【M60(機関銃)】(えむろくじゅう(きかんじゅう))

Springfield/Saco M60.
第二次大戦後のアメリカで開発された汎用機関銃
当初は国営のスプリングフィールド社が生産を行っていたが、大量生産の必要から民間企業であるサコー社に生産が移っている。

ベトナム戦争から実戦投入され、歩兵・防御陣地・車両・ヘリなどあらゆる場面で使用された。
しかし運用面では非常に不評で信頼性に欠け、前線では『豚(Pig)』呼ばわりされていたという。

E1・E3・E4と改良は続けられたが、最終的にFN社のM240が後継とされた。
また、分隊支援火器としても使用されたが、小銃と弾薬互換性がない事と重さ巨大さが問題となり、ミニミに置き換えられていった。

現在のアメリカではヘリ用ドアガンに留まっているが、オーストラリア軍では第一線で運用されている。
製造担当のUSオードナンス社では、民間向けのセミオートM60も生産している。

また、フルオート射撃を不可能にした民生用モデルもアメリカ国内で販売されていた。
もっとも、これは無意味に高価で重くかさばる収集品であって、あえて採用する実用上の理由はほとんどなかった。

スペックデータ

種別汎用機関銃
口径7.62mm
全長1,077mm
銃身長560mm
重量10,500g
使用弾薬7.62×51mm NATO弾
装弾方式ベルト給弾式
作動方式ガス圧利用(ショートストロークピストン式)
ターンロックボルト?オープンボルト
発射速度550発/分以下
銃口初速853m/秒
有効射程1,500m


派生型

  • M60:
    1950年に採用された基本型。

  • M60E1:
    最初の改良型。
    ガスシリンダー、銃身、バイポッドの接続方式を変更した。

  • M60B:
    ヘリコプターからの射撃用に開発された型。
    しかし、マウント部が無いため射撃中は射手が保持していた。
    1960年代に少数が生産されただけで、すぐにM60Dに代替された。

  • M60C:
    航空機搭載用モデル。
    油圧による回転機構が組み込まれ、電気的制御により遠隔操作で射撃を行う。
    OV-10などのCOIN機UH-1Bに搭載された。

  • M60D:
    ヘリコプターや車両等へマウントできるようにしたもの。
    スペースドグリップになっているほか、照準は円形照準に変更され、給弾方式が改善されている。
    UH-1BUH-60CH-47など主要なヘリコプターのドアガンとして用いられた。

  • M60E2:
    M48A5M60戦車同軸機銃など、装甲車両へ取り付けての運用を目的としたモデル。
    銃床等、車両搭載に必要の無い外装は取り外されている。
    発射指令は電気的に行うが、手動で引き金を引くバックアップも残されている。

  • M60E3:
    初期モデルの問題点を解決し、1986年ごろより実戦配備を開始したモデル。
    ガス・システムの簡略化や銃身の軽量化などが図られたが、その代償として部品の磨耗・破損がより激しくなってしまった。
    そのため、アメリカ陸軍海兵隊では大部分の部隊がM240への切り替えを行った。

  • M60E4(Mk.43 Mod0):
    M60E3を短銃身化し、多くの改良点を取り入れ信頼性をアップしたもの。
    前方にフォアグリップが追加されているのが大きな特徴。
    アメリカ海軍での制式名称は「Mk.43 Mod0」。

  • Mk.43 Mod1:
    Mk.43 Mod0の改良型。
    ピカティニー・レールが各所に追加され、Mod0よりも短銃身化された。

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