【L-188】(えるいちはちはち)

Lockheed L-188 Electra.

アメリカのロッキード社が、1950〜60年代に開発・生産していたターボプロップ旅客機
同社製の大型レシプロ旅客機コンステレーション」の後継機として開発された機体で、アメリカ初のターボプロップ旅客機でもあった。

1950年代当時、レシプロ機の性能向上には限界が見えてきており、その一方で実用ジェット旅客機「コメット」が就航していたものの「ジェット機はまだ時期尚早」という声もあった。
その点、ターボプロップ機には「運行経費が安い」「レシプロ機からの乗員の転換が容易」という利点があった。

それらのことから、ロッキードは「今後10年くらいはターボプロップ機の時代が続くだろう」と予測。
その予測と、既に軍用ターボプロップ輸送機C-130が成功を収めていた実績もあり、開発に踏み切られたのが本機である。

しかし、本機の就役後まもなく、ボーイングが大型で優速なジェット旅客機「367-80」を就航させたため、ユーザーの興味と関心が喪失。
加えて、機体構造上の欠陥に由来する重大事故が続発し*1、その対策として巡航速度に大きな制限が加えられた結果、信用と販路も喪失。
結果、1961年には早くも生産中止が決定。わずか167機の生産に終わった。

しかし、本機の構造をベースにした対潜哨戒機P-3「オライオン」は、旧西側世界を代表する傑作対潜哨戒機として21世紀の現代でも多くの国の海軍空軍で用いられている*2


*1 NASAとロッキードによる原因究明の結果、プロペラの後流からくるフラッターで主翼が金属疲労を起こし、空中分解に至ったことが判明した。
*2 同機はカナダや日本でもライセンス生産された。

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