【BMP-T】(びーえむぴーてぃー)

Боевая(Boyevaya) Машина(Mashina) Поддержки (Podderzhki) - Танков(Tankov) (露)

「戦車支援戦闘車」と称されるロシア連邦で開発された新基軸の支援戦闘車両。
運用コンセプトとしては旧大戦時代の装輪装甲車軽戦車歩兵戦闘車などの任務*1を単一車種にまとめたもので、市街地における掃討戦のほか、主力戦車の戦闘支援といった前線支援任務に投入される。

1990年代半ばの第一次チェチェン紛争より「現代の市街地戦では対人掃討専門の戦闘車両が必要」との戦訓を経て開発が開始された。
2000年のウラル兵器展示会2000で公表され、2005年に配備が開始された。
しかし、ロシア軍の機甲部隊予算問題から方針を転換、2010年に調達が終了してしまった。

主力戦車と帯同して索敵を行い、主力戦車での対処が困難なアンブッシュに対処する事を目的とする。
ゲリラ戦、特に市街地で建物やバリケード陣地からRPGなどの簡易対戦車兵器で攻撃してくる敵の駆除が主任務となる。
機甲部隊との直接交戦も考慮されているが、基本は僚機である主力戦車と連携して反撃する事が前提となっており、主力戦車との単独交戦は想定されていない。
第二次チェチェン紛争では搭載兵装の取れる射角の広さから、攻略した市街地での対人掃討戦闘に投入された。

車体は旧式化したT-72T-90に準じて改修したものを採用しており、武装以外は主力戦車とほとんど見分けが付かない。
車体後面に対成形炸薬弾用のスラット装甲、車体前面/側面に爆発反応装甲ブロックが追加されているのが特徴。
車体及び砲塔は完全な与圧式NBC防護装置を備え、NBC環境下でも行動可能である。

積載されている砲塔は新設計の台座型無人砲塔で、車内の乗員区画から遠隔操作する。
主兵装には2A42 30mm機関砲を2連装のほか、副兵装として機関砲収納部上部にPKT 7.62mm軽機関銃を装備している。
砲塔側面には9M133「コルネット*2対戦車ミサイル連装発射機を装備。
車体中央部左右の装甲箱にはAGS-30またはAGS-17・30mm自動擲弾筒が装備されている。
これらの火器は高度な火器管制装置に制御され、高い行進間射撃能力を持つ。

兵器ショーや公開演習において、砲塔を一定の方向に向けたまま360度の超信地旋回を行うなど、非常に高度な機動を実証している。

関連:BTR-T

スペックデータ

乗員5名(車長・砲手・操縦手・観測手兼射手)
全長6.95m
全高2.1m
全幅3.59m
戦闘重量47t
エンジンV-92S2 V型12気筒液冷ターボチャージディーゼル(出力1,000hp)
登坂力60%
超堤高0.85m
超壕幅2.8m
最大速度65km/h(路上)
行動距離550km
兵装2A42 30mm機関砲×2門(弾数900発)
AGS-17/AGS-30 30mm自動擲弾発射機×2基(弾数600発)
9M120「アターカ」(AT-9「スパイラル-2」)対戦車ミサイル連装発射機×2基(ミサイル4発)
PKT 7.62mm機関銃×1挺(2,000発)



*1 ただし歩兵戦闘車装甲兵員輸送車とは異なり、歩兵搭載能力を持たない。
*2 金管楽器のコルネットの意。

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