【LCAC-1】(えるきゃっくわん)

アメリカ海軍が保有し、アメリカ海兵隊が使用するエアクッション型揚陸艇。
強襲揚陸艦ドック型揚陸艦に搭載され、主に後方の揚陸任務に用いられる。

それまでの上陸用舟艇は船底にビーチングドアを備えるため速力が劣っており、近年対艦ミサイルが長射程化したことにより、従来より離れた場所に揚陸艦を展開する必要が出てきたため、能力不足が指摘された。
本艇は機関としてガスタービンを備え、エアクッション艇(いわゆるホバークラフト)の形を採ることにより、速力と航続力を大幅に改善したものである。
また、ビーチング型の上陸舟艇が全世界の15%程度の海岸にしか揚陸できないのに対し、ホバークラフトならば80%ほどの海岸へ揚陸できるとされている。

ただし、アルミ製船体やゴム製スカートで出来ているため抗堪性に劣り、敵前上陸には難がある。
また、推進用ファンの騒音は通常の艦艇と比べ物にならないほど大きく、この点でも先陣を切るには適さない。
ヘリコプターなどによる近接航空支援や強襲部隊揚陸によって橋頭堡を確保した後、後続兵員や物資、戦車などを揚陸するのが主任務となっている。

日本の海上自衛隊でもエアクッション艇1号型の名称で6隻を輸入している。
また韓国でも独島(ドクト)級?揚陸艦用にソルゲ*1型(LSF-II)として韓進重工業で4隻をライセンス生産するといわれている。

近年では海兵隊の車両が大型化の傾向にあるのを受け、後継としてペイロードを74トンに増強するなどしたSSC級*2が開発中だが、納入は2017年で初期作戦能力獲得は2020年予定の為、延命改修を施して2028年まで運用される予定である。

スペックデータ

種別エアクッション揚陸艇
主製造者テキストロン・マリーン&ランド社
エイボンデール造船所
排水量
基準/満載
約100t/170〜182t
全長24.7m/26.8m(エアクッション時)
全幅13.3m/14.3m(エアクッション時)
機関ハネウェル? TF-40ガスタービン(出力12,280馬力)×4基
最大速力70ノット以上/40ノット以上(最大積載時)
乗員5名
最大搭載人員180名(多目的コンテナ積載時)/240名(搭載最大限界)
積載能力最大約68t*3、主力戦車1台を輸送可能。
航続距離
(いずれも積載時)
200海里/40ノット
300海里/35ノット
兵装機関銃用架台×2基
M2 12.7mm機関銃
M60 7.62mm機関銃
・Mk19 40mm自動擲弾銃
・GAU-13 30mmガトリング砲*4

lcac_approach.jpg
LCAC-63


*1 鳶(とび)の意。
*2 Ship-to-Shore Connector.
*3 75トンと表記される場合があるが、これはメートルトンではなくアメリカトンによる。
*4 試験時に搭載。

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