【C96】(しーきゅうじゅうろく)

Mauser C96
マウザー社が開発した、世界初の軍用半自動式拳銃
日本では「モーゼル・ミリタリー」の通称で呼ばれることが多い。

DWM社のボルヒャルト・ピストーレに遅れをとったマウザー兄弟であったが、これを開発したヒューゴ・ボルヒャルトがDWM社を離反したため、彼を迎えて共同で開発したものが本銃である。
しかし実際に出来上がった銃は、ボルヒャルト・ピストーレのようにレシーバーが突き出てこそいないものの、機構的には銃床のないカービンそのものであった。
具体的には、弾倉がレシーバー前部に固定されており装填にクリップを用いること*1閉鎖機構遊底によることなど、ボルヒャルト・ピストーレよりも保守的な設計であった。
重心が前へ偏っているため銃口跳ねが少なく、外付けの銃床がない場合の命中精度は比較的良好になったものの、他の拳銃に比べれば銃床への依存度は高い。
しかし、当時はまだ自動小銃が実用化されていない環境で、後の著名なピストルでも用いられているロッキングブロック?が採用されているなど、ある意味では非常に先進的な設計であったともいえる。

現代の基準から見ればかなり「無駄に大きい」銃ではあったが、ボルヒャルト・ピストーレよりは携帯性に優れており、ドイツ軍の一部へ自衛火器として配備された。
数カ国へ輸出されたほか、中国やスペインなどではデッドコピーもおこなわれた。
中国の馬賊が、まさしく騎兵銃として使用していたことでも知られている。
デッドコピー先でフルオートに改造されることもあり、本家であるマウザーマシンピストル型のM712を製造した。

また専用の7.62mmボトルネック弾?小銃弾のように長射程で貫通力が高く、広い平原での戦闘に有利であった。
これは後年、ソ連軍のトカレフTT33にコピーされた。

スペックデータ

全長:308mm/630mm(ストック装着時)
銃身長:140mm
重量:1,100g/1,750g(ストック装着時)
使用弾薬:7.63mm×25モーゼル弾
装弾数:10発、20発
作動方式:シングルアクション・ショートリコイル
銃口初速:430m/s


*1 特許問題で銃把に弾倉を内蔵できなかったといわれる。

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