【B747SP】(びーななよんななえすぴー)

Boeing 747 Special Performance.

ボーイング社が開発した大型ジェット旅客機B747の派生型のひとつ。

航続距離の延長を企図して機体重量を軽量化しつつペイロードを削減したモデル。
最大の特徴は胴体長の大幅な短縮で、原型に比して主翼前方を5.0m、後方を9.7m、計14.7m詰められている。
胴体短縮によって劣化した静安定性を補うため、垂直尾翼水平尾翼が大型化されている。

再設計当初の目的は、パンアメリカン航空(パンナム)が計画していたニューヨーク〜東京間の無着陸直行便への投入。
原型機であるB747が東京から出発した場合、アラスカもしくは西海岸が後続距離?の関係で到達可能な限界だった。
しかし日米間の国際航路で本当に必要とされていたのは西海岸との接続ではなく、アメリカ経済の中心である東海岸との接続である。
このため、ニューヨークと東京を直接往復可能な機体が要求される事となった。

1976年に初号機がパンナムへ引き渡され、予定通りニューヨーク〜東京直行線に就航した。
日本航空・ノースウエスト航空などはこの路線の登場で打撃を受けたが、一方、座席数の減少で収益が非効率化したのも一面の事実である。
競合他社は経営効率上の判断から本機を購入せず、またさらなる改良型モデルが早期に登場した事もあり、総生産機数は45機に留まっている。
その後、座席数と航続距離を両立したB747-200BB747-400などの登場で販路を喪い、1989年に生産が中止された。

現在でも超長距離路線を擁する(が、従来型B747ほどの収容力を要しない)航空会社で運用されている。
また、ブルネイ・バーレーン・サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)・カザフスタンなどが政府専用機として導入している。

スペックデータ

乗員3名(機長副機長航空機関士
乗客232〜331名
全長56.31m
全高20.06m
全幅59.64m
重量152,780kg
最大離陸重量304,000kg
エンジンターボファン×4基
P&W JT9D-7R4W?またはロールス・ロイス RB211-524D4
最高運用速度マッハ0.92(1,095km/h)
巡航速度マッハ0.88(990km/h)
航続距離12,325km

主なカスタマー

  • 航空会社
    • パンアメリカン航空
    • トランス・ワールド航空
    • ブラニフ航空
    • アメリカン航空(中古機を購入)
    • ユナイテッド航空(パンアメリカン航空から太平洋路線とともに引き継ぐ)
    • アルゼンチン航空
    • チャイナエアライン
      • マンダリン航空(親会社のチャイナエアラインから引き継ぐ)
    • 大韓航空
    • 中国国際航空(中華民航から引き継ぐ)
    • カザフスタン航空
    • イラン航空
    • イラク航空
    • シリア・アラブ航空
    • サウジアラビア航空
    • イエメン航空(中古機を購入)
    • エル・アル航空
    • コルスエール(中古機を購入)
    • ルクスエア(中古機を購入)
    • モーリシャス航空
    • 南アフリカ航空
    • アライアンス航空
    • エア・マラウイ(中古機を購入)
    • ナミビア航空(中古機を購入)
    • カンタス航空
      • カンタス・オーストラリア航空(親会社のカンタス航空から引き継ぐ)
  • 政府専用機として運用
    • ブルネイ
    • バーレーン
    • サウジアラビア
    • アラブ首長国連邦
    • オマーン
    • イエメン
    • カザフスタン
    • アブダビ
  • その他
    • ラスベガス・サンズ
    • グローバル・ピース・アンバサダーズ
    • NASA(遠赤外線天文学成層圏天文台*1"SOFIA"のベース機)


*1 Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy

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