*&ruby(めっさーしゅみっとにろくに){【Me262】}; [#p4dc87be]
Messerschmitt Me 262 &ruby(シュヴァルベ){Schwalbe}; / &ruby(シュツルムフォーゲル){Sturmvogel};.~
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[[第二次世界大戦]]末期にドイツの[[メッサーシュミット]]社が開発した、世界初の実用ジェット[[戦闘機]]。~
[[後退翼]]に双発の[[ターボジェット]]エンジンを懸架装備し、レシプロ機を大幅に上回る速度性能を実現した。~
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1943年に原型が初飛行したが、Jumo004 エンジンの開発遅延、不調や[[ヒトラー>アドルフ・ヒトラー]]総統による[[戦闘爆撃機]]型への仕様変更命令などで実用化が遅れ、実戦部隊に配備されたのは1944年10月だった。~
初めて配備された第262実験隊はMe262の運用研究を行い、最初の1ヶ月の戦闘で事故含めて26機の本機と司令官ヴァルター・ノヴォトニー少佐（撃墜数258機）を失いながらも基本戦法を確立、その速度性能を活かして[[連合国>連合国（第二次世界大戦）]]軍戦爆連合を相手に200機の損失で550機を撃墜した。~
その損失の多くはエンジン不調や、低速の離着陸時を狙われたためで、純然たる空戦での被撃墜は少ない。~
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最終的な総生産数1,430機で、主に生産されたのは戦闘機型のA-1aと、これに爆弾ラックを装備した[[戦闘爆撃機]]型のA-1a/Jabo((Jagdbomberの略))型であったが、A-1a/Jabo型の機首武装を2門減らしたA-2a、[[練習機]]型のB-1aに[[レーダー]]を装備した[[夜戦>夜間戦闘機]]型B-1a/U1など少数の派生型も作られた。~
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関連：[[橘花]]
**スペックデータ（Me 262 A-1a） [#ve840663]
|乗員|1名|
|全長|10.58m|
|翼長|12.5m|
|全高|3.83m|
|翼面積|21.7��|
|自重|3,800kg|
|最大離陸重量|6,400kg|
|[[エンジン]]|ユンカース Jumo 004B-1 軸流[[ターボジェット]]×2基（[[推力]]18kN）|
|速度|870km/h（最高、高度6,000m）/約820km/h（巡航）|
|[[航続距離]]|1,050km|
|[[上昇限度]]|11,450m|
|[[上昇率]]|1,200m/分(20m/s)|
|固定武装|MK108 30mm機関砲×4門(100発×2門、80発×2門)|
|追加武装|R4M 55mm[[ロケット弾]]×24発|
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**バリエーション [#q07eb041]
***原型機 [#x9e1c155]
-Me 262 V1：~
試作1号機。~
機体の完成時にBMW 003が未完成であったため、[[ユンカース]]Jumo 210 G[[液冷>液冷エンジン]]倒立V型12気筒[[レシプロエンジン]]および[[プロペラ]]を[[機首]]に装備。~
後にBMW 003は搭載されたものの、信頼性が低かったためにユンカースJumo 004Aに換装された。~
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-Me 262 V2：~
試作2号機。Jumo 004Aを当初から搭載。~
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-Me 262 V3：~
試作3号機。~
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-Me 262 V4：~
試作4号機。~
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-Me 262 V5：~
試作5号機。着陸装置を尾輪式から固定型の前輪式（三車輪式）に変更した。~
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-Me 262 V6：~
試作6号機。~
機体が再設計され、着陸装置を油圧引込式の前輪式に変更、エンジン内側の主翼の後退角が増して、主翼の前縁には全幅に前縁スラットが追加された。~
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***生産機 [#xeb77c66]
-A-0：~
戦闘機型Aシリーズの先行生産型。~
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-A-1a：~
Jumo004Bエンジンを搭載する生産型。~
MK108 30mm[[機関砲]]4門を装備。~
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--A-1a/R-1：~
R4M[[ロケット弾]]の運用能力を持つ型。~
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--A-1a/U3：~
短距離偵察機型。~
機首にRb50/30またはRb20/20とRb75/30カメラを搭載。~
武装としてMK108 30mm機関砲1門を装備するがほとんどは非武装だった。~
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--A-1a/U5：~
重武装型。~
機首の武装をMK108 30mm機関砲4門から6門にし、携行弾数を100発が2門、85発が2門、65発が2門とした。~
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-A-1b：~
エンジンをBMW 003に換装した迎撃機型。~
武装は30mm機関砲2門、R4M空対空ロケット24発を搭載。~
それ以外の性能はA-1aと同型、少数のみ生産。~
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-A-2a「シュトルムフォーゲル」：~
MK108 30mm機関砲を2門のみ装備した爆撃機型。~
250kg爆弾2発を搭載可能。~
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--A-2a/U2：~
高速爆撃機型。~
機首に爆撃手席を新設し、1号機はロトフェルンロール7（ロトフェ7）H3爆撃照準器を装備、2号機はロトフェ・カンツェル�蕎判犂錣鯀�備。~
~
-A-3a：~
[[近接支援任務>近接航空支援]]を目的とした攻撃機型。~
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-A-4a：~
偵察機型。~
~
-A-5a：~
偵察機型の最終型。~
カメラを3台装備。戦争末期に少数のみ生産。~
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-B-1a：~
複座の転換練習機型。~
~
--B-1a/U1：~
機首にFuG218「ネプトゥーン」レーダーを装備する[[夜戦>夜間戦闘機]]型。~
装備したレーダーアンテナの空気抵抗により速度が810km/hに低下している。~
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***試作機 [#yc93c98d]
