【C-97】(しーきゅうじゅうなな)

Boeing C-97 Stratofreighter(ストラトフレイター) /B377 Stratocruiser(ストラトクルーザー)

1940年代の第二次世界大戦中、アメリカのボーイング社が開発し、陸軍航空隊空軍に採用された大型レシプロ輸送機

同社製の戦略爆撃機B-29からエンジン*1主翼・尾翼を流用し、胴体は上下方向に拡張したものを新規に設計した。

この結果、2台のトラックもしくは軽戦車を載せられるペイロードを得たが、機体が大きく鈍重なため、主に後方での輸送や患者輸送に用いられた。
また、空中給油機(KC-97)としても用いられ、この用途では814機*2が生産された。

軍用型の総生産機数は888機だったが、そのうちの9割が空中給油機型であり、以後のアメリカ軍における空中給油方式を確立した機体でもあった。

戦後、本機を基にした旅客機・B377「ストラトクルーザー」も生産された。
同機は(後のエアバスA380のような)総二階建ての客室から「空飛ぶホテル」の異名を得ていた*3が、運用中の事故も多く、長くは活躍できなかった*4
また、本機をベースにさらに胴体を拡張した大容積物品専用輸送機「プレグナント・グッピー」「スーパー・グッピー」も作られ、NASAの「サターン」ロケットの輸送やエアバスの機体コンポーネント輸送*5で活躍した。

バリエーション

  • C-97「ストラトフレイター」:
    B-29から主翼・尾翼・エンジンを流用した輸送機型。
    胴体は太い2階建てのものが新規に作られた。

  • KC-97:
    空中給油機型。
    KC-135のデビューまで使われた。

  • B377「ストラトクルーザー」:
    民間向け旅客機型。

    • エアロスペースラインB377PG「プレグナント・グッピー」:
      宇宙ロケット「サターン?」の輸送用として、エアロ・スペースライン社がB377をベースに改造した大容積物品対応型重貨物輸送機

    • エアロスペースラインB377SG「スーパー・グッピー」:
      「プレグナント・グッピー」と同様、B377をベースに改造された大容積物品対応型輸送機。
      エンジンターボプロップに換装したモデルもある。
      「プレグナント・グッピー」と同様にサターンロケット?の輸送に使われたほか、1970年代からはエアバス社の部品輸送に使用された。

    • エアロスペースラインB377MG「ミニ・グッピー」:
      「プレグナント・グッピー」「スーパー・グッピー」と同様、B377をベースに改造された大容積物品対応型輸送機。
      エンジンターボプロップに換装したモデルもある。

    • 377M「アナク」:
      1960年代、イスラエル空軍が、中古のB377を買い取って輸送機に改装したもの*6
      機体後部はC-97と同じ形状になっている。

*1 当初はライトR-3350を搭載していたが、量産型ではR-4360「ワスプ・メジャー」に変更された。
*2 うち3機は輸送機型からの改造。
*3 当時の旅客機は、全座席が現在のファーストクラス相当の座席であったが、B377では座席をベッドにできたり、客室内にバーやラウンジも設けられていた。
*4 同機は主に超長距離路線に用いられていたが、機体サイズの大きさから運用できる空港が少なく、国内線への転用もできなかった。
*5 エアバスが自社製のA300-600STを作るまで「すべてのエアバスはボーイングの翼によって届けられた」とも揶揄されていた。
*6 当時、イスラエル空軍はC-130の導入を検討していたが、機体価格が高価だったこととアメリカ政府の輸出承認が得られなかったことから、IAIの提案を受け入れる形で本機を導入した。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS