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【E-4】 †
Boeing E-4"Night Watch".
アメリカ合衆国連邦政府の「国家空中作戦センター(NAOC:National Airborne Operations Center)」として、空軍が運用している空中指揮機。
当初は「国家緊急空中指揮所」(National Emergency Airborne Command Post(
(また、後述する任務の性質から「地球最後の日の飛行機」という異名でも呼ばれていた)
本機の任務は、核戦争や大規模な自然災害など、国家の存亡に直結する事態が発生した際に備え、政府及び軍の指揮中枢のバックアップ環境を提供してその機能停止を回避することである。
そのような事態が発生した際は、国家指揮権限を有する人物(大統領および国防長官)と指揮幕僚を乗せて空中へ退避し、アメリカ全軍への指揮をおこなう。
本機は、EC-135空中国家指揮所(Airborne National Command Post:ABNCP)の後継機として1973年に「発達型空中国家指揮所(AANCP)」の呼称で発注され、1974年に3機が就役(E-4A)。
後の1980年に各部を改良した1機(E-4B)が就役し、1985年までにA型として就役した機体全てがB型に改修された。
B747-200B をベースに製作された本機は、その任務を果たすため、さまざまな特殊装備を擁する。
世界各国に展開する司令部や部隊と通信するため、胴体上部に衛星通信用EHFアンテナや、機尾から曳航する6キロメートルのLF / VLFアンテナを装備する。
長時間滞空するために空中受油装置を備え、無給油で12時間、エンジンオイルの切れる72時間まで連続飛行が可能となっている。
核爆発に際して発生するEMP(電磁パルス)に備えて、各種電子装備に対策が施されている。
また機器の莫大な消費電力をまかなうため、各エンジンには150kVAの出力を持つ発電機が2基ずつ計8基が備えられている。
広大なキャビンは国家指揮権限作業室、会議室、ブリーフィングルーム、戦闘幕僚作業室、通信管制センター、休憩室に分けられている。
現在の本機は、4機全機がネブラスカ州・オファット空軍基地所在の空軍第55航空団に属し、大統領の近くに必ず1機以上が待機する態勢を整えている。
大統領がエアフォースワンに乗って外遊する際などには、必ずこれに随行して現地の空港(あるいは近くの在外米軍基地)へ飛び、海兵隊の運用する大統領専用ヘリ(マリーンワン)・VH-60Nと共に緊急事態に備える。
一時期、財政赤字削減策として本機の退役が検討されたこともあった*2が、2011年から順次近代化改装が施されており、まだ当面の間は使用されるものと見られている。
スペックデータ †
全幅:59.64m
全長:70.51m
全高:19.33m
主翼面積:510.95m²
自重:180,000kg
全備重量:362,900kg
最高速度:M0.86
エンジン:GE製 CF6-50E2ターボファンエンジン4基
Photo:USAF
*1 1994年以後、FEMA(連邦緊急事態管理庁)長官の要請で大災害時の被災地支援も行うようになったことから現在の名称に改められた。
*2 当初は2009年から順次退役し、2012年までに全機退役の予定だった。