M1911 コルトガバメントのバックアップ(No.10)

【M1911】(えむいちきゅういちいち) †

アメリカ陸軍において半世紀以上に渡って制式採用されていた半自動式拳銃。
制式装備がM9に更新された後も警察用・民生用として需要を持ち、特にシューティング競技で人気がある。
設計はコルト社のジョン＝ブラウニング。コルト・ガバメントの愛称で知られる。
コルト社のパテントは1986年に失効しており、他社による再設計モデルやコピーモデルも多数出回っている。

.45口径拳銃の代表格であり、対人制圧能力の高さに定評がある。
即応性を重視したコックアンドロック、扱いやすいデザイン、シンプルな構造による高い耐久性など、設計面でも評価が高い。

欠点は大口径のため反動が強く手に負担をかける点と、７発という少ない装弾数。
警察用や護身用においてはさしたる問題とみなされていない*1が、軍用銃ではこの問題からM9に更新される事となった。

標準的な口径は.45ACPだが、新旧各種口径に対応するバリエーションも多数製造されている。

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スペックデータ †

口径：.45
全長：216mm
銃身長：106mm
重量：1,130g
作動方式：シングルアクション/ティルトバレル式ショートリコイル
使用弾薬：.45ACP
装弾数：7発

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主なバリエーション †

米軍採用モデル
- M1911：
  原型モデル。
- M19111A1：
  M1911の改良型で以後の基本モデル。
  メインスプリングハウジングやグリップセフティ、フレーム等の形状を改良した。
- M15：
  銃身長4.3インチのショートモデル。
- MEUピストル：
  MEU?*2向け。
  M9と交代し余剰になったM1911A1の中から、程度の良いフレームを選び、新たにスライドやカスタムパーツを組み込んでいる。
- キンバー・MARSOC*3：
  フォースリーコン?向け特別仕様。
  スライド前方のセレーション、ナローサイズのマウントレール、ランヤードリングなどを装備している。
コルト社製民間モデル
- ガバメントモデルMk.IV シリーズ70：
  1970～83年まで市販された民間型。"ガバメント"の通称はこの民間モデルの名称から来ている。
- ガバメントモデルMK.IV シリーズ80：
  1983年から市販されたAFPBを組み込みモデル。
  装弾数は8発に増えたが、トリガーの感触が悪化してしまった。
- M1991A1：
  1991年の発売されたメモリアルモデル。
  AFPBなど新世代の安全対策が組み込まれ、暴発の危険性が極めて少なくなった。
- M1191A1コンパクト：
  銃身長3.5インチの短縮型。装弾数は6+1。
- コマンダー：
  アルミフレームを採用した銃身長4.3インチのショートモデル。
  耐久性に難があり、後にスチール材に変更された。
- コンバットコマンダー：
  M15の民間モデル。
- オフィサース：
  銃身長3.5インチのコンパクトモデル。
- ディフェンダー：
  銃身長3インチのサブコンパクトモデル。
- ウォーリア：
  キンバー・MARSOCの民間モデル。
- ダブルイーグル：
  ダブルアクショントリガーを組み込んだモデル。
  しかし、FN ハイパワーのダブルアクションモデルである「ハイパワーDA」と同様、商業的には成功しなかった。
- ダブルイーグル・オフィサーズ：
  ショートモデル。
- デルタエリート：
  10mmAuto?弾を使用するモデル。
  マグナム弾並みの高圧弾薬であったために、もともと強度の低いガバメントのレシーバが耐えられずに破損事故が相次ぎ、短期間で製造中止となった。
他社モデル
- ハードボーラー?：
  AMT社製のガバメントモデル。詳しくは項を参照。
- グリズリー?：
  LAR社製のガバメントモデル。詳しくは項を参照。
- M945?：
  S&W社製のカスタムモデル。詳しくは項を参照。
- SW1911：
  S&W社製ガバメント。
  グリップセフティ連動のAFPBを組み込むなど独自のアレンジも見られる。
- SIG GSR：
  シグ・アームズ社製ガバメントモデル。
  P226?などにも通じる角張ったデザインを持ち、フレームにはピカティニーレールを装備している（有無は選択可能）。
- SIT イーグル：
  SIT*4社製。
  新設計のポリマーフレーム『2011』を採用し、装弾数12発のダブルカラムマガジン仕様ながら軽量・スリムなグリップを実現している。
  バリエーションとして『EDGE(エッジ)』、『タクティカル』などがある。
- ウィルソン M1996A2CQB：
  ウィルソン社製ガバメントモデル。
  スリット入りのスライドとロングセフティを持ち、トリガーにはアジャスタブルの軽量パーツを採用している。
  主に公安関係者向けに販売されているようであるが、その価格は1800ドルとベレッタM92の3倍以上という破格の値段である。
- クーナン 357マグナム：
  .357マグナム弾を使用するモデル。現在は生産中止。
- スプリングフィールドオメガ：
  スプリングフィールドアーモリー製。
  『マグナポート』と呼ばれるコンペンセイターとロングスライドを装備した射撃用モデル。現在は製造中止。
  日本でも「オメガ10mmオート」の名称でトイガン化されており、僅かながら知名度がある。
- ナイトホーク：
  カスタムモデル。
  実戦での使用を念頭において開発されているため、確実に撃てるための即応性を重視する。
- デトニクスコンバットマスター：
  デトニクス社製のガバメントモデルで、コンパクト・ガバの元祖。
  ハンマーを素早く手で起こすために設けられた、スライド後端のスロープが特徴。
  小型なだけでなく、各部品も極力オリジナルと互換性を持たせている。
  また、隠し持つのに丁度良い大きさであるためアメリカの私服警察官などに使用された。
- システマ・コルトM1927：
  アルゼンチン軍の元制式拳銃。ほぼオリジナルのライセンス生産品。
- バジェスターモリナ：
  アルゼンチン軍の元制式拳銃。グリップセフティなどを省略し、生産性を高めたモデル。
  既に制式解除となっているが、フォークランド紛争では相当数がイギリス軍に鹵獲された。
- パラ・オーディナンス P14：パラ・オードナンス社が製造するガバメントモデル。装弾数14発。
  バリエーションとしてコンパクトタイプのP13のほか、ダブルアクショントリガーを組み込んだLDAとも呼ばれるモデル、9mm仕様のP18、40SW口径のP16などがある。
- レスベアー：
  パラ・オーディナンスのP14シリーズがベースのカスタムモデル。
  ドーブテール型フロントサイトやビーバーテールグリップ&ナロータイプのアンビセフティー、フロントセレーションなどを多数装備している。
  FBIの特殊部隊であるHRT（人質奪還部隊）に75挺が納入された。
- スターモデルM/モデルMD：
  スペイン国境警備隊（グラウディア・シビル）向けフルオートモデル。
  スライド右側にセレクターが追加されたほか、グリップセフティが省略されている。
  モデルMDでは、マウザー C96に似たホルスター兼用のショルダーストックも付属している。
- インベルM911：
  ブラジル軍の元制式拳銃。
  後期型ではセレーションが斜めになり、サイトが大型化するなどの改良が加えられている。他に9mmx19版もある。
- M/1914：
  ノルウェー軍の元制式拳銃で別名〝コングスベルク・モデル〟。
  ヨーロッパの拳銃では珍しい.45ACP仕様で、オリジナルとほぼ同一だが、スライドストップの形状にアレンジが加えられている。
  第2次大戦でノルウェーがナチス・ドイツに占領された後は、”P657(n)”の名称で準制式とされ、オリジナル・ガバと敵味方に分かれて戦った。
  1919～1947年まで32,854挺が生産された（”P657(n)”仕様は920挺）。
- TT33：
  旧ソビエト連邦をはじめとした共産圏の元制式拳銃。詳しくは項を参照。

*1 腱鞘炎を患ったり弾切れになるほど撃ち続けるのは一部の軍人や対テロ特殊部隊のみに限られる。
*2 Marine Expeditionary Unit：アメリカ海兵隊遠征隊
*3 Marine Special Operations Command
*4 Science Technolgy Ingenuity

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