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*&ruby(じーすりー){【G3】}; [#k0cc32db]
Heckler & Koch G3~
西ドイツ(現ドイツ)の[[H&K>ヘッケラー&コッホ]]社が開発した[[自動小銃]]。使用弾薬は7.62mmNATO弾。~
非常に総合性能が高くソビエトの[[AK-47>AK47]]、アメリカの[[M16]]、ベルギーの[[FAL]]と並んで冷戦期の有力歩兵銃の一角として評価される突撃銃である。
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本銃の起源は[[第二次世界大戦]]の末期に遡る。~
当時のナチス政権下で開発されていた[[突撃銃]]のStG45は、完成を待たずに敗戦となってしまったが、戦後スペインへ渡った技術者たちの手により「[[セトメ]]」突撃銃として結実した。~
一方、そのころの西ドイツ陸軍は、ベルギーからFALを輸入し、「G1」の呼称で採用していた。~
しかし、ドイツでの[[ライセンス生産]]が許可されず、安定した調達に不安があり、また[[フルオート]]の安定性が悪かったことなどから、国産[[自動小銃]]の開発を模索していた。~
このため、セトメのパテントを買い戻して技術者を呼び戻し、改良を加えて完成したものがG3の呼称で採用された。~
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この銃が持つ構造上の特徴は、[[ローラーロッキング]]と[[ディレイドブローバック]]の組み合わせである。~
[[ローラーロッキング]]は[[MG42]]などにも採用されていたが、G3は[[MG42]]のような[[ショートリコイル]]ではなく、銃身の固定された擬似閉鎖機構の[[ディレイドブローバック]]を採った。~
これらにより発射時の反動やブレを抑え、7.62mm[[口径]]の銃としては[[フルオート]]時を含め高い命中精度を誇っている。~
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一方でこの機構は複雑であり、コストが高く手入れが煩雑という弱点を持っている。~
信頼性の低下を防ぐために硬度や精度の高い部品を採用していることが、いっそうコストを高めている。~
また異物の混入を防ぐためか、自動火器では一般的なホールドオープン機能を備えておらず、弾を撃ち切ってしまうと弾倉交換後に再度[[コッキング]]が必要になり時間がかかる。~
ローラーロッキングという特殊な閉鎖機構の関係上、[[ボルト]]を前進させるスプリングが強力なため初弾装填・コッキングがやりづらく、特に最初の数cmを引くときが最も硬い。~
また薬室に弾を残したまま弾倉交換するタクティカル・リロードも、ボルトに負担をかけるとして推奨されていない。~
[[ローラーロッキング]]という特殊な[[閉鎖機構]]の関係上、ボルトを前進させるスプリングが強力なため初弾装填・コッキングがやりづらく、特に最初の数cmを引くときが最も硬い。~
しかし一般に反動が大きすぎる7.62mm[[口径]]の銃の中では非常に撃ちやすいため、G3を採用した国は多い。~
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またH&K社は、軍用小火器の市場に一大シェアを築くことを図って、このG3をベースに様々な口径・種類の小火器を開発した。~
スナイパーモデルのG3SG/1を始め、セミオート狙撃銃[[PSG-1]]やその廉価版[[MSG-90]]、短機関銃の[[MP5]]、5.56mm口径仕様のHK33、軽機関銃のHK11、HK21などが作られ、そこからまた更なる発展型が作られた。~
しかしながら、それらはどれも高性能でそれ相応に高い評価は得たものの、そのぶんいずれも高価であったため、大ベストセラーとなったMP5を除けば商業的には大きな成功は得ていない。~
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後継となる筈だったG11の開発頓挫などもあって、東西統一後のドイツ連邦軍においても同社製の[[G36]]の登場までG3は主力ライフルとして使い続けられ、現在もDMRとして一部が現役である。~
後継となる筈だった[[G11]]の開発頓挫などもあって、東西統一後のドイツ連邦軍においても同社製の[[G36]]の登場までG3は主力ライフルとして使い続けられ、現在も[[DMR>マークスマンライフル]]として一部が現役である。~
現在はH&K社の商品カタログには掲載されていないが、各国へ輸出されたG3はそのライセンス(或いはノンライセンス)生産モデルと共に、アフリカや東南アジアなどの苛酷な環境の中でも高い信頼性を示し、今日再評価されつつある7.62mm口径の高威力もあって、今もなお各国軍で現役であり、その高いポテンシャルを示している。~
