【FN ファイブ・セブン】(えふえぬふぁいぶせぶん)

Fabrics National Five-seveN (FN-FN).

ファブリック・ナショナル社が開発した半自動式拳銃
「ファイブ・セブン」という名前は、その口径である5.7mmに由来する。
ちなみに"Five-seveN"の最初と最後を大文字にするのは、メーカー名(FN)との語呂合わせによる洒落だといわれている。

一般的な中型拳銃よりもやや大きい程度のサイズながら装弾数が20発と多く、貫通力に優れる。
また、ポリマー樹脂を多用したフレーム、ストライカー撃発機構、フレーム前部のマウントレールなど、近年の流行を採り入れている。
フレームのみならず、スライドもプラスチックで覆われているため、連射をしても表面温度は素手で触れられる程度にしか上昇せず、寒冷地での過熱や冷却による皮膚の張り付きも起こらない。
デザインも特徴的で、特に初期型に採用されていたピーナッツ形状のトリガーガードは注目を浴びた。
作動方式は一般的なショートリコイルではなく、ディレイドブローバックとなっている。
総じて性能は高いものの、特殊な規格のため比較的高価であり、普及は進んでいない。

同社製のP90と共通の5.7mm×28口径弾を使用する事を念頭に置いて設計されている。
しかしオリジナルのSS90弾は拳銃用弾倉に収めるには長すぎたため、テレスコピック弾?にして全長を縮め、精度、貫通力も高めたSS190がP90との共通弾として開発された*1。これによりSS90弾は絶版となる。
SS190弾はライフル弾を小型にしたようなボトルネック形状で、弾頭は従来の拳銃弾のようなドングリ形ではなく鋭利な円錐形をしている。
そのため秒速650メートルと弾丸の初速が速く、クラス3のボディアーマーを撃ち抜く貫通力を持つ。
さらに人体等の軟体に命中すると弾丸が横転する(タンプリング)性質を持っていて、貫通せずに体内の傷口を広げるのでマンストッピングパワーも高い。

装弾数が多すぎる点と、防弾チョッキを貫通する破壊力が災いして販売先は法執行機関に限られていたが、2005年にアメリカの拳銃装弾数規制が撤廃されたのを受け、同年のショットショーにて貫通力を落としたスポーツ用弾薬市販と共に民間モデルが発表、販売が開始された。
ただし、5.7mm×28のフルメタルジャケット弾は現在でも規制対象であり、民生用にはソフトポイント弾が供給されている。

2013年ショットショーにて、Five-seveN MK2という新モデルが発表された。
新モデルではスライド前部にもコッキング用セレーションが追加され、旧モデルで灰色だった操作系統はすべて黒色樹脂になり、アジャスタブルサイトの形状も変更された。

スペックデータ

口径5.7mm
全長212mm
銃身長130mm
重量843kg
使用弾薬5.7mm×28弾
装弾数20発
作動方式銃身遊動遅延ブローバック
銃口初速600m/s

主なバリエーション

  • 初期モデル:
    ダブルアクションオンリー。マニュアルセーフティ?無し。現在は販売終了。

  • 現行モデル:
    ダブルアクションオンリー。マニュアルセーフティ有り。トリガーガードはストレート形状。

  • タクティカル:
    公用モデル。USG発売時に米国内向けのIOMを改称。
    発砲時の命中精度を上げるため、初期モデルをシングルアクションに変更したもの。
    マニュアルセーフティ有り。

  • IOM*2
    公用モデル。タクティカルと全く仕様は一緒。マガジンセーフティ有り。初期型はピーナッツ型トリガーガード。
    USG発売に伴い廃止。

  • USG*3
    アメリカ市場向け民間モデル。シングルアクション。マニュアルセーフティ、マガジンセーフティ有り。
    初期モデルは装弾数が10発であったが、2004年の連邦攻撃武器規制(AWB)解除により装弾数が20発になった。


*1 減音器用の亜音速弱装弾?は、回転不良の原因となるため共用できない。
*2 Individual Officer's Model.
*3 United States Government.

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