【DC-5】(でぃーしーふぁいぶ)

Douglas DC-5/C-110/R3D.

アメリカのダグラス・エアクラフトが1930年代に開発・生産した双発レシプロ旅客機
ダグラス社の歴代DC(=Douglas Commercial(ダグラス・コマーシャル))シリーズの中ではもっとも生産数が少なく*1、また、主翼高翼配置にした点も特徴的であった。

当初、本機はDC-3DC-4よりも需要の低いローカル線向けの機体として開発された。
しかし、生産の始まった1940年には第二次世界大戦が起きており、民間向けの需要の大部分がキャンセル。
試作1号機はダグラスのライバルであったボーイング社創業者のウィリアム・E・ボーイング氏の自家用機になった後、軍部に徴用されて「C-110」として用いられた。
量産型の4機はKLMオランダ航空に引き渡されることになっていたが、オランダ本国にドイツ軍が侵攻していたため海外領土・オランダ領東インドの現地法人へ引き渡された。

このうち2機は、大東亜戦争の勃発に伴ってオランダ領東インドへ侵攻した日本軍鹵獲され、陸軍航空隊で輸送機通信・航法訓練機として用いられた*2

また、アメリカ海軍では「R3D」として用いられたが、海軍でもわずか7機の採用にとどまり、本機は合計12機が生産されただけで終わった。
そして戦後、生き残った機体はイスラエルへ輸出され、イスラエル空軍輸送機として用いられた。


*1 試作機の性格が強いDC-1を除く。
*2 残り2機はオーストラリアへ脱出し、同地で運用されていた。

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