【C-130】(しーひゃくさんじゅう)

Lockheed C-130"Hercules(ハーキュリーズ)"

ロッキード社が開発した中型のターボプロップ輸送機
愛称は、ギリシア神話に登場する英雄「ヘラクレス」に由来する。

1954年の初飛行以来2,000機以上が生産され、世界約50ヶ国で使用されているベストセラー軍用輸送機で、太い胴体に高翼式主翼主輪APUを収納するバルジ、後部大型ランプドアなど、その後の戦術輸送機のスタイルを確立した機体でもある。

特筆すべきは基本設計の優秀性で、この50年間で変更された部分は、アビオニクスプロペラの形状と枚数、エンジンほどしかない。
また、高い短距離離着陸能力を持ち、補助ロケットを装備する事でより短い滑走距離での離陸も可能である。

本来の輸送機型以外にも、空中給油機型、捜索救助機型、電子戦機型、ガンシップ型など非常に多くの派生型がある。

関連:AC-130 EC-130? MC-130? L-100

スペックデータ

乗員6名
全長29.79m
全高11.66m
全幅40.41m
主翼面積162.1m²
空虚重量34,686kg
全備重量70,310kg(過荷重79,380kg)
最大離陸重量70.305t
燃料容量36,416L(機内+主翼下増槽
エンジンアリソン T56-A-15ターボプロップ(出力4,910ehp(3,423kW))×4基
最大積載量20t
速度
(最大/巡航)
約620km/h /550km/h
航続距離約4,000km(搭載量20t)/8,200km(搭載量9t)
上昇率(海面上)79m/min
実用上昇限度8,000m


バリエーション

  • YC-130A:
    試作原型機。

  • C-130A:
    初期生産型。三翅プロペラ使用。エンジンはT56-A-1Aまたは-A-9を搭載。
    翼下のエンジン外側に増槽を装備。

  • C-130B:
    第2期生産型。補助翼を追加し、プロペラブレードを四翅化した。
    翼下の増槽は搭載していない。エンジンはT56-A-7を搭載。

  • C-130D/D-6:
    C-130Aを元に、ソリと短距離離陸(JATO)用の補助ジェットエンジンを装備した極地仕様型。

  • C-130E:
    C-130Bの改良型。
    外部燃料タンクを主翼外側・内側エンジンの間に装備し、エンジンをアリソン T-56-A-7Aに換装している。
    構造や電子機器も改善され、航続距離も延伸された。

  • C-130F:
    第3期生産型。アメリカ海兵隊向け。
    出し入れ可能な燃料タンクを貨物室に設置できる。

  • C-130G:
    アメリカ海軍向け。
    E型をベースに機体の構造を強化し、積載量を向上した。

  • C-130H:
    第4期生産型。
    翼の設計を改め、電子機器を一新し、エンジンをアリソン T56-A-15に換装した。
    1964年頃からアメリカ以外の国でも採用され、1974年に後期型の配備が始まった。
    1996年まで生産が続けられた。
    • C-130H AMP:
      C-130Hのアビオニクス近代化型。
    • C-130H-30:
      C-130Hの胴体延長型で輸出型の基本モデル。
      離着陸性能の低下と引き換えに積載能力が向上している。
    • T.10:
      H型のスペイン空軍での呼称。

  • C-130K(ハーキュリーズ C.Mk1):
    C-130Hベースのイギリス空軍向けモデル。
    • ハーキュリーズC.Mk.1P:
      C.Mk1にに空中給油プローブを装備した型。
    • ハーキュリーズC.3:
      C-130H-30同様の胴体延長モデル。
    • ハーキュリーズC.3P:
      C.3に空中給油プローブを装備した型。

  • C-130J「スーパーハーキュリーズ*1」:
    1999年に配備が開始された、現在も生産を行っている最新モデル。
    エンジンをロールス・ロイス/アリソン AE2100に換装し、ブレードを三日月形状の六翅プロペラに変更、グラスコックピット化が施された。
    また、電子機器をデジタル化して航法士搭乗の必要をなくすことで、運用経費を軽減している。
    • C-130J-30:
      C-130Jの胴体延長型。
    • CC-130:
      カナダ空軍でのC-130Jの呼称。
    • ハーキュリーズ C.4:
      イギリス空軍でのC-130J-30の呼称。
    • ハーキュリーズ C.5 イギリス空軍でのC-130Jの呼称。
    • C-130XJ:
      胴体を短縮し、電子機器などを簡素化した廉価版。現在開発中。
  • C-130R:
    アメリカ海兵隊向けのKC-130Rから空中給油機能を取り除いたもの。
    航空自衛隊YS-11の後継として導入予定。

  • C-130T:
    アメリカ海軍向け。

その他の派生型

  • AC-130「スペクター/スプーキー」
    対地攻撃機(ガンシップ)。詳しくは別項を参照。

  • DC-130A/E:
    無人標的機?管制機。

  • EC-130「コマンド・ソロ」:
    電子戦機型。
    • EC-130E「ABCCCIII」:
      空中指揮統制センター型。
    • EC-130E(RR)「リベット・ライダー」:
      心理戦・情報戦活動型。テレビなどによる宣伝放送を行う。
    • EC-130H「コンパス・コール」:
      通信妨害機型。
    • EC-130G/Q:
      潜水艦と通信中継を行うTACAMO機型。
    • EC-130V AEW&C:
      [E-2「ホークアイ」の早期警戒レーダーを搭載した[早期警戒機]]型。
      アメリカ沿岸警備隊で麻薬密輸機取り締まり任務に使用された。

  • C-130AEW&C:
    早期警戒機型。メーカー自主開発。

  • GC-130:
    地上試験機型。

  • JC-130:
    暫定的な試験機型。

  • HC-130:
    アメリカ沿岸警備隊向け捜索救難機型。

  • KC-130F:
    空中給油機型。
    • KC-130R:
      F型の燃料搭載量増大型。
    • KC-130T:
      R型のアビオニクス近代化型。
    • KC-130T-30:
      T型の胴体延長型。
    • KC-130B:
      空中給油/輸送機型。インドネシアとシンガポールのみで運用されている。
    • KC-130H:
      輸出向け輸送機兼用型。
    • KC-130J:
      J型の空中給油機型。
    • TK.10:
      KC-130Hのスペイン空軍での呼称。
    • Tp84:
      KC-130のスウェーデン空軍での呼称。
    • ハーキュリーズ C.1K:
      イギリス空軍独自の空中給油機型。
  • HC-130B/E/H:
    戦闘捜索救難機型。
    • HC-130N「コンバットキング」:
      空中給油機としての能力を付加した型。

  • MC-130E「コンバットタロンI」:
    特殊作戦支援機型。
  • MC-130「コンバットタロンII」:
    機体構造の強化や搭載機器の更新(この型からGPSが搭載された)を行った型。
    この更新によって省力化が図られている(9名→6名)。
  • MC-130P「コンバットシャドウ」:
    捜索救難支援機型。旧称HC-130N「コンバットキング」
    主に夜間の侵攻作戦よりも昼間の救出作戦の支援(救難ヘリコプターへの空中給油)や物資投下などに用いられることが多い。
  • MC-130W「コンバット・スピアー」:
    C-130Hベースの特殊作戦支援機型。
    カラーディスプレーを搭載したAN/APN-241気象/航法レーダーやAN/AAQ-17赤外線航法装置、また新型の共通型スリップウェイ搭載空中給油装置(UARRSI)を装備しており、これによってV-22「オスプレイ」への空中給油能力を獲得している。
    また、H型からの更なる後部カーゴベイの強化が行われ、より高速での貨物投下が可能である。

  • PC-130:
    哨戒機型。マレーシアとインドネシアに少数機が輸出された。

  • NC-130:
    特殊試験機型。

  • RC-130:
    偵察機型。

  • SC-130:
    捜索救難型。

  • VC-130:
    要人輸送機型。

  • TC-130:
    訓練/汎用輸送機型。
    • TC-130G:
      かつてアクロバット飛行隊「ブルーエンジェルス」専用機「ファットアルバート」として運用されていた機体。
      補助ロケットエンジンを使用しての短距離離陸(JATO)のデモンストレーションを行う*2

  • WC-130「ハリケーンハンター?」:
    気象観測機型。
    • WC-130J:
      C-130Jの気象観測機型。
    • ハーキュリーズ W.2:
      ハーキュリーズ C.1の気象観測機型。イギリス空軍が1機だけ運用していた。

  • LC-130R:
    C-130Hを改修した極地輸送任務型。C-130Dに似たスキー降着装置を装備。

  • L-100
    C-130の民間型。詳しくは別項を参照。

*1 ハーキュリーズIIとも
*2 現在はJATOの在庫がなくなったため行われていない。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS