【B777-3SBER】(びーなななななな さんえすびーいーあーる)

日本国政府が、天皇・皇后両陛下や内閣総理大臣などの賓客や軽武装兵員・避難民などを輸送するために用いてきたB747-47Cの後継として、2018年に導入した機体。
ボーイング社の大型双発旅客機B777-300ERをベースとしており、2019年度から2機が防衛省航空自衛隊により運用開始される予定。
なお「B777-3SBER」はボーイング社の社内規定に基づく形式番号で、日本政府・自衛隊では通常通り「B777-300ER」と呼ばれることになるとみられる。

B777にとっては本機が初の軍用機型となった*1

先代のB747-47C同様、乗員はすべて航空自衛官が務めるが、航空自衛隊はB777の運用教則を保有していない。
このため、機体の重整備・乗員の教導・改装工事・グランドハンドリングは一部全日本空輸に委託される予定*2

機内はB747-47Cと同様、運航要員区画・貴賓室(非公開)・会議室・事務室や随行員室・一般客室などに分かれており、随行員室は全日本空輸ビジネスクラス、一般客室はプレミアムエコノミー、運航要員区画はエコノミークラス相当の座席となっている。
客室にはB747-47Cにはなかった「座席ごとの娯楽設備」が備えられている他、機内Wi-Fiの設備も備えられており、飛行中のインターネットを通じた情報収集や発信を可能にしている*3

関連:B777

導入の経緯

日本政府は1993年以来、B747-400をベースとしたB747-47Cを「政府専用機」として用いており、その運航は航空自衛隊及び日本航空に委託されてきた。
しかし、同機の運航支援を行ってきた日本航空は2010年に経営破綻し、その再建策として燃費効率の悪いB747を退役させることを決めた*4ため、同機のサポートを続けることが困難になった*5
また、B747-47C自体も就航から20年以上が経って老朽化・陳腐化してきた*6ため、これに代わる機体が必要になってきた。

そこで日本政府は2014年、後継機の選定に着手。
ボーイングB787B777-300ERエアバスA350XWBが候補に挙がったが、この中からB747-47Cと同メーカーで、航続距離・(兵員・避難民の輸送も考慮した)ペイロードにも優れるB777-300ER*7を選定、B747-47Cと同数の2機を発注した。

B787はペイロードと機体の信頼性の問題から、A350XWBは日本での運航実績がないことと「日本とアメリカの同盟関係」という政治的な理由から選に漏れたとみられる。
なお、(B747-400の直接の後継となる)B747-8ICやエアバスA380は当初から選定対象外だった*8

また、これと併せて、運航支援にあたる業者も公募。
日本航空全日本空輸の二社がB777-300ERで応募してきた*9が、この中から、納期やサポート体制*10などを考慮して全日本空輸を選定した。


*1 これより以前、アメリカ空軍空中給油機輸送機型が提案されていたが、B767ベースの「KC-46」に敗れて不採用となっていたため。
*2 先代のB747-47Cではこのサービスを日本航空が受託していた。
*3 このためか、B747-47Cにあった対面式の記者会見席は廃止されている。
*4 これには、ETOPSの改善で双発機の航続距離が伸び、双発機でも太平洋・大西洋横断が可能になったのもある。
*5 日航からのB747退役後は、機体関連資格の取得支援業務が日本貨物航空に委託されたが、同社にはB747の重整備を行える施設がなかった。
*6 アメリカ空軍が運用する同様の機体であるVC-25に比べると年間の飛行時間・回数は少なかったが。
*7 B777-300ERは全席エコノミークラスなら550席まで設定可能なペイロードがあり、要人輸送と兵員・避難民の輸送を両立させることができた。
*8 一方、アメリカのVC-25後継機選定では両機が候補に挙がり、B747-8ICが選ばれている。
*9 両社とも、すでに自社のフリートからB747を退役させていた。
*10 日本航空は老朽化したB777をA350XWBで置き換える計画である一方、全日本空輸はB777-9Xを導入する計画であり、長期にわたるサポート体制を維持できるとみられた。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS