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【FAL】 †
FN FAL
ベルギーのFN社が1948年に開発した自動小銃。
FALは「Fusil Automatique Leger(仏: 軽自動小銃)」の略で、フランス語表記のため輸出向けにはLAR(Light Automatic Rifle)とマーキングされる。
第二次世界大戦末期に登場したドイツ軍のStG44の出現後、各国で従来の小銃弾より弱装の弾薬を使用し、フルオート機能を備えたライフルの開発が進められ、ソ連ではAK-47を開発、配備を進めていた。
FALは小銃弾のセミ/フルオート射撃が可能な主力歩兵銃として開発された、西側諸国の第1世代突撃銃の中でもごく初期のライフルである。
使用弾には連射時の制御性を考慮して7.92mmクルツ(7.92mmx33)や、.280(7mmx43)など短小弾を使用する予定であった。
しかし当時ソビエトを盟主とした東側勢力に対抗すべく、アメリカと西ヨーロッパ諸国とで北大西洋条約機構(通称: NATO)が結成され、戦時に備えてNATO内で小銃弾の共通を行い兵站を単純化させる事を決定した。
そして統一弾の選定が始まったが、ここでアメリカが7.62mmx51の採用を声高に主張、そのまま発言力に物を云わせて7.62mm×51がNATO規格に採用され、開発途中だったFALも統一弾への変更が行われたが、もともと短小弾が前提だったFALには7.62mmx51弾は威力が大き過ぎ、結果、威力と射程距離は向上したもののフルオート射撃の制御性は著しく低下してしまった。
しかしセミオート射撃時の命中精度は極めて良好で、西側突撃銃としては初めてピストルグリップと箱型弾倉を標準化、巧みなレバー配置のおかげで各操作が片手で行え、少々コスト高ながら削り出し加工で製造されたレシーバー(機関部)も耐久性が高く、強力な7.62mmx51の連射でも歪みが出にくいと好評で、また工具なしで主要部品を分解できるなど、整備性にも配慮がなされていた。
AKとは対照的に、パーツのクリアランスを極めて小さくすることで動作の確実性を高めており、砂塵には弱いものの、他の環境には強い。
こうして当時としては非常にバランスの取れた小銃として、ベルギー、イギリス(L1A1、スコープ付はL1A2)、オーストリア(Stg58)、カナダ、イスラエル、西ドイツ(G1、後にG3へ移行)、アルゼンチン、ペルーなど多くの国で、5.56mm弾が主流になる1980年代まで主力小銃として運用され、FALは西側を代表するアサルトライフルとなった。
FALは当初ハンドガード、ストック?、グリップなどは木製であったが、後にハンドガードをスティールプレスにしたモデルがオーストリア、オランダ、西ドイツ向けに開発され、後期モデルでは、プラスティック部品を多用し軽量化を図るなど、発展がなされた。
かくしてFN社の大成功作となったFALだが、これが後に同社にとって仇となり、M16以降、世界的に小口径高速弾が主流となる中で、FN社は完全に流れに乗り損ねた。
FALの5.56mm版『CAL』を送り出すものの、耐久性不足などでそっぽを向かれ、続いて開発したFNCも完全にタイミングを逸しており、使用弾のSS109のみが新たな5.56mmNATO弾として採用されたものの、銃本体はさほどヒットしなかった。
これが響いてFN社は一時不遇の時代を迎える。FALも元々低反動の短小弾を念頭に開発されていただけに、何とも皮肉な話である。
ところが、近年になって今度は5.56mm弾の射程不足が問題となり、7.62mm弾が見直されるようになると、M14などと共にFALにも再び脚光が当たり始める。
現在ではブラジルの国営企業、インベルがライセンスモデル「M964」や5.56mmの突撃銃モデル「MDシリーズ」を生産しており、それぞれ同軍の制式歩兵銃として採用されている。
他にも2006年3月の時点ではネパール軍が、またノンライセンスながらインド軍が使用している事が確認されている。
民間向けにも人気が高く、アメリカをはじめ現在もスポーターモデルの生産が続けられており、アメリカのDSA社からはマウントレールなど各種オプションパーツの供給が続けられ、SA58という同社独自のFALクローンが作られている。
