• 追加された行はこの色です。
  • 削除された行はこの色です。
*&ruby(えふよん){【F-4】}; [#dc6dfdf8]
McDonnell Douglas F-4 (F4H) "&ruby(ファントムツー){Phantom II};".~
(ただし単に「ファントム」といわれることも多い。)~
米ソ[[冷戦]]期の1950年代後半、[[アメリカ海軍]]の[[艦上機]]として開発された大型ジェット[[戦闘機]]。~
後述するように数々の派生型を生み出し、1980年代までの長きにわたって5,000機以上の生産を誇った((総生産数は5,195機(アメリカで5,055機、日本で140機)。&br;  超音速戦闘機で、同機に匹敵する生産数を誇るのは旧ソ連の[[MiG-19]]、[[MiG-21]]、[[MiG-23]]しかなく、西側世界では唯一のものである。))、西側世界を代表する傑作機である。~
後述するように数々の派生型を生み出し、1980年代までの長きにわたって5,000機以上の生産を誇った((総生産数は5,195機(アメリカで5,057機、日本で138機)。&br;  超音速戦闘機で、同機に匹敵する生産数を誇るのは旧ソ連の[[MiG-19]]、[[MiG-21]]、[[MiG-23]]しかなく、西側世界では唯一のものである。))、西側世界を代表する傑作機である。~
~
当時、[[アメリカ海軍]]が次期[[艦上戦闘機]]として要求していた[[マッハ]]2級の[[ミサイリアー]]を目指して、[[マクダネル>マクダネル・ダグラス]]社が[[F3H-G「デーモン」>F3H]]をベースに設計したF4H-1に端を発する。~
ライバルとしてチャンス・ヴォート社の[[F8U-3>F-8]]が存在したが、飛行審査の結果F4H-1が採用された(その後、[[機体命名法]]の変更に伴い名称が"F-4"へ変更された)。~
~
当時としては高度だった[[レーダー]][[火器管制装置]]を操作するため、複座となっている。~
強力な[[J79]][[ターボジェット]]を2基装備しながら、[[航空母艦]]の[[エレベーター]]に収まるサイズに設計された。~
その結果、太くて短い胴体に、[[下反角]]の大きな[[スタビレーター]]や折り畳み式[[クリップトデルタ]]翼を組み合わせた、独特の形状となった。~
この特異な外観から当初は「みにくいアヒルの子」とも揶揄されたが、童話よろしく後々の活躍により傑作[[戦闘機]]として評価されるようになった。~
ただし特殊な設計ゆえ、[[アドバースヨー]]など飛行特性上の悪癖も大きい。~
~
[[推力]]に余裕があるため、その外見に似合わず数々の速度記録や高高度記録を打ち立てた。~
また、[[搭載能力>ペイロード]]にも余裕が大きく、[[戦闘爆撃機]]としても優秀であった。~
ベトナム戦争では数々の戦果を挙げ、当時米軍で[[エースパイロット]]を生み出した唯一の機種として知られる。~
元々は[[ミサイリアー]]だったが、[[ベトナム戦争]]では[[機関砲]]の必要性が叫ばれたため、一部の機体に[[ガンポッド]]が装着され、空軍向けのE型以降のモデルでは固定武装として[[M61A1]]を装備した。~
~
当初の運用者であったアメリカ軍からは1996年までに全機退役したが、本機を輸入及びライセンス生産した各国では、それぞれの国情に応じた能力向上や近代化改修が順次行われ、現在でも9カ国の空軍((現在の運用者はイスラエル国防航空宇宙軍、エジプト空軍、イラン空軍、ギリシャ空軍、トルコ空軍、[[ドイツ空軍>ルフトバッフェ]]、スペイン空軍、[[航空自衛隊]]及び韓国空軍。&br;  この他、一時期は英国海軍・[[空軍>RAF]]やオーストラリア空軍でも運用されていた。))で数百機が作戦行動可能な状態を維持している。~
また、アメリカ国内では民間の非営利団体によって1機のD型が飛行可能な状態で保存されている他、アリゾナ州のデビスモンサン空軍基地に[[モスボール]]された機体が存在するという。

**スペックデータ[#c093af24]
|用途|[[艦上戦闘機]]/[[戦闘爆撃機]]([[マルチロールファイター]])|
|製造者|マクドネル・エアクラフト(マクドネル・ダグラス)|
|[[初飛行]]|1958.5.27|
|ユニットコスト|2,400万USドル|
|乗員|2名&br;(海軍型は[[エビエーター]]/[[RIO>レーダー迎撃士官]]、空軍型は[[パイロット]]/[[WSO>兵装システム士官]])|
|全長|19.20m|
|全高|5.02m|
|全幅|11.71m|
|[[主翼]]面積|49.2|
|空虚重量|13,757kg|
|最大離陸重量|28,030kg|
|最大[[搭載量>ペイロード]]|7,258kg|
|[[エンジン]]|[[GE>ジェネラルエレクトリック]] [[J79-GE-17A>J79]][[ターボジェット]]×2基&br;([[推力]]52.53kN/79.62kN([[A/B>アフターバーナー]]使用時))|
|最大速度|[[マッハ]]2.2|
|海面[[上昇率]]|18,715m/min|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|18,975m|
|フェリー[[航続距離]]|1,718nm|
|[[戦闘行動半径]]|430nm([[カウンターエア]])&br;618nm(阻止攻撃ミッション)&br;683nm(迎撃ミッション) |
|固定兵装 |[[M61A1]]20mm[[ガトリング砲>ガトリングガン]]×1門(弾数639発・E/F/EJ/EJ改型のみ)|
|搭載兵装((ドイツのF-4F ICEは[[AIM-120]]、ギリシャのF-4Eはそれに加えてIRIS-T、日本のF-4EJ改は[[90式空対空誘導弾]]・[[80式空対艦誘導弾]]・[[93式空対艦誘導弾]]、イランのF-4はロシアや中国製のミサイルを搭載可能。)) |胴体下ステーション&br;・[[AIM-7「スパロー」>AIM-7]]×4発&br;主翼下パイロン (空対空ミサイル用ステーション)&br;・[[AIM-9「サイドワインダー>AIM-9]]」×4発&br;胴体中心線下/主翼下パイロン (主翼下は空対空ミサイル用ステーション以外) &br;・[[核爆弾>核兵器]]&br;・[[M117無誘導爆弾>M117]]&br;・[[Mk.82無誘導爆弾>Mk.80シリーズ]]&br;・Mk.20[[クラスター爆弾]]&br;・テレビ/[[レーザー誘導爆弾]]&br;・[[空対地ミサイル]]&br;・[[空対艦ミサイル]]&br;・対滑走路兵器&br;・LAU-59 [[ロケット弾]][[ポッド]]&br;・AN/ALQ-119[[ECM]]ポッド&br;・AN/ALQ-131[[ECM]]ポッド&br;・ターゲッティングポッド&br;・偵察ポッド&br;・[[増槽]](2271L・1400L)等 |
~
#ref(f4h.jpg)
**主な派生型(カッコ内は生産・改修機数)[#c093af24]
-XF4H-1(2機):~
原型機。~
~
-YF4H-1(5機):~
試作機。~
~
-F-4A(F4H-1)(45機):~
試作および初期少数生産型。~
16機目(18号機)以前と17機目(19号機)以降とで[[レドーム]]と[[風防]]([[キャノピー]])の形状が異なる。~
~
-F-4B(F4H-1F)(684機):~
[[米海軍>アメリカ海軍]]・[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]向けに納入された前期量産型。~
~
-F-4C([[F-110A"Spector">F-110]])(583機):~
[[米空軍>アメリカ空軍]]向けモデル。~
主な改修点として[[AIM-4「ファルコン」>AIM-4]][[空対空ミサイル]]や[[AGM-12]]「[[ブルパップ]]」[[空対地ミサイル]]、[[核爆弾>核兵器]]の運用能力の付加、ブーム式[[空中給油]]装置の装備、低圧タイヤの搭載が挙げられる。~
また、海軍型とは違い、後席にも操縦機構を設けている。~
~
--EF-4C:~
[[F-105G>F-105]]の後継として、暫定的にC型を改修した[[SEAD>敵防空網制圧]]([[ワイルドウィーゼル]])機。~
兵器搭載能力や運用面でも制約があった為、やがてF-4Gへと交替した。~
~
-F-4D(825機):~
C型の[[FCS>火器管制装置]]を換装し、爆撃コンピューターの搭載や[[レーダー]]をAN/APQ-109Aに換装、低空目標の探知能力を向上させるなど対地攻撃能力を強化した空軍向けモデル。~
一部は韓国やイランへ輸出された。~
~
--EF-4D:~
D型を改修した[[SEAD>敵防空網制圧]]のテストベッド機。~
実際には採用されなかったものの、この機体で開発された機材がF-4Gの信頼性向上に繋がった。~
~
--F-4D(イラン改良型):~
D型をイラン軍が独自に改修した機体。~
中国製[[YJ-8/C-801>YJ-8]][[空対艦ミサイル]]を装備できる。~
~
-F-4E(1,397機):~
D型の改良型。~
機首を延長し、エンジンをJ79-GE-17に換装、新型の前縁スロット付きスタビレーターと前縁フラップを可動式スラットに変更した(([[サンダーバーズ]]所属機を除く。))。~
ベトナム戦争での戦訓から、固定武装として[[M61A1]]を装備する。~
F-4ファミリーの全シリーズを通じて最後まで生産が行われ((米本国での最終生産機は韓国空軍向けに生産された同型だった。&br;  なお、全シリーズ通じての最終生産機は1981年に三菱でライセンス生産されたEJ型の最終号機(第140号機)であった。))、各国に輸出された他、後述の通り、日本では[[ライセンス生産]]もされた。~
F-4ファミリーの全シリーズを通じて最後まで生産が行われ((米本国での最終生産機は韓国空軍向けに生産された同型だった。))、各国に輸出された他、後述の通り、日本では[[ライセンス生産]]もされた。~
~
--F-4EJ(140機):~
E型を日本の[[航空自衛隊]]に納入すべく、[[三菱重工>三菱重工業]]で[[ライセンス生産]]したもの。~
E型を日本の[[航空自衛隊]]に納入すべく、[[三菱重工>三菱重工業]]で[[ライセンス生産]]したもの((1981年に生産された本型の最終号機([[機体記号>シリアルナンバー]]17-8440)が、F-4全シリーズを通じた最終生産機となった。))。~
当時の政治的事情により、ASQ-91爆撃コンピュータなどの空対地攻撃能力や[[空中給油]]受油能力、空戦用スラットが省かれ、[[要撃戦闘機]]として生産された((後に、1976年の[[ベレンコ中尉亡命事件]]で、この施策の誤りが露呈した。))。~
~
--F-4EJ改(90機):~
EJ型の延命改修型。~
[[アビオニクス]]が更新((セントラルコンピューターのデジタル化やレーダーが従来のAPQ-120からAPG-66Jに変更された。))され、空対地攻撃能力や[[空中給油]]受油能力が復活、[[ASM-1>80式空対艦誘導弾]]、[[ASM-2>93式空対艦誘導弾]]などの国産兵装が運用可能になった。~
その他、[[RWR>レーダー警戒受信機]]やアナログ式[[慣性航法装置]]、[[IFF装置>敵味方識別装置]]等も更新された他、[[HUD]]も追加装備されている。~
~
--F-4E ファントム2000(クルナス2000):~
イスラエル空軍で使用されている、E型の延命改修型。~
油圧・燃料系統が改修されている。~
~
--F-4E 2020(52機):~
トルコ空軍が使用している、E型の延命改修型。~
「ターミネーター(Terminator)」の名を持つ。~
[[グラスコックピット]]化・エルタEL/M-2032[[レーダー]]への交換、トルコがライセンス生産している[[F-16]]に準ずる[[アビオニクス]]への変更が行われた。~
また、エンジンの換装や燃料タンクの増設など、機体自体の改修箇所も非常に多い。~
~
--F-4E(イラン改良型(形式不明)):~
E型をイラン軍が独自に改修した機体。~
~
--F-4E PI2000(39機):~
E型をギリシャ空軍が独自に改修した機体。「F-4E AUP」とも呼ばれる。~
仕様はドイツ空軍のF-4F ICEに準じているが、[[AIM-120]]や[[AGM-130]]、レーザー誘導爆弾の運用の運用能力の追加等、大規模な改修が行われている。~
~
-F-4T:~
E型の制空戦闘機型。計画のみ。~
デジタル化した[[火器管制装置]]を持ち、対地攻撃能力を省略してM61A1バルカン砲と胴体下にAIM-7を主翼下にAIM-9を各4発搭載する純粋な戦闘機任務(制空戦闘および要撃) に特化させていた。~
~
-F-4R(S)(3機):~
RF-4Xと同等の装備を持つイスラエル空軍向け[[偵察機]]。~
~
-F-4F(175機):~
[[F-104G>F-104]]の後継として導入したE型の[[ルフトバッフェ]]版改修型。~
[[アビオニクス]]を簡略化し、単座でも運用可能。~
[[AIM-7]]の運用能力が省略されている。~
~
--F-4F ICE((Improved Combat Efficiency:戦闘効率改善。)):~
F型の能力向上型。~
[[レーダー]]を[[AN/APQ-20]]から[[F/A-18]]に使用されている[[AN/APG-65]]に更新し、[[AIM-120]]の運用能力を付加している。~
~
-F-4G(1):~
[[敵防空網制圧]]専用型。米空軍[[ワイルドウィーゼル]]機。~
~
-F-4G(2):~
海軍のB型をベースに、[[データリンク]]を使用しての自動迎撃・自動着艦の実験用に改修された機体。~
~
-F-4J(522機):~
[[米海軍>アメリカ海軍]]・[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]向け後期量産型。~
[[パルスドップラーレーダー]]を備え、B型で装備されていた[[IRST]]が撤去された。~
また、C型用のメインギア回りと主翼、G型で開発された機材に加え、エンジンを従来のJ79-GE-8から出力を強化したJ79-GE-10に変更された。~
[[アメリカ海軍]]における、ベトナム戦争中唯一の[[エース>エースパイロット]]、[[カニンガム>ランダル・H・カニンガム]]/[[ドリスコル>ウィリアム・ドリスコル]]組が使用していた((このときの乗機は、帰路に北ベトナム軍のSAMに撃墜されて失われたため、現物は存在しない。))。~
~
-F-4K(52機):~
英海軍向けモデル。英名「ファントムFG.1」。~
[[エンジン]]はRB-168-25R[[スペイ]]・Mk.202[[ターボファン]]を搭載((後にMk.203に変更。))。~
また、レーダーをAN/AWG-11に変更し、機首の[[レドーム]]を英空母の[[リフト>エレベーター]]のサイズに合わせる為に折り畳み式にしている。~
1978年の[[正規空母]]全廃により、全機が空軍へ移管された。~
~
-F-4M(118機):~
K型の[[英空軍>RAF]]向けモデル。英名「ファントムFGR.2」。~
エンジンはロールス・ロイスRB-168-25R[[スペイ]]Mk.202(後にMk.204)に、レーダーをAN/AWG-12に変更されている。~
K型と比べて対地攻撃能力が強化されているほか、偵察ポッドの運用能力も追加され、SUU-23/A[[ガンポッド]]用の配線も当初から用意されている。~
他にも、電源車など地上設備が無くとも、内蔵バッテリーでエンジンを始動できるなど、他のタイプにはないユニークな特徴もあった。~
~
-F-4N(227機):~
B型の延命改修型。~
搭載電子機器をJ型相当にアップグレードした。~
~
-F-4S(248機):~
J型の延命改修型。~
空戦時の運動能力向上を意図して、前縁フラップをスラットに変更している。~
しかし、従来の機体より離着陸時の安定性が悪化している。~
~
-[[QF-4B/E/G/N/S/QRF-4C>QF-4]]:~
B/E/G/N/Sの各型及びRF-4Cの余剰となった機体を改造した[[標的機]]。~
~
-RF-4B:~
米海軍・海兵隊向け[[偵察機]]。カメラに加え[[SLAR]]などのセンサーを持つ。~
~
-RF-4C([[RF-110A>F-110]]):~
RF-4Bの米空軍版。~
ベトナム戦争後の改修により、自衛用の[[AIM-9]]の搭載が可能となった。~
~
--RF-4C SARA:~
RF-4Cをスペインで延命改修した型。~
[[アビオニクス]]を更新し[[AIM-9]]を装備可能。~
~
-RF-4E:~
RF-4Cの[[エンジン]]や[[アビオニクス]]をF-4E相当にし、C型にあった核爆弾運用能力を取り除いたもの。~
米空軍では採用されず、生産機のすべてが輸出にまわされた。~
~
--RF-4E クルナス2000:~
イスラエル空軍が使用する、RF-4Eの延命改修型。~
~
--RF-4EJ(15機):~
[[航空自衛隊]]で、近代化改修の対象外となった初期型のF-4EJに長距離撮影用偵察ポッドを装着した武装[[偵察機]]。~
LOROP(長距離斜め写真)撮影用ポッド運用能力しか持たない限定改修型とLOROPに加え、戦術電子偵察(TACER)及び戦術偵察(TAC)ポッドの運用能力、F-4EJ改規格のレーダー警戒装置を追加した量産改修型に分けられる。~
~
-F-4VG:~
可変翼モデル。計画のみ。~
~
-F-4X/RF-4X:~
[[CIA]]用高々度偵察型。提案のみ。~
HIAC-1という高性能なカメラを搭載し、高々度からの偵察に最適化されている。~
~


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS