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*&ruby(しーきゅうじゅうろく){【C96】}; [#y1d15291]
Mauser C96~
Mauser C96.~
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[[マウザー]]社が開発した、世界初の軍用[[半自動式拳銃]]。~
[[マウザー]]社創設者であるマウザー兄弟と、[[ボルヒャルト・ピストーレ]]の設計者ヒューゴ・ボルヒャルトによる共同開発。~
日本では「モーゼル・ミリタリー」の通称で呼ばれることが多い。~
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分類上は[[半自動式拳銃]]だが、実際には「銃床のない[[カービン]]」と表現した方が実態に近い大型の銃。~
後に主流となる銃把内蔵式の[[弾倉]]を採用せず、上から弾倉クリップを差し込んで装填する方式が最大の特徴。~
装填位置の関係で銃身が前に偏っており、発射時の反動で銃身がぶれにくい。~
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銃床を取り付けてカービンとして用いる事が望ましく、現代の基準から見ればかなり「無駄に大きい」銃である。~
しかし、同時代の[[ボルヒャルト・ピストーレ]]などと比べれば携帯性に優れており、ドイツ軍の一部へ自衛火器として配備された。~
数カ国へ輸出されたほか、中国やスペインなどでは[[デッドコピー]]もおこなわれた。~
中国の馬賊が、まさしく[[騎兵銃>カービン]]として使用していたことでも知られている。~
[[デッドコピー]]先で[[フルオート]]に改造されることもあり、本家である[[マウザー]]も[[マシンピストル]]型のM712を製造した。~
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また専用の7.62mm[[ボトルネック弾]]は[[小銃弾]]のように長射程で貫通力が高く、広い平原での戦闘に有利であった。~
これは後年、[[ソ連軍]]のトカレフ[[TT33]]にコピーされた。~
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**スペックデータ [#o89ab266]
|全長|308mm/630mm(ストック装着時)|
|銃身長|140mm|
|重量|1,100g/1,750g(ストック装着時)|
|使用弾薬|7.63mm×25モーゼル弾|
|装弾数|10発、20発|
|作動方式|[[シングルアクション]]・ショートリコイル|
|銃口初速|430m/s|
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**バリエーション [#vf9012b6]
-モーゼル・ミリタリー9mm(M1916):~
ドイツ軍の正式拳銃弾である[[9mmパラベラム>9mmルガー]]弾用に改造されたモデル。~
グリップに赤字で「9」と刻印されたことから「レッド9」と呼ばれる。~
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-ボロ・モーゼル:~
ロシア向け輸出モデル。グリップがやや太く、バレルは4インチに短縮されている。~
「ボロ」は「ボリシェヴィキ((большевики:ロシア社会民主労働党が分裂して形成された、ウラジーミル・レーニンが率いる左派の一派。名称は「多数派」の意。))」の略で、ロシア革命前後にボリシェヴィキとその敵対勢力双方に好んで用いられた。~
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-ボロ・モーゼル 6ショット:~
弾倉を6連発にしたモデル。~
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-モーゼル・フラットサイドモデル:~
側面の凹凸をなくし、磨き上げたモデル。~
中国ではその鏡のような磨き上げた側面から「大鏡面」の別称がある。~
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-モーゼル・ライエンフォイヤー(M713):~
[[フルオート]]モデル。社内名称はM1931。~
ライエンフォイヤー(Reihenfeuer)とはドイツ語で「連射」の意。~
マガジンが脱着式となり、10発と20発弾倉が用意された。~
しかし、フルオート時の振動でセレクターが勝手に切り替わるなど欠陥が多く、短期間で生産中止になった。~
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-モーゼル・シュネルフォイヤー(M172):~
ライエンフォイヤーの欠陥を改めた[[マシンピストル]]モデル。~
シュネルフォイヤー(Schnellfeuer)はドイツ語で「速射」の意。~
M713と同様、10発ないし20発の着脱式マガジンが用意されたが、従来通りのクリップによる装填も可能である。~
使用弾薬は7.63mm×25モーゼル弾だが、9mmルガー弾を使用するタイプもある。~
ドイツ軍では、主に空軍の[[砲兵]]部隊のオートバイ伝令兵や[[降下猟兵>空挺部隊]]、[[武装親衛隊>親衛隊]]に供与された。~
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-モーゼル・M174:~
アメリカなどへの輸出や護身用として販売されたモデル。~
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-山西17式:~
C96に[[.45ACP]]弾に対応させる改良を施したモデル。~
左側面に「壹柒式」の刻印、右側面に「民国拾捌年晋造」の刻印がある点でC96と区別できる他、トリガーガード下で広がる大型の10発装填マガジンが外見上の特徴となっている。~
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-漢陽製C96:~
漢陽兵工廠製のC96のコピー。~
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-モ式大型自動拳銃:~
中国戦線で[[鹵獲]]したC96が日本で準制式化された際の名称。~
弾丸も「モ号大型拳銃実包」として国産化された。~
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DWM社の[[ボルヒャルト・ピストーレ]]に遅れをとった[[マウザー]]兄弟であったが、これを開発したヒューゴ・ボルヒャルトがDWM社を離反したため、彼を迎えて共同で開発したものがC96である。~
しかし実際に出来上がった銃は、[[ボルヒャルト・ピストーレ]]のようにレシーバーが突き出てこそいないものの、機構的には銃庄のない[[カービン]]そのものであった。~
具体的には、[[弾倉]]がレシーバー前部に固定されており装填に[[クリップ]]を用いること、[[閉鎖機構]]が[[遊底>回転機構]]によることなど、[[ボルヒャルト・ピストーレ]]よりも保守的な設計であり、外付けの銃庄がなければ実用的な命中精度を望めないことも同じであった。~
しかし、当時はまだ[[自動小銃]]が実用化されていない環境で、後の著名なピストルでも用いられている[[ロッキングブロック]]が採用されているなど、ある意味では非常に先進的な設計であったともいえる。~

現代の基準から見ればかなり「無駄に大きい」銃ではあったが、[[ボルヒャルト・ピストーレ]]よりは携帯性に優れており、ドイツ軍の一部へ自衛火器として配備された。~
数カ国へ輸出されたほか、中国やスペインなどでは[[デッドコピー]]もおこなわれた。中国の馬賊が、まさしく[[騎兵銃>カービン]]として使用していたことでも知られている。~
[[デッドコピー]]先で[[フルオート]]に改造されることもあり、元祖であるマウザーも[[マシンピストル]]型のM712を製造した。~

また専用の7.62mm[[ボトルネック弾]]は[[小銃弾]]のように長射程で貫通力が高く、広い平原での戦闘に有利であった。これは後年[[ソ連軍]]のトカレフ[[TT33]]にコピーされた。~


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