【B747-400D】(びーななよんなな よんひゃくでぃー)

Boeing 747-400D.

ボーイング社の超大型旅客機B747-400の一バリエーションで、近距離路線向けにカスタマイズされた機体である。
発注・運用したのは日本の航空会社2社(日本航空全日本空輸)のみだったが、B747シリーズで最多の569名の乗客を輸送することが出来る。
400の後についているDは"Domestic(国内)"の略称である。

本型は、日本国内の空港の主要な施設を改修せずに運航させるために、主翼を-300型までの翼幅と同じ長さにする必要があり、ウイングレットを含めた延長部分を取り外した。
燃費を向上させる効果のあるウイングレットまで取り外したのは、想定される飛行時間が短時間*1であり、燃料消費に対するメリットがほぼ見込めないためである。(同様に水平尾翼内の燃料タンクも省略してある)

また、離発着回数の増加に対応させるために主脚の構造、主脚の放熱機構、大気圧の変化による疲労を考慮したドア周りの構造を強化*2、前述の燃料タンクの省略と合わせて、日本国内線の短距離飛行・高稼働率に対応できる機体となった。

以上のように、日本国内線向けにカスタマイズされている機体だが、海外への長距離飛行のために元の-400型と同様の仕様にすることもできる(ただし、回数は限定されている)。

1995年12月の生産終了までに19機が生産され、2機が-400標準型から改造された*3*4が、日本航空では2010年度までに全機退役し、全日本空輸でも2014年3月31日で全機退役した*5

関連:B747SR

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B747-400D型(全日本空輸「ピカチュウジャンボ」(機体番号JA8957)。2013年10月退役)


*1 日本の国内線は、最長でも片道3時間前後のフライトである。
*2 これは1985年の日本航空123便墜落事故を教訓としたものといわれている。
*3 内訳は日本航空向けが8機、全日本空輸向けが11+2機。
*4 オリジナルの最終号機は全日本空輸に納入された(機体記号JA8966)が、同機は1999年の「全日本空輸61便ハイジャック事件」の当事機になっている。
*5 なお、これにより日本の航空会社で運用されていた旅客型B747も全機退役となり、航空自衛隊が「政府専用機」として運航するB747-47Cが、日本籍のオペレーターが運用する唯一の旅客型B747となった。

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