スペックデータ †
全長 | 1090mm(STD) 736〜990mm(Para) |
銃身長 | 533mm(STD) 431mm(Para) |
重量 | 4,325g(STD) 3,770g(Para) |
施条方式 | 6条右転 |
作動・閉鎖方式 | ショートストロークピストン式ガス圧作動・ティルトボルト式 |
発射速度 | 650~700発/分 |
装弾数 | 20発(箱型弾倉) |
使用弾薬 | 7.62mm×51NATO弾 |
バリエーション †
- FALO:
LAR-HB(ヘビーバレル)とも呼ばれ、肉厚銃身と二脚を追加し、30連発マガジンを装備した分隊支援火器仕様。
プラスチック製銃床を装備したFAL 50.41型と木製銃床を装備したFAL 50.42型が存在する。 - FAL 50.61:
FAL Para(パラトルーパー)と呼ばれる、空挺部隊向け金属製折畳み式銃床装備型。
- FAL 50.63:
上記のFAL 50.61を基に、銃身長を458mm、もしくは436mmに短縮したカービンタイプ。 - FAL 50.64:
FAL 50.61を基に、ロアレシーバーをアルミニウム合金製に変更した改良型。
- FAL 50.63:
- LARコマーシャルモデル:
米国輸出向けに、FAL(LAR)やFALO(LAR-HB)のフルオート機構を除去したモデル。 - G1:
ドイツ連邦軍に採用されたモデル。
ベルギー政府とFN社は「西ドイツにFN FALのライセンスを与えれば、再び我々ベルギーがFN FALで攻撃されるかもしれない」という理由で、西ドイツでのライセンス生産を認めなかった。
そのため、ドイツ連邦軍はトライアルを繰り返し、G2(SIG SG510)を経て、G3(H&K HK31)を採用した。 - L1A1:
イギリスによって再設計されたモデル。L1A1は採用名で、正式にはSLR(Self Loading Rifle)。
フルオート連射機能を省略、泥や塵を排出するためボルトキャリアにスリットを施し、66mmライフル・グレネードを銃口に装着し発射することが可能。
イギリスではヤード・ポンド法を施行していたため、インチに設計し直されおり、そのためメートル設計のFALと部品の互換性が無い。
- 1A:
インドがFN社のライセンスを得ずに、無許可で開発したモデル。
旧宗主国イギリスのSLRに基づいており、イシャポール造兵廠で生産された。
- 1A:
- C1:
カナダに採用されたモデル。L1A1同様インチ設計でフルオート機能を持たない。 - Sturmgewehr 58(StG 58):
1958年にオーストリアでは採用された、銃口にライフルグレネード射出用スリットが多数施されたモデル。
前期型はFN社で生産され、後期型はステアー社で生産された。 - T48E1:
アメリカ軍の制式アサルトライフル選定のために、米国内で2,000挺限定生産したFALに与えられた形式番号。
M14との比較試験を実施した。 - SA58:
米国DSA社が生産するカスタムモデル。
G1、Stg58、T48を模したモデルや、SA58Tactical Seriesでは、アッパーレシーバーに光学機器用マウントレールが標準装備され、RASが装備されているカービンSA58 Eliteや、さらに短くしたSA58 OSW、狙撃銃のSA58 SPRなどがある。 - インベル MD:
ブラジルの国営軍需企業であるインベル社が開発したアサルトライフル。過去にFALを製造していた経験を元に1982年から開発を開始、FALの代替として制式化、ブラジル軍に配備された。
5.56×45mm(.223NATO)とNATO標準のSTANAGマガジンを使用し、そのために全長がFALより90mmほど短くなっている。 - SAR48:
インベル社がスプリングフィールドアーモリー社を介して米国市場に投入したセミオートモデル。
ハンドガードの形状がイスラエルIMI社製と酷似し、グリップが木製、通気口部分が金属製となっている。 - FM FAL:
アルゼンチンの国営造兵廠であるFM社がライセンス生産したもの。
フォークランド紛争にも使用され、敵対するアルゼンチンとイギリスの双方がFALを使用し、戦闘を行っている。