-A-1a/U1（1機）：~
機首に20mm機関砲2門を装備、30mm機関砲のうち2門を高初速のMK 103に換装し、6門にした試作機。~
~
-A-1a/U2（1機）：~
全天候に対応するための航空電子機器を搭載した試作機。~
FuG220「リヒテンシュタイン」レーダー、SN-290 290MHzレーダー放送受信機、「ヒルシュゲヴァイ（鹿の角）」アンテナを装備。~
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-A-1a/U4（2機）：~
[[爆撃機]]迎撃型の試作機。~
機首武装をMK 214A 50mm機関砲またはBK 5 対戦車砲×1門((爆撃機防護銃座の射程範囲外からの攻撃用。))とした。~
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-A-2a/U1（1機）：~
改良型の爆撃照準器を設置した試作機。~
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-C-1a（1機）：~
迎撃戦闘用の試作機。~
尾部に離陸補助用のHWK 109-509[[液体燃料ロケット]]（ヴァルター・ロケット）を取り付けた。~
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-C-2b（1機）：~
迎撃戦闘用の試作機。~
エンジンのナセル（エンジンの収納筒）にBMW 003Rターボジェット（[[推力]]9.8kN）2基を取り付けた。~
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-C-3：~
迎撃戦闘機の提案型。~
Jumo 004[[ターボジェット]]をHWK R��-211[[液体燃料ロケット]]（ヴァルター・ロケット）に換装した。~
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-C-3a（1機）：~
迎撃戦闘用の試作機。~
胴体にHWK 109-509S-2[[ロケットモーター>ロケットエンジン]]（ヴァルター・ロケット）を組み込んだ。~
試作機と初期生産機は完成前に鹵獲された。~
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***計画機 [#fabc2393]
-B-2：~
胴体を伸ばして燃料搭載量を増加させた夜間戦闘機型。~
HeS 011エンジンを搭載。~
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-D-1：~
SG500 Jagdfaust 5cm[[無反動砲]]を装備する特殊型。~
無反動砲は上向きに取り付けられており、センサーで爆撃機を感知し自動で発射される。~
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-E-1：~
A-1a/U4を基にMK114 55mm機関砲を装備した特殊型。~
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-E-2：~
R4M ロケット弾を48発搭載する特殊型。~
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-W-1：~
アルグス As 014パルスジェットエンジン（出力2.7kN）2基を搭載した提案型。~
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-W-3：~
アルグス As 044パルスジェットエンジン（出力4.90kN）2基を搭載した提案型。~
四角型エアインテークを持つ。~
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-Lorin：~
Jumo004の上にLorin[[ラムジェット]]ブースター（直径1.15m、全長5.9m）2基を積んだ高速型。~
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-&ruby(シュネルボマー){Schnellbomber}; 1：~
高速爆撃機案。4,050リットルの燃料を搭載し1,000kgの爆弾を搭載できる。~
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--&ruby(シュネルボマー){Schnellbomber}; 1a：~
[[コックピット]]を機首に移動させ胴体に5個の燃料タンクを設けた高速爆撃機。~
~
-&ruby(シュネルボマー){Schnellbomber}; 2：~
爆撃機型。~
胴体を新たに設計し4,450リットルの燃料を搭載。1,000kgの爆弾を胴体内に搭載可能。~
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-Aufklärer 1：~
写真偵察機型。~
A-1a/U3の機首の武装を撤去し、500リットルの燃料タンクとRb75/30及びRb20/30カメラを搭載。~
--Aufklärer 1a：~
Schnellbomber 1aの胴体を流用し、Rb75/30カメラ2基を胴体中央に装備。~
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-Aufklärer 2：~
Schnellbomber 2の胴体を流用し、5,450リットルの燃料を搭載、機種にRb75/30カメラ2基、Rb20/30カメラを1基搭載。~
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-HG I：~
高速機型計画第1段階の機体。~
風防をレーシングキャノピーと呼ばれる小型流線形のものとし、水平尾翼に後退角を付け、水平尾翼を大きくした。~
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-HG II：~
高速機型計画2段階の機体。~
HG Iと同程度の改造と平行して、主翼を25%弦長35度の後退角付きに変更した。~
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-HG III：~
高速機型計画2段階の機体。~
主翼は新設計の45度後退角付きのもので、HeS 011エンジン×2基を主翼付け根に搭載、主脚を主翼付け根に取り付け、尾翼・キャノピーはHG Iと同等のものに変更した。~
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***大戦後 [#i5366753]
-アビア S-92：~
A-1aと同型。チェコスロバキアが生産。~
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-アビア CS-92：~
B-1aと同型。チェコスロバキアが生産。~
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-A-1c/B-1c：~
2003年より、アメリカ・テキサス州のTexas Airplane Factoryが作成中のMe262のレプリカ。~
現時点で2機が完成、飛行可能の状態。~
発動機は[[ゼネラル・エレクトリック>ジェネラルエレクトリック]]社製[[CJ610>J85]][[エンジン]]((J85の民間向けモデル。))で、安全装置の追加、脚の強化などが行われている。~
名称はメッサーシュミット社（現在の[[エアバス・グループ>エアバス（企業）]]）の承認のもと A-1c（単座型）とB-1c（複座型）が当てられている。~
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