【BTR-D】(びーてぃーあーるでぃ)

ソ連で開発された装甲兵員輸送車。
1974年に採用され、開発と生産はBMD-1と同じくボルゴグラード・トラクタ工場が担当している。
西側で本車の存在が知られるようになったのは、1980年代の半ば頃からである。

BMD-1をベースに砲塔を取り外し、車体を延長して乗員数を増加させた型で、BMDと同様に、空中投下が可能なように設計されている。
BTR-Dは、完全武装の空挺兵1個分隊(10人)を輸送でき、兵員の乗下車は天井の2ヶ所のハッチと、後部の大ハッチを通して行われる。また、左右側面2ヶ所に銃眼が存在する。
その他、他車両との通信用の無線機や消火装置、NBC防護システムも設備されている。
現在、ロシア軍とウクライナ軍に配備されており、派生型も多数開発されている。

スペックデータ

乗員数1名+歩兵12名
全長5.883m
全幅3.63m
全高2.0m
重量8t
エンジン5D-20 V型6気筒液冷ディーゼル(出力:176kW/2,600rpm)
速度
(整地/不整地/浮航)
60km/h / 25km/h / 10km/h
登坂力70%
超堤高0.7m
超壕幅2.0m
行動距離500km
装甲6〜16mm
武装PKT 7.62mm機関銃×2挺(弾数2,000発)


派生型

  • BTR-RD「ローボト」:
    駆逐戦車型。
    9K113「ファゴート」(AT-4「スピゴット」)対戦車ミサイルを搭載。

  • BMD-KSh「シニーツァ」:
    大隊指揮車型。
    R-123無線機×2台を搭載する。

  • 1V119「レオスタート」:
    砲兵統制車型。
    地上レーダー(有効距離14km)、レーザー測距儀(8km)、昼夜間監視装置、地図照合機、電子戦機材、R-123無線機×2台、R-107無線機×1台を搭載。

  • 2S9「ノーナ-S」:
    BTR-Dの車体を使用した空挺自走砲型。
    2A60 120mm直射・迫撃両用ライフル砲を搭載。

  • BTR-ZD「スクレージェト」:
    高射ミサイル班の地対空ミサイル輸送車両。
    ZU-23-2の車体としても使用。

  • BTR-KShM「ソローカ」:
    連隊・旅団級の指揮・幕僚車型。
    R-123無線機×2台、R-111無線機×2台、R-130レーダー、秘匿通信機を搭載。
    「シュメーリ」無人偵察機の発射・操縦車としても使用。

  • BREM-D:
    修理・回収車型。
    クレーン、牽引機、鋤、溶接機を搭載。

  • R-440 ODB「フォボス」:
    移動衛星通信局型。

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