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*&ruby(あいえるきゅうじゅうろく){【Il-96】}; [#c17d5a0d]
1980年代〜1990年代、旧ソ連/ロシアのイリューシン設計局が開発・生産した[[四発>多発機]][[ワイドボディ>広胴機]][[旅客機]]。~
[[Il-86]]の改良型として開発された。~
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[[Il-86]]は「ソ連初のワイドボディ機」として開発・生産されたが、搭載していた[[ターボファン]][[エンジン]]が[[低バイパス比>バイパス比]]のものしか採用できなかったため、[[航続距離]]が3,600kmと短く、国際線で活躍するには明らかに不足していた。~
また、快適設備はあったものの西側の[[B747]]や[[DC-10]]などに比べれば[[アビオニクス]]も大きく劣っており、運用面でのメリットは皆無であった。~
そのため、ソ連の[[フラッグキャリア]]であったアエロフロート航空などは、1980年代中盤になっても旧式の[[Il-62]]を長距離国際線に使用せざるを得ない状況にあった。~
また、同機は西側諸国への販売ももくろんだものの、西側どころかソ連の[[同盟国]]である[[ワルシャワ条約機構]]加盟国でも採用するユーザーはほぼ皆無で、わずか106機の生産に終わっていた。~
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この反省に基づき、国際長距離路線の性能要求に適合するように改良されたのが本機である。~
研究と開発は1980年代の中ごろに始まり、1988年には基本型の「Il96-300」が[[初飛行]]している。~
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機体は構造材に複合材を採用して軽量化を図るとともに、[[グラスコックピット]]や[[フライバイワイヤー]]による機体制御、[[ウイングレット]]を装備した新型の[[主翼]]や[[高バイパス比>バイパス比]][[ターボファン]]を採用するなど、西側の[[ボーイング]]や[[エアバス>エアバス(企業)]]の機体に対抗しうるスペックを備えた機体として作られた。~
しかし、同時期に就航した西側の[[B747-400]]や[[A340]]、[[MD-11]]などがそろって[[2マンクルー]]を採用した中で操縦系統が依然として[[3マンクルー]]であったことや、上級クラスにすら個人用テレビが装備されないなど、多くの面で劣っており、その後の販売苦戦につながった。~
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その後の東欧諸国の民主化やソ連崩壊といった変革の中でも開発は続けられ、1993年にIl96-300がアエロフロート・ロシア航空で運行を開始した。~
また、1990年代に入ると胴体を延長し、[[プラット&ホイットニー]]社製のエンジンや西側製の[[アビオニクス]]を搭載した「Il-96M(旅客型)/Il-96T(貨物型)」の開発も始められ、1998年に「Il-96M」が初飛行している。~
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しかし、[[フラッグキャリア]]のアエロフロートですら長距離国際線用に[[B777]]や[[A330]]を導入するなど販売が苦戦したことから、2009年に旅客機型の生産中止が決定。~
以後は[[輸送機]]型および軍用型のみ生産されることになった。~
>しかし、昨今のロシアとアメリカ・西欧各国との関係悪化から、[[B777]]や[[B767]]の代替として旅客機型の生産再開が検討されているという。


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