*&ruby(びーなななななな){【B777】};((「トリプルセブン」とも呼ばれるが、これは[[全日本空輸]]の登録商標であるため、一般には「びーなななななな」と呼ばれる。)) [#j9a22c6c]
Boeing 777.~
[[ボーイング]]社が1990年代に開発した((なお、日本企業も「YX」計画の2機種目(前作は[[B767]])として本機の開発に参加しており、21%の分担比率を持っている。))、大型の[[双発>双発機]]ジェット[[旅客機]]。~
~
[[マクダネル・ダグラス]]の「[[MD-11]]」や[[エアバス>エアバス(企業)]]の「[[A330]]」「[[A340]]」のカウンターパートとなる機体として、[[B767]]と[[B747]]の中間的なサイズで開発された((開発当初は[[B767]]の発展型として提案されたことから、「767-X」という仮称名を持っていた。))。~
~
3軸6輪の[[主脚>ランディングギア]]を持つこと、そして[[B737]]の胴体と同じくらいの太さのエンジンを双発で装備することなどが特徴。~
双発での長距離飛行が承認された([[ETOPS180>ETOPS]]所持)初の機体である。~
~
機体は、[[ボーイング]]社で初めてコンピュータ上(CAD/CAM等)で全て設計されており、また、同社の[[旅客機]]としては初めて全翼面の[[フライバイワイヤー]]を導入している。~
しかし、[[エアバス>エアバス(企業)]]製の[[旅客機]]とは対照的に操縦系統に[[サイドスティック]]は採用せず、[[操縦輪]]を導入しており、[[ボーイング]]社ならではの保守的な設計思想を窺い知ることができる((事実、サイドスティックを採用した場合には[[パイロット>エビエーター]]にそのための転換訓練が必要となることと、万が一、事故で片腕を負傷した場合に操縦ができなくなるという致命的な欠陥がある。))。~

**ワーキング・トゥゲザー [#z9418a0a]
Working Together.~
~
本機の機体設計にあたって招集されたプロジェクト。~
顧客となる航空会社の意見を機体の設計に取り入れ、設計上の問題を共に解決していく方式。~
~
本プロジェクトに参加したのはユナイテッド航空、[[全日本空輸]]、ブリティッシュ・エアウェイズ、[[日本航空]]、キャセイ・パシフィック航空、カンタス航空、アメリカン航空及び[[デルタ航空]]の各社であった。~
~
これは当初「[[B767]]の拡大版」として提示された原設計が多くの航空会社に反対された((当初は[[コックピット]]のレイアウトもB767と大差なかったが、ユーザーはより進んだ[[B747-400]]スタイルのコックピットを求めていた。))ことを教訓として採用されたものである。~

***提示された意見の一例 [#wbef26c3]
このプロジェクトで各オペレーターから提示された意見の一部を以下に述べる。~
:ユナイテッド航空|[[ローンチカスタマー]]。~
本拠地であるシカゴの冬を想定し「手袋をしたまま各部の点検用アクセスドアの開閉ができるようにすること」「大きな[[脚立]]を用意しなくてもアクセスドアに手が届くようにすること」「非常口ドアを片手で開閉できるようにすること」などを求めた。~
:[[全日本空輸]]|2番目に発注。~
「トイレの便器の蓋をゆっくり閉まるようにすること」「[[主翼]]の折りたたみ機構をオプションとすること((折りたたみ機構を採用すると機体重量が増え、また、整備の手間もかかるため。))」などを求めた。~
:[[日本航空]]|6番目に発注。~
300ERの[[ノーズギア>降着装置]]の緩衝装置の空気室を2つにし、それに伴って、貨物積み下ろし時の重量変化による緩衝装置の伸び縮みが十分に小さいことを確認することなどを求めた。~
また、マニュアル類に記載される英語を極力平易なものにすることを求めた((英語圏以外のオペレーターがマニュアルを誤読することを避けるため。))((これに際し、日本航空は1985年の[[日本航空123便墜落事故]]以来、部品の不具合情報を集積した「信頼性データベース」を提供している。))。

**スペックデータ [#vb92c220]

|CENTER:形式|CENTER:777-200|CENTER:777-200ER|CENTER:777-200LR|CENTER:777F|CENTER:777-300|CENTER:777-300ER|
|CENTER:乗員|>|>|>|>|>|CENTER:2名([[機長]]・[[副操縦士>副機長]])|
|CENTER:乗客数&br;(3クラス)|>|>|CENTER:約300名|CENTER:-|>|CENTER:365〜368名|
|CENTER:乗客数&br;(2クラス)|>|>|CENTER:400名|~|>|CENTER:451名|
|CENTER:乗客数&br;(1クラス)|>|>|CENTER:440名|~|>|CENTER:550名|
|CENTER:全長|>|>|>|CENTER:63.7m|>|CENTER:73.9m|
|CENTER:全幅|>|CENTER:60.9m|>|CENTER:64.8m|CENTER:60.9m|CENTER:64.8m|
|CENTER:胴体幅|>|>|>|>|>|CENTER:外部:6.19m&br;内部:5.86m|
|CENTER:最大&br;[[ペイロード]]|>|>|CENTER:-|CENTER:103.9t|>|CENTER:-|
|CENTER:貨物搭載量|>|>|CENTER:8パレット&br;+&br;LD-7 8台&br;or&br;LD-3 32台&br;+&br;バルク17m³|CENTER:上部デッキ&br;27パレット&br;+&br;下部デッキ&br;10パレット&br;+&br;バルク17m³|CENTER:8パレット&br;+&br;LD-7 8台&br;or&br;LD-3 44台&br;+&br;バルク17m³|CENTER:14パレット&br;or&br;LD-3 44台&br;+&br;バルク17m³|
|CENTER:最大離陸重量|CENTER:247,210kg|CENTER:297,824kg|CENTER:347,452kg|CENTER:347,450kg|CENTER:297,560kg|CENTER:351,534kg|
|CENTER:[[エンジン]]|>|>|>|>|>|CENTER:[[ターボファン]]×2基&br;(使用エンジンを参照。)|
|CENTER:最大燃料搭載量|CENTER:117,335L|CENTER:171,160L|CENTER:202,287L|CENTER:181,280L|CENTER:171,160L|CENTER:181,280L|
|CENTER:巡航速度|>|>|>|>|>|CENTER:[[M>マッハ]]0.84|
|CENTER:[[航続距離]]|CENTER:9,649km|CENTER:14,316km|CENTER:17,446km|CENTER:9,195km|CENTER:11,135km|CENTER:14,685km|
~
|CENTER:形式|CENTER:777-8X&br;(計画段階)|CENTER:777-9X&br;(計画段階)|
|CENTER:乗員|>|CENTER:2名([[機長]]・[[副操縦士>副機長]])|
|CENTER:乗客数&br;(3クラス)|CENTER:353名|CENTER:407名|
|CENTER:乗客数&br;(2クラス)|>|CENTER:未発表|
|CENTER:乗客数&br;(1クラス)|>|~|
|CENTER:全長|CENTER:69.55m|CENTER:76.48m|
|CENTER:全幅|>|CENTER:71.3m|
|CENTER:胴体径|>|CENTER:外径:6.19m&br;内径:5.97m|
|CENTER:貨物搭載量|>|CENTER:未発表|
|CENTER:最大離陸重量|CENTER:未発表|CENTER:342,000kg|
|CENTER:[[エンジン]]|>|CENTER:[[ターボファン]]×2基&br;(使用エンジンを参照。)|
|CENTER:最大燃料搭載量|>|CENTER:未発表|
|CENTER:巡航速度|>|CENTER:未発表|
|CENTER:[[航続距離]]|CENTER:17,220km|CENTER:15,185km|
~
|>|>|>|>|>|>|>|CENTER:''使用エンジン''|
|CENTER:777-200|CENTER:777-200ER|CENTER:777-200LR|CENTER:777F|CENTER:777-300|CENTER:777-300ER|CENTER:777-8X|CENTER:777-9X|
|[[GE90-76B>GE90]]&br;GE90-77B&br;[[PW4074>PW4000]]&br;PW4077&br;[[トレント875>トレント(エンジン)]]&br;トレント877&br;トレント884&br;トレント892|GE90-85B&br;GE90-90B&br;GE90-92B&br;GE90-94B&br;PW4084&br;PW4090&br;トレント892&br;トレント895|GE90-110B1|GE90-110B1L|GE90-92B&br;PW4098&br;トレント892|GE90-115B|>|CENTER:GE9X|

**派生型のラインナップ [#fbe60317]
-B777-100(771B):~
短胴型。計画のみ。~
なお、[[B767-400ER>B767]]が本機と同じマーケット向けのモデルとされていたが、[[A330]]にシェアを奪われて販売を終了している。~
~
-B777-200(772A):~
基本型(88機生産)。既に生産終了((最終号機は[[日本航空]]に引き渡された([[機体記号]]:JA773J)。))。~
~
-B777-200ER(772B):~
B777-200の航続距離延長型。422機生産。~
~
-B777-200LR &ruby(ワールドライナー){Worldliner};(772C):~
B777-200の長距離型(Longer Range)。59機生産。~
主翼端に[[レイクド・ウィングチップ(raked wingtips)>ウイングレット]]と呼ばれる新設計の小翼を導入した。~
また、[[双発機]]でありながら約16,000kmという超長距離の[[航続距離]]を有する。~
~
-B777 &ruby(フレイター){Freighter};(777F):~
B777-200LRをベースとした[[貨物機]]型。~
200LRの機体(構造は貨物機用に強化)に、300ERの燃料タンクと[[降着装置>ランディングギア]]を組み合わせた型で、これまでに115機が引き渡し済み。~
従来、日本の航空会社からは発注がなかったが、[[全日本空輸]]が2019年度からの導入を表明している。~
~
-B777-300(773A):~
胴体延長型。60機生産された((本機は欧米の航空会社には採用されなかった。))が、既に生産終了。~
双発機としては最も全長の長い[[航空機]]でもある。~
なお、2019年現在、我が国の国内線で有償運航されている機体の中で最大の機体ともなっている((2014年に[[B747-400D]]が[[全日本空輸]]から退役したため。))。~
また、2015年からは[[日本航空]]で初期に導入された機体の退役が始まっている。~
~
-B777-300ER(773B):~
B777-300の航続距離延長型。~
[[B747]]及び[[A340]]を導入していた航空会社が、それらとの置き換え用として主に発注しており、これまでに596機が引き渡されている。~
200LRと同様[[レイクド・ウイングチップ>ウイングレット]]を導入している。~
~
-KC-777:~
[[アメリカ空軍]]のKC-X計画((ボーイング[[KC-135]]及び[[マクダネル・ダグラス]][[KC-10>DC-10]]の後継となる[[空中給油>空中給油機]]・[[輸送機]]の調達計画。))で提案された[[空中給油機]]兼[[輸送機]]型。~
[[KC-767(KC-46)>B767]]に敗れ不採用。~
~
-[[日本国政府専用機>政府専用機(日本・2代)]]:~
現在、[[航空自衛隊]]で運用されている[[B747-47C]]の後継機として、300ERをベースに2019年導入予定。~
上記の空中給油機型が不採用となったため、この専用機がB777シリーズ初の軍用機型となる。
>なお、2015年にはインド政府も本機と同様の政府専用機を導入し、空軍で運用することを発表している((現在のインドは、要人輸送にエア・インディアから[[B747]]をチャーターして用いているが、経年劣化や[[ミサイル警報装置>ミサイル接近警報装置]]の問題から同機の採用を決めたとのこと。))。

-B777-8/-9:~
[[A350XWB>A350]]のカウンターパートとして開発が進められている発展型。~
2020年以降[[初飛行]]の予定。

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