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*&ruby(いーななろくなな){【E-767】};
[[B767-200ER>B767]]をベースに製作された、[[航空自衛隊]]向けの[[AWACS]]。~
*&ruby(いーななろくなな){【E-767】}; [#w3850fb1]
Boeing E-767（B767-27CER）.~
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採用検討当初、日本政府は[[アメリカ軍]]・[[NATO]]軍などが採用している[[E-3]]を発注しようとしたが、生産ラインが閉鎖された後だったため、同様のシステムを[[B767]]に載せることを[[ボーイング]]側が提案し、日本側がこれを了承して4機の発注を行った。 詳細まで設計し直すために開発費は日本が全て支払ったが、従来の[[B707]]より設計が新しい機体で製作したために、居住性や燃費が優れる機体に仕上がった。~
アメリカの[[ボーイング]]社が、自社製の中型[[セミワイドボディ>広胴機]][[双発>双発機]][[ジェット>ジェットエンジン]][[旅客機]]・[[B767-200ER>B767]]をベースに開発・生産した[[AWACS]]。~
なお、[[B767]]にとっては本機が初の[[軍用機]]型となった。~
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1999年から[[浜松基地]]の第601警戒飛行隊第二班で運用されている。~
本機の開発は、1970〜1980年代、日本政府が[[アメリカ空軍]]・[[フランス空軍>フランス軍]]などが採用している[[AWACS]]・[[ボーイングE-3「セントリー」>E-3]]を[[航空自衛隊]]に導入することを検討したのに端を発する。~
>この当時、空自は1976年に起きた[[ベレンコ中尉亡命事件]]の教訓((当時の[[迎撃戦闘機]]・[[F-4EJ>F-4]]に[[ルックダウン]]索敵能力がなく、下方の索敵が困難であったことと、地上のレーダーサイトからの索敵にも限界があり、低空で飛行した[[ベレンコ機>MiG-25]]を取り逃がしてしまった。))から、既に[[グラマン]][[E-2C「ホークアイ」>E-2]][[早期警戒機]]を導入していたが、同機は元々、[[アメリカ海軍]]の[[航空母艦]]に搭載されることを前提とした[[艦上機]]であり、また、警戒管制システムも[[アメリカ海軍]]の[[データリンク]]に関連付けられた構成になっていた(([[F-14A>F-14]]の[[火器管制装置]]・AN/AWG-9は連動が可能だったが、[[F-15]]のAN/APG-63は連動出来なかった。&br; また、[[アメリカ空軍]]の[[SAGE]]にはデータを直接送信できたが、空自の[[バッジシステム]]には直接伝送できなかった。))ことから、空自での運用には必ずしも向いているとはいえなかった。~
当初は、[[コスト高>金の壁]]からいったん[[E-3]]の導入は見送られたが、導入に向けた研究はその後も続いていた((この当時、[[B707]]の民間機としての受注はなくなっていたが、[[軍用機]]としての需要があったため、生産ラインはまだ稼働していた。))。
しかし、1990年代になって実際に計画が動き出したときには、ボーイングが[[E-3]]の母体となる[[B707]]の生産を終了していた((1991年に生産を終了している。))ため、[[E-3]]を新規調達することができなくなっていた。~
そのため、[[E-3]]と同様のシステムを[[B767]]に載せることを[[ボーイング]]側が提案。（[[E-3]]よりもさらにコスト高((1機当たりの予算は約500億円で、E-3の約2倍、[[E-2C>E-2]]の約6倍となった。))となるものの）日本政府はこの案を受け入れ、計4機を発注した。~
>当時の日本では、1980年代後半の超好景気の影響下で累積した巨額の対米貿易黒字の解消が問題となっていた。~
また、本機の母体となる[[B767]]は（1970年代に計画された[[YS-11]]の後継機計画「YX」との関連もあって）日本企業が生産工程の15％を担当しているため、完成機の輸入となる[[E-3]]と違って、日本企業にも調達費の一部が還流されるというメリットがあった。
（[[E-3]]に最適化されていた）システムを[[B767]]の機体に合わせて細部まで設計し直したため、開発費は日本政府が全額負担したが、（元々が1950年代の設計である）[[B707]]よりも設計の新しい機体を採用したため、[[E-3]]に比べて居住性や燃費が優れる機体に仕上がった((そのため、後に[[アメリカ空軍]]は[[E-3]]や[[E-8]]・[[EC>KC-135]]/[[RC-135]]の後継として、[[B767-400ER>B767]]を母体とした[[E-10]]の開発を行うことになった（なお、同機は連邦政府の国防予算縮減策により、2007年に開発が中止されている）。))。~
なお、1号機・2号機のみ[[操縦室>フライトデッキ]]に第2監視員席((一般のエアライン向けモデルでは「第2オブザーバ席」と呼ばれる。))が追加されている。~
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本機の生産は1993年に開始され、1994年にアメリカ国籍の民間機「B767-27CER((民間機としてのボーイング社内における顧客コード。「7C」は日本政府を表す（[[B747-47C]]も参照）。))」として日本政府に引き渡された「素体」となる機体が[[初飛行]]。~
その後、アメリカの有償軍事援助によりレーダーシステムの搭載などの改修を行ったうえで1998年に空自へ引き渡され、1999年から運用が開始された。~
現在、本機は4機とも静岡県・[[浜松基地>浜松飛行場]]の[[警戒航空団>航空団]]飛行警戒管制群第602[[飛行隊>スコードロン]]で運用されている。~
>なお、本機は空自以外にも韓国・台湾・オーストラリア[[空軍]]が導入を検討したが、1990年代末期の「アジア通貨危機」の影響でいずれの国でも導入が見送られ、その後、韓国とオーストラリアはより小型の[[B737]]をベースとした[[B737 AEW&C>B737]]を導入したため、2024年現在、全世界で4機しか存在していない。~
ただし、ボーイングでは他に[[E-3]]の後継機の開発が進んでいない[[アメリカ空軍]]での採用を見込んでおり、20機程度の需要があるとしている((後継として、[[B767-400ER>B767]]をベースとした「[[E-10B（スパイラル2）>E-10]]」の導入が2000年代に検討されたが、前述のとおり、国防予算の縮減によりキャンセルされている。&br; なお、2023年にアメリカ空軍は[[B737 AEW&C>B737]]を「E-7A『ウェッジテイル』」の名称で発注している。))。
[[E-3]]とは違い、本機にはこれといった[[愛称]]はつけられていないが、[[アメリカ軍]]将兵の間では自国軍のAWACSと混同することを避けるため「&ruby(ジェイワックス){J-WACS};」と呼ぶことがある。~
***機体記号の変遷 [#t0b03c96]
前述のとおり、本機はアメリカ国籍の民間機として素体の[[B767-200ER>B767]]が作られ、これにAN/APY-2レーダーなどの警戒管制システムを組み込んで作られた。~
その[[機体記号]]の変遷の経緯を下表にまとめた。~
| |CENTER:アメリカ民間機としての&br;[[機体記号]]|CENTER:自衛隊機としての&br;機体記号|CENTER:日本への&br;引き渡し年|
|1号機|CENTER:N767JA|CENTER:64-3501|CENTER:1998年|
|2号機|CENTER:N767JB|CENTER:64-3502|~|
|3号機|CENTER:N767JC|CENTER:74-3503|CENTER:1999年|
|4号機|CENTER:N767JD|CENTER:84-3504|CENTER:2000年|
**スペックデータ [#fb8e4532]
|乗員|[[操縦士>エビエーター]]2名（[[機長]]・[[副操縦士>副機長]]）+[[機器操作員>航空士(自衛隊)]]19名|
|全長|48.51m|
|全高|15.85m|
|翼幅|47.57m|
|翼面積|283.3��|
|[[水平尾翼]]幅|18.62m|
|ホイールベース|19.69m|
|ロートドーム直径|9.14m|
|ロートドーム厚|1.83m|
|空虚重量|132,903kg（推定）|
|最大重量&br;（[[離陸]]/[[着陸]]）|174,635kg/144,242kg（推定）|
|[[エンジン]]|[[GE>ジェネラルエレクトリック]] [[CF6-80C2B6FA>CF6]][[ターボファン]]（[[推力]]273.6kN）×2基|
|[[燃料]]容量|91,378L（推定）|
|速度&br;（最高/[[巡航>巡航速度]]）|800km/h以上 / 722 km/h|
|[[航続距離]]|10,370km|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|10,360m〜12,222m|
|連続警戒滞空時間|9.25時間（進出半径1,000[[nm>海里]]）/13時間（300nm）|
|[[アビオニクス]]|AN/APY-2 [[パルスドップラーレーダー]]|
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