【B747】(びーななよんなな)

ボーイング社が開発した大型ジェット旅客機。1969年2月9日に初飛行を果たしている。
いわゆる「ジャンボジェット」と言うのはこの機体のこと。
後退翼をもち、高バイパス比ターボファンエンジンを4発装備している。

当初、米空軍?の次期大型戦略輸送機(後のC-5)としてロッキード社と争ったが敗れたため、そのノウハウをもとに民間機として再計画された経緯をもつ。

民間旅客機で遅れを取っていたボーイング社は、当時、世界最大の路線網を持っていたパン・アメリカン航空(パンナム)の支援を得て、C-5との競争で敗れた機体の開発データを基に、超大型旅客機の開発に取り掛かった。
当時、旅客機にも高速大量輸送に対するニーズが高まっており、また、パンナムでも「太平洋無着陸横断」を望んでいたため、かつてない超大型旅客機となった。
当初は太平洋の無着陸横断は不可能とさえ言われ、当然開発は困難を極めたが、ボーイング社も倒産の危機に陥りながらもパンナムの支援を得て社運を賭けて取り組んだ。

開発当初は完全な新造設計が試みられたこともあったが、結局は既に実績のあった大型旅客機であるB707を拡大する形で設計された。
従来には無い二階建てのワイドボディであり、貨物室を含めて内部が非常に広く、太平洋を無着陸横断できる初めての旅客機*1としてその後の地位を確立した。
しかし、デビューと同時期に石油危機(第四次中東戦争を原因とするもの)が勃発して燃料価格が急上昇。また、提供可能な座席数がそれまでの数倍に膨れ上がったため空席を埋めきれず*2、団体旅行運賃を作ってツアー旅行客にばら撒く羽目となってしまった。
これによって、それまで富裕層だけのものだった航空旅行は一般庶民にも身近なものになったが、その反面、ローンチカスタマーであるパンナムは経営破綻への下り坂を一気に転げ落ちる羽目となった。


基本的に旅客型には350〜450名前後の乗客が搭乗可能だが、日本の航空会社が発注した客席増加仕様のB747SRB747-400Dも存在する。
また民間の特別塗装の火付け役もこの機体で、全日本空輸の「マリンジャンボ」はその代表例である。

最新の派生型として、2005年11月14日にB747-400の後継としてB747-8ローンチ?を発表した。
これはB747-400をベースに胴体を延長し、座席数を約30席増加し、B747-400エアバスA380の中間的な座席数を確保できる機体である。

その他に、E-4VC-25B747-47CAL-1など、軍向けの派生型が少数存在する。

関連:ジャンボジェット テクノジャンボ

http://www4.plala.or.jp/klesa108/temp/20060108b747-300jal.jpg
B747-300

派生型のラインナップ

  • B747-100
    基本型。
  • B747-100B
    短距離型。
  • B747-100B/SUD
    B747-300型のボディに-100型のエンジンを搭載したモデル。日本航空が発注した2機のみ生産。
  • B747SR
    日本国内線専用機。-100型をベースとする。
  • B747-200
    機体構造強化型で、いわゆる「747クラシック」の標準型。
  • B747-200B
    長距離型。
  • B747-200F
    貨物機型。-200型ベース。
  • B747-200C
    コンバーチブル(貨客兼用)型
    • E-4
      アメリカ政府のNEACP(国家緊急空中指揮所)として製造された機体。-200B型をベースとする。
    • VC-25
      アメリカ大統領専用機「エアフォースワン」。-200B型をベースとする。
  • B747-300
    従来型の2階席を延長したタイプ。
  • B747-300SR
    2階席部分の客室が延ばされたタイプ。日本航空のみに導入。
  • B747SP
    胴体を大幅に短縮し、航続距離を延長したタイプ。少数のみ生産。
    • SOFIA
      NASAが運用する天体観測機。-SP型をベースに開発された。
      SOFIAとはThe Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy(遠赤外線天文学成層圏天文台)の略である。
  • B747-8
    2005年11月14日にローンチ?を発表した最新の派生型で、B747-400の胴体を延長して座席数を増やすと共にB787のテクノロジーを多く流用する。
    インターコンチネンタル(旅客機型)とフレイター(貨物機型)の 2機種がある。

B747-400系列については当該項目を参照のこと。


*1 B707の長距離型モデルでは、飛行コースの気象条件やペイロード次第によって飛行可能になることがあったので、厳密には本機が「初めて」とはいえない。
*2 旅客機の予約は、ある程度のキャンセルが出ることを見越して提供可能な座席数よりも多くの予約を受け付けるのが慣例となっているが、その受付枠をも消化しきってしまい、ある程度の搭乗率があることを根拠として算出される運航経費をまかなえなくなってしまったのである。

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