【F-16】(えふじゅうろく)

General Dynamics F-16 Fightingfalcon

アメリカ空軍?LWF計画に基づいてゼネラルダイナミクス?(現ロッキード・マーチン)が開発した戦闘機
アメリカ空軍は当時最強と謳われるF-15を実用化したが、その高すぎるコストから十分な数を揃えられず、これを数で補うために低価格の戦闘機を望んだ。
そのためLWF(軽量戦闘機)計画*1が立案され、YF-16とYF-17の二機種が試作され、飛行審査の結果YF-16がF-16として採用された。

確実に勝つため保守的な設計をされたF-15とは対照的に、機動性と安定性を兼ね備えたフライバイワイヤー、胴体・ストレーキ・主翼が一体化したブレンデッドウイングボディ?コックピットの横に備えられた感圧式の操縦桿であるサイドスティックなど、低コストで高い効果を得るための新機軸が積極的に採用された。
試作型のYF-16からF-16Aとなるにあたってもっとも拡張を加えられたのが空対地戦闘能力であり、近代の制空戦闘機として必須装備となるIFF質問装置や中距離ミサイル運用能力は付与されないなど、主に対地攻撃機としての性能強化に特化していた。

特に中距離ミサイル運用能力に関してはCW発生器の追加によりスパローの運用が可能であり、開発途中における搭載テストの結果も良好であったが空軍は「必要無し」として搭載を見送った。
後に、州空軍向けに改修されたADF型にはIFF質問装置及びCW発生器が追加されている。

格闘戦戦闘機として開発された機体に対するこの方針転換は「高価なF-15を対空砲火の脅威にさらすわけにはいかない」という意向が働いたためと言われている。
これにより、BVR戦闘を行う際にはAWACSやF-15などの他のIFF質問装置を搭載している機体と無線交信し、敵味方識別を行ってもらわなければならないため、1991年の湾岸戦争中にはF-16は空対空撃墜を記録していない。*2
この後もF-16は主に対地攻撃能力の強化を続けていくが、後に行われた近代化改修でIFF質問装置を搭載した改修機はキャノピー前方にバードスライサーとあだ名される横に並んだブレードアンテナを装備していることで見分けられた。
しかし、このバードスライサーは現在ではステルス性向上のためにカバーで覆われており、特徴的なバルジとなっている。

初期のA・B型は制空戦闘用の制限天候戦闘機として開発されたが、近代化改修を繰り返し、現在は全天候戦闘攻撃機のC・D型が主力である。
とくにC・D型ブロック40以降の機体はLANTIRNを装備でき、高度な夜間攻撃力を持つことから、ブロック40・42はF-16CG・DGナイトファルコンとも呼ばれる。
ブロック50D・52D(別名F-16CJ・DJ)型は敵防空網制圧専用の機体で、AGM-88AN/ASQ-213HARM目標指示装置(HTS)を搭載しワイルドウィーゼル部隊に配備されている。

元々はF-15を投入する必要の無い低脅威下での任務を担当し、F-15の不足を補うはずだったが、高出力のエンジンとコンパクトな機体がもたらす優れた機動性に最新のアビオニクスが組み合わさったことで、非常に高性能な戦闘機へと生まれ変わった。
現在では様々な任務をこなせる使い勝手の良いマルチロールファイターの代表格としてその地位を固めており、110種類以上のバージョンに及ぶ4000機以上が19カ国で使用されている。
また、日本の航空自衛隊が使用するF-2支援戦闘機*3のベースにもなっている。*4

関連:戦闘機マフィア バラキート アジャイル・ファルコン F-2

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*1 後にLCF(低価格戦闘機)計画と改められる
*2 スパローを搭載出来る機体には原則、無改造で搭載可能なAMRAAMが開発されていなければ、この機体の任務は極めて限られたものになっていたであろう
*3 日米以外の空軍では「攻撃機」に定義される
*4 しかし実際には、種々の変更が加えられているため、本機との共通点はほとんどない。詳しくは当該機の項目を参照。

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