【B707】(びーななまるなな)

1950年代、ボーイング社が初めて開発したジェット旅客機
後退翼に四発のジェットエンジンを装備し、当時の旅客機としては非常に大型の機体に仕上がった。

本機の原型に当たる試作機、モデル367-80(通称:ダッシュ80)は1954年に初飛行したが、空中給油機型のKC-135アメリカ空軍?が興味を持ち、こちらの契約が先行してしまったため、旅客機型の登場は若干遅れた。
http://