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余談ではあるが、東京マルイから発売されているG3のコンパクトモデルである電動ガン「G3/SAS」は架空の銃である。~


**スペックデータ [#of3fc43f]
|種別|自動小銃|
|口径|7.62mm|
|全長|1,026mm|
|銃身長|450mm|
|重量|4,410g|
|装弾数|20発(箱型弾倉)&br;30発、43発(箱型弾倉)&br;50発(ドラム型弾倉)|
|使用弾薬|7.62mm NATO弾|
|作動方式|ローラー・ロッキング/ディレイド・ブローバック|
|発射速度|600発/分|
|銃口初速|790m/秒|
|有効射程|500m|
**主なバリエーション [#jbda7df5]
***7.62mm×51NATO弾モデル [#b98adcbb]
-G3:基本モデル。
-G3A1:MP40やAKMSに類似した回転式フォールデングストックモデル。
-G3A2:ドラム式リアサイトモデル。
-G3A3:樹脂製の固定式ストック、ハンドガードを装備するモデル。最も普及している。 
--G3A3A1:G3A3の両手利きトリガーグループモデル。
--G3A3ZF:G3A3にスコープを搭載したモデル。
-G3A4:G3A3の伸縮型ストックモデル。
--G3A4A1:G3A4の両手利きトリガーグループモデル。
--G3KA4:G3A4の[[カービン]]モデル。
--G3KA4A1:G3KA4の両手利きトリガーグループモデル。
-G3A5:G3A3のデンマーク向けモデル。デンマーク軍ではGv m/75の名称で制式化された。
-G3A6:G3A3のイラン向けモデル。
-G3A7:G3A3のトルコ向けモデル。
--G3A7A1:G3A4のトルコ向けモデル。
-G3P4:G3A4にパキスタン・オーディナンス・ファクトリー(POF((Pakistan Ordnance Factories)))社製のニ脚を付けたモデル。
-G3-TGS:HK79グレネードランチャー搭載モデル。
-Ak4:G3A3のスウェーデン製作モデル。[[M203]][[グレネードランチャー]]、光学サイトが装着できる。
--Ak4HV:Ak4のサイトを取り外し、着脱式光学機器内臓キャリングハンドルを装備したモデル。
-BA-63:G3A3のミャンマーでのライセンス生産モデル。グリップや銃床など一部の部品が木製に変更されている。
-BA-100:G3A3ZFのミャンマーライセンス生産モデル。
-G3SG/1:精度の良い個体に命中精度を向上させる改良を施し、ニ脚やスコープを付けた[[マークスマンライフル]]モデル。
-G8:HK11をドイツ国内向けにしたモデル。
-G3 BP:アメリカのArmament Research社が作ったブルパップ式ライフル。
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***再設計モデル [#v520d4c5]
-PSG-1:G3をベースに再設計された狙撃銃。
-MSG-3:G3をベースに再設計された狙撃銃。G3タイプの狙撃銃のなかで一番G3に近い、MSG-90タイプのストックを装備する。
-MSG-90:PSG-1を軽量化・低コスト化したモデル。フロントサイトがあるA1もある。
-PSR-90:パキスタン・オーディナンス・ファクトリー社製が独自に開発したフロントサイトなしのG3SG/1にPSG-1のストックを組み合わせたモデル。
-ブルパックG3:イランの防衛産業機構(DIO)がG3をブルパップ化したもの。
-HSG-1:ルクセンブルクのLUXDEFTECがPSG-1にオリジナルパーツをつけたもの。
-MSG-90 SDN:メキシコのSEDENA社がMSG-90の銃床の顔当てとハンドガードを木製にしたもの。
-PTR91:アメリカのPTR-91 Inc.社が製造するG3。ハンドガードはPTR-91 Inc.社のオリジナルパーツを装備する。
-MSG 91:アメリカのPTR-91 Inc.社が製造するG3タイプの狙撃銃。ハンドガードはオリジナルで、マグプル社のPRS2ストックを装備している。
-BA-72:BA-63の短銃身化モデル。ハンドガードを縮小したためG3Kとは別物である。~
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***HKシリーズ [#f61d34a7]
-HK11:ドラム弾倉式式軽機関銃([[分隊支援火器]])。
-HK21:弾帯式式汎用機関銃。
-HK41:G3の民間向けモデル。
-HK91:HK41の改良型。フルオート機構を追加出来ないようにした。
-HK91:HK41の改良型。[[フルオート]]機構を追加出来ないようにした。
-SR9:HK91にサムホールストックを装備したモデル。
-SR9(T):SR9にPSG-1タイプのトリガとピストルグリップ、MSG-90タイプのストックを装備したモデル。
-SR9(TC):SR9にPSG-1タイプのトリガとピストルグリップ、ストックを装備したモデル。
-XR41:HK41をイギリスのセイブルディフェンス社がライセンス生産したもの。~
~
***社外カスタムガン [#c5b0d8d3]
-HK51:HK91をサブマシンガンサイズに切り詰めたモデル。アメリカのガンスミスの作品で、規制に合わせ銃身が突き出ている。
-MC51:イギリスのFRオーディナンス製カスタムガンで、G3をサブマシンガンサイズに切り詰めたモデル。
-MC51 SD:イギリスのFRオーディナンス製カスタムガンで、MC51に内装式サイレンサーを装備したモデル。~
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***7.62mm×39弾モデル [#o2aa3be2]
-HK32:[[AK-47>AK47]]と共通の弾薬・弾倉を用いるモデル。
--HK32KA3:カービンモデル。
--HK32KA3:[[カービン]]モデル。
-PK7:パキスタン・オーディナンス・ファクトリー社製のオリジナルカービン。G3A3がベース。
-SW-32:アメリカのSpecial Weapons社が製造するモデル。
-PTR32:アメリカのPTR-91 Inc.社が製造するHK32。ハンドガードはPTR-91 Inc.社のオリジナルパーツである。~
~
***5.56mm×45弾モデル [#l3db56c2]
-HK33:5.56mm口径突撃銃。
-HK33:5.56mm口径[[突撃銃]]。
--HK33K:カービンモデル。
-T223:HK33のアメリカのH&R Firearmsでのライセンス生産モデル。
-T43:HK33A2のトルコMKE社でのライセンス生産モデル。
-PK8:パキスタン・オーディナンス・ファクトリー社製のG3A3ベースのオリジナル。G3A3の装填口に新設計部品を付けHK33用マガジンが使えるようにしている。
-T50:トルコのMKE社が独自に開発したもの。独自のハンドガードと半透明マガジンと[[M4]][[カービン]]の伸縮式銃床、ピカティニー・レールを装備している。G36タイプの折りたたみ式銃床を装備したものもある。
-T50:トルコのMKE社が独自に開発したもの。独自のハンドガードと半透明マガジンと[[M4]][[カービン]]の伸縮式銃床、ピカティニー・レールを装備している。[[G36]]タイプの折りたたみ式銃床を装備したものもある。
-HK33SG/1:命中精度を上げ、ニ脚を付けた[[マークスマンライフル]]モデル。
-T12:トルコのMKE社が独自に開発した狙撃仕様のモデル。HK33のバレルを延長し、リアサイトを取り外し、PSG-1のストックとピカティニー・レールのハンドガードを装備したモデル。
-11式:タイ製。HK33をブルパップ化したもの。サイトがM16タイプになっており、ステアーAUGタイプのバーティカル・フォアグリップが付いている。
-11式:タイ製。HK33を[[ブルパップ]]化したもの。サイトが[[M16>M16(小銃)]]タイプになっており、ステアー[[AUG]]タイプのバーティカル・フォアグリップが付いている。
-HK13:HK11の5.56mm口径版。
-HK23:HK21の5.56mm口径版。米軍のトライアルにおいてM249に敗れた。
-HK23:HK21の5.56mm口径版。米軍のトライアルにおいて[[M249>ミニミ]]に敗れた。
-HK43:HK33の民間向けモデル。
-HK53:サブマシンガンサイズに切り詰めたモデル。
-HK93:HK43の改良型。フルオート機構を追加出来ないようにした。
-G41:[[M16]]と共通の弾薬・弾倉を用い、ポリゴナルライフルを備える、NATOトライアル仕様。イタリア軍トライアルにおいてベレッタAR70/90に敗れた。
-G13:マガジン装填式軽機関銃。M16のマガジンと互換性を持つ、NATOトライアル仕様。
-HK93:HK43の改良型。[[フルオート]]機構を追加出来ないようにした。
-G41:[[M16]]と共通の弾薬・弾倉を用い、[[ポリゴナルライフル]]を備える、[[NATO]]トライアル仕様。イタリア軍トライアルにおいてベレッタAR70/90に敗れた。
-G13:マガジン装填式軽機関銃。[[M16>M16(小銃)]]の[[マガジン>弾倉]]と互換性を持つ、[[NATO]]トライアル仕様。
***MP5シリーズ [#zeaf71bc]
-[[MP5]]:G3ベースの短機関銃。詳しくは項を参照。~


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