【ELINT】(えりんと)

ELectric INTelligence(電子諜報).

電子工学の実践的応用による、レーダーおよび無線通信を介した情報収集。
各種電子機器のリバースエンジニアリングを行い、その利用者・利用方法を分析する。
応用的に、敵のELINTを防ぐための防諜技術も含まれる。

大抵のスパイ組織は専門の電子情報技術者を抱えているが、最も盛んに研究されるのは軍事においてである。
電子戦の基礎であり、あらゆるジャミングECMECCMは前提としてELINTの理解を要する。
相手側が用いる通信機・探査機器の仕様や運用実態を知らずに電波妨害や盗聴を行う事はできない。

厳密には、やろうと思えばできなくもない。味方の通信・探査をもろともに妨害して良いのなら。
しかし実際の所、そのような無差別な電波妨害は戦略的にも戦術的にも無価値かつ害悪である。
自軍のC3Iを堅持する事こそ電子戦の最重要課題であり、敵の妨害はおおむね余録である。

軍用無線や防空網などは関連情報の機密性が高く、通常の方法で技術情報を収拾するのは困難である。
このため、国境付近ではしばしば「技術情報を巡る無血の小競り合い」が発生する。

例えば、偵察機を意図的に防空識別圏に侵入させ、攻撃を受ける前に撤退するのはELINTの常套手段である。
相手国は対領空侵犯措置を行わねばならず、その過程で必ず秘匿通信やレーダー走査が行われる。
その過程で発振された電波は偵察機に感知され、本国の技術者によって解析を受ける事になる。

関連:偵察機 情報収集艦 SIGINT COMINT


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS