【G36】(じーさーてぃしっくす)

H&K G36
H&KがHK36試作ライフルをベースに開発した、ドイツ連邦軍の現用突撃銃。社内呼称はHK50。

1970年代、ドイツ連邦軍はG3の後継に関する要求を出し、H&K社は独創的な機構を組み込んだG11の開発に着手する。
しかし、様々な問題が露呈したことで開発が難航し、冷戦終結後のドイツ再統一に伴い計画自体がキャンセルされた。
更に小銃弾のNATO規格が7.62mm NATO弾?から5.56mm NATO弾?に移行していたため、それに合わせた新型アサルトライフルの開発が急務となった。
このため、H&K社はG11の失敗を踏まえ、冒険的な技術は極力抑えてオーソドックスな技術を用いて、G3をベースとした試作ライフルHK36をベースにHK50を設計し、これを連邦軍が1996年に「G36」の名前で制式採用された。

軽量化の為に樹脂製パーツを多く用いているのが特徴。
外装部分のプラスチック部品はもはや珍しくないが、本銃では機関部内の部品にまで樹脂が使用されている。
それまでのH&K社製の銃とは一線を画し、機関構造を同社が固執していたローラーロッキングによるディレイドブローバックから、現在の主流であるシンプルなターンボルトロッキングとショートストロークピストン式ガス圧作動方式に変更。
人間工学に基づく使用感の良さも追及され、故障率も「ジャム?を死語にした」と云われるほど非常に低い。
また同社は土に埋めたG36を掘り出し、軽く土を払った程度で射撃を行うといったデモンストレーションを行うなど、過酷な条件下での作動の確実性をアピールしている。
また10分以内であれば水中につけても射撃に支障は無いと謳っている。
性能相応に値段も張るものの、ドイツ以外にもヨーロッパの軍隊や法執行機関、アメリカのSWATなどで採用が進んでいる。

スペックデータ

種別アサルトライフル
口径5.56mm
全長
(ストック展開時/収納時)
999mm/758mm(G36/36V、MG36/36E)
860mm/615mm(G36K/KV)
720mm/500mm(G36C)
銃身長480mm(G36/36V、MG36/36E)
318mm(G36K/KV)
228mm(G36C)
重量3,630g(MG36)
3,330g(G39V)
3,300g(G36K)
3,000g(G36KV)
2,820g(G36C)
3,830g(MG36)
3,500g(MG36E)
装弾数30発(箱型弾倉)
使用弾薬5.56mmNATO?
作動方式ガス圧利用ロータリング・ボルト
発射速度750発/分
銃口初速920m/秒(G36/36V、MG36/36E)
850mm/秒(G36K/KV)

バリエーション

  • G36:
    基本モデル。

  • G36E:
    エクスポート(輸出)モデル。倍率1.5倍のキャリングハンドル内蔵スコープを装備。

  • G36V:
    現行型。スコープを廃して、上面をマウントレールとしたキャリングハンドルや、新型のアジャスタブルストックなど、オプションが豊富。

  • G36K:
    銃身を短くしたカービンタイプ。

  • G36KE:
    Kの輸出モデル。G36Eと同様の輸出型キャリングハンドル&1.5倍内蔵スコープを装備する。

  • G36KV:
    G36Kにピカティニー・レールや伸縮式兼折畳みストックを装着したモデル。

  • G36C:
    短機関銃サイズの小型モデル。ロサンゼルスのSWATがこのモデルを正式採用している。

  • MG36:
    分隊支援火器モデル。C-MAG(100発ドラム型弾倉)や放熱を考慮したハンドガードなどを装備。

  • MG36E:
    輸出モデル。輸出版のキャリングハンドル&内蔵1.5倍スコープを装備。

  • SL-8:
    アメリカの民間市場向け輸出モデル。サムホール式固定ストックに改められ、ハンドガードに放熱用の穴が無いのが特徴。
    グラスファイバーとポリマーの複合材のカラーはライトセージになっている。

  • SL-8-6:
    ブラックカラーモデル。こちらはG36と同じ片側6つの放熱穴がある。

  • R8:
    HKオーストラリアが設計したSL-8の改良型。外見は変わらないが、サイトがG36CタイプからG36タイプになっている。

  • SL-9:
    SL-8をベースに、狙撃銃として再設計されたモデル。専用の7.62mmx37弾を使用する。



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