後期型に分けられる。
1972年から引渡しがされた後、順次改良が加えられ、AT-2?を装備したものや2200馬力のターボシャフトを装備したものもある。
しかし、まもなくD型の生産に切り替えられた。
一部はヴェトナム、エチオピア、リビア、アフガニスタン、アルジェリアなどに輸出に回され、現在でもヴェトナムで運用中である。
- Mi-24B Hind B:試験用に開発されたMi-24Aの派生型。
USPU-24ターレットに3銃身ガトリング式のYakB-12.7 12.7mm旋回機銃を搭載。
- Mi-24U Hind C:A型の練習機型。
固定武装を撤去し、操縦系統が二重化され、前部座席にも操縦装置を追加している。
少数のみの生産であったが、ヴェトナムでは現在も運用中である。~ - Mi-24D Hind D:コックピットを視界のよいタンデム複座とし、細身の胴体になり、初期型の欠点を改善した。
コックピットは防弾ガラスや防弾板で防御され、生存性も高い。
機首にFLIRや低光度テレビカメラを搭載しているため、悪天候下や夜間での飛行が可能。
主武装はUSPU-24ターレットに搭載された4銃身のYakB-12.7ガトリング式12.7mm旋回機銃とAT-2?。
しかしながら、動力等は根本的に改善はされなかったため、より全面的な改修型であるMi-24Vまでの繋ぎとして扱われ、V型の戦力化後は練習機として扱われ、一部機体はDU型に改修された。
70年代に350機程度が生産された。
- Mi-24DU:D型に二重操縦装置を搭載し、固定武装を撤去した練習機型。
- Mi-24V Hind E:D型を改良し、クリーモフ製 TV-3-117 タービンエンジンへの換装やシステム更新を行い9M114「シュトゥールム-V」(AT-6?)やAA-8を搭載可能とした型。
赤外線妨害装置が搭載され、航法装置やチャフ・フレアなどにも改良が加えられた。
70年代後半から80年代前半にかけて1000機程度が生産された。
なお、ポーランドではポーランド語の言語上の理由からMi-24Wと表記される。
- Mi-35 Hind D:E型を、非ワルシャワ条約機構加盟国用にスペックダウンした輸出仕様。アフガニスタン、アンゴラ、インドに輸出された。
- Mi-35U:Mi-35を複操縦化した機体。インド等で運用されている。
- Mi-24P Hind F:アフガニスタンでの戦闘経験により、E型から威力が不足しているYaKB-12.7mm旋回機銃を取り外し、2砲身固定式GSh-30K 30mm機関砲を装備した型。
80年代に600機程度が生産されたようである。
- Mi-35P Hind F:F型の輸出仕様。固定脚にして軽量化を図った。
アフガニスタン、アンゴラ、イラク、キプロスに輸出された。
Mi-35Mと同じく、X字型テイルローターやフェネストロンを採用した機体も僅かに存在する。
- Mi-24VP:F型の2砲身固定式30mmGSh-30-2機関砲の代わりに、2連装23mm機関砲GSh-23-2を機首のNPPU-23ターレット?に装備した型。一部にはフェネストロンやX字型の新型テイルローターを装備した機体もある。
新型機銃の不良と冷戦の終結もあり少数生産に終わり、ロシア空軍とウクライナ陸軍航空隊で運用されている。
- Mi-24KhR Hind G1:NBC兵器の探知・偵察を行う化学・放射能偵察型。土壌や大気のサンプルを採取し、分析する能力を持つ。
コックピット・キャビンの気密性が向上され巨大なエアフィルターを装備してはいるが、搭乗員は防護服を着用する。
ソ連軍のみで使用。現在は、ロシア、ウクライナなどで運用されている。
- Mi-24RKhR:Mi-24Rとも呼ばれるMi-24DおよびMi-24Vの機体から製作された化学・放射能偵察型(電波化学偵察型)。ソ連空軍のみで運用。
チェルノブイリ原発事故でも現場へ投入された。
冷戦後は、機体を継承したロシアやウクライナによって国連平和維持活動などにも提供されている。
- Mi-25:Mi-24Dの輸出型。1972年に初飛行。新しいMi-24Vが開発されたことから相対的に旧型となったMi-24Dが輸出可能となったため、輸出専用機として開発された。
- Mi-24K Hind G2:Mi-24Vの砲撃観測機型。弾着確認用のカメラや、新型のセンサーユニットが搭載されている。
ソ連軍のみで使用。現在は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシで運用されている。
- Mi-35M:Mi-24VPの輸出仕様。夜間戦闘能力が向上しており、チタニウムや複合材料?を使用したローターを装備し、軽量化が図られている。エンジンやトランスミッション?はMi-28と同じものが使用され、ランディングギアが固定式になっている。
機関砲は、Mi-24VPに準じ、NPPU-24ターレットに23mmGSh-23L連装機関砲を装備する。
- Mi-24PS:1998年初飛行の警察仕様。機関砲のかわりに大型のサーチライトや拡声器、FLIRなどを装備する。ロシア内務省にて使用されている。
- Mi-24E:環境調査型。海洋や大気の汚染、洪水などの監視を行う。収集したデータを処理する機器や地上局へのデータリンクが装備されている。機体はE型と同じだが、非武装化されている。
- Mi-24/35 Mk.I:南アフリカで開発された改修型。改修の規模はMk.IIIより限定されている。
- Mi-24/35 Mk.IIIスーパーハインド:南アフリカで開発された改修型。
アルジェリアで使用されている。
- Mi-24-2000:イスラエルで開発された改修型。