【M1911】(えむいちきゅういちいち)

ジョン=ブラウニング設計の傑作45口径拳銃
オリジナル*1はコルト社のモデルで、ガバメントの愛称で呼ばれた。*2
アメリカ軍において半世紀以上もの間制式拳銃の座を占め、M9にその座を譲った後も、官民問わず広く愛され続けており、一連のシューティング競技ではほとんど『定番』的存在となっている。

45口径拳銃の代表格であり、マンストッピングパワーの高さについて語られることが多いが、銃そのものもブラウニングによって優れた設計が為されている。
主な特徴として挙げられるのは、コックアンドロックでの携行による即応性の高さ、薄く手に馴染む絶妙なデザインのグリップ、過酷な条件でも作動する信頼性の高さ*3といったところである。
強い反動や装弾数の少なさがしばしば欠点として指摘されるものの、反動の強さは射手の熟練で抑え込める範囲であり、慣れれば9mm同然の速い連射が可能であるし、装弾数に関しては、
「実際のガンファイトでは勝負は数発で決まることが多いから、7発有れば十分だ」
という意見もある。
なお、同時に開発されたこともあって「ガバメント」と言えば「.45ACP」のイメージが強いが実際は新旧各種口径のバリエーションが製造されている。

バリエーション

ロングセラーとなった本銃には、バリエーション豊かなさまざまなモデルがあるが、大別すると次のように分けられる。

  • アメリカ軍用ミリタリーモデル
    初期型のM1911 及びその改良型・M1911A1*4
    海兵隊では、老朽化したM1911A1をベースに手を加えた通称「MEUピストル」が使用されている。
  • コルト社純正バリエーション
    ミリタリーモデルとほぼ同じものを民間向けに売り出したほか、競技向けに調整を施した「ナショナルマッチ」、コンパクトな「コマンダー」など、幾つかの派生モデルがある。
    1991年にはダブルアクション機構を組み込んだ「ダブルイーグル」が発売されたが、商業的には成功しなかった。
  • 他社製コピーモデル
    「システマ・コルト」や「スター」といった廉価な実用品から、各メーカーが独自にアレンジを加えた物、ミリタリーモデルの復刻版、STI等専門メーカーによるハイエンドカスタムまで多種多様。
    コルト社の持っていたパテントが期限切れになると、あちこちのメーカーが開発・生産を始めた。
    単純なコピーのみならず、それぞれの創意工夫や個性を発揮するメーカーも少なくなく、民間のカスタムショップ製作・製造の物も含めると、今やそのバリエーションはまさに星の数ほど存在する。
    他にフィリピン、中国、ベトナム、イタリア、ドイツなどでも、様々なコピー、アレンジモデルが生産されている。

*1 戦時中はイサカファイヤアームズやレミントンランド、シンガー等も軍納入品の製造に参加
*2 日本では「ガバメント」,「ガバ」等の愛称で親しまれるが、アメリカでは主に1911(ナインティーンイレブン)と呼ばれるようだ。
*3 構造がシンプル且つ、部品同士が隙間の多い造りであることに起因するもので、AK47と同じ理屈である。命中精度重視のカスタムモデルでは部品同士のフィッティングがタイトになり、信頼性は多少犠牲になる。
*4 厳密には、両者の特徴が混在した過渡期のモデル等、かなり細かく分類することもできる。

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