【MIM-72】(えむあいえむななじゅうに)

MIM-72 "Chaparral(チャパラル)"
1969年にアメリカ陸軍に配備された地対空ミサイルシステム。
短距離の目標をカバーするM163VADSと併用し、長距離の目標をカバーする目的で開発された。

搭載するミサイルはAIM-9D「サイドワインダー」をベースにしているが、空気抵抗を減らすために、弾体のフィンのうちの2枚がローレロン*1を持っていることがAIM-9との違いである。
発射機はM113装甲車と同型のM548装軌貨物輸送車から改装したM730装軌車両である。
誘導方式は初期型のA型はパッシブ式の赤外線誘導(後方のみ)だったが、改良型のC型はオールアスペクト方式のパッシブ式の赤外線誘導を採用し、弾頭には12.6kgのHE爆風破砕弾頭を搭載している。
1998年に退役するまで約21,000発が生産され、イスラエル(イスラエル国防軍)、エジプト、中華民国(台湾)等に輸出された。

スペックデータ

M730(M48)発射機
乗員5名
全長6.06m
全高2.68m
全幅2.69m
重量11t
緩衝装置トーションバー
機関6気筒水冷ディーゼルエンジン(出力215PS)
出力重量比22.27PS/t
最大速度68km/h
最大装甲44mm
行動距離483km
兵装M54 4連装ミサイル発射機×1基(MIM-72×4発)


MIM-72
形式MIM-72AMIM-72G
全長2.9m
直径127m
翼幅63m
直径0.127m
発射重量86kg
速度M1.5
射程500〜6,000m9,000m
目標高度15〜3,000m
誘導方式パッシブ赤外線誘導
(後方攻撃能力のみ)
パッシブ赤外線誘導
全方向攻撃能力
推進方式固体燃料ロケットモーター
エンジンMk50固形燃料ロケットモーター
推力12.2kN)
ハーキュリーズ M121
無煙固形燃料ロケットモーター
弾頭Mk48コンティニュアス・ロッド
(11kg)
M250 爆風破片効果弾頭
(12.6kg)


派生型

  • MIM-72A:
    初期生産型。

  • MIM-72B:
    訓練用。信管以外はA型と同様である。

  • MIM-72C:
    全方向攻撃能力が付与され、射程が9,000mにまで延伸された改善型。
    AN/DAW-1シーカーとM817指向性ドップラー信管を搭載し、弾頭はM250爆風破片効果弾頭を使用する。
    1976年〜1981年に生産され、1978年11月に運用が開始された。

  • RIM-92C「シーチャパラル」:
    艦対空ミサイル型。
    アメリカ海軍には採用されなかったが、台湾で制式採用された。

  • MIM-72D:
    実験的にA型のシーカーとC型の弾頭を組み合わせた型。
    生産前にキャンセルされた。

  • MIM-72E:
    C型のロケットモーターを新型のM121無煙ロケットモーターに換装した型。

  • MIM-72F:
    改善されたM121無煙ロケットモーターを搭載する型。

  • MIM-72G:
    FIM-92シーカーを元にした新型のAN/DAW-2シーカーを取り付け、妨害に対する抵抗性を向上させた型。
    1980年代後期、運用されていたMIM-72の全ユニットにこの改造が施された。
    1990年〜1991年に生産された。

  • MIM-72H:
    F型の輸出仕様。

  • MIM-72J:
    G型のダウングレード輸出仕様。

  • M30:
    イナート訓練ミサイル型。


*1 rolleron:スリップ気流駆動フライホイール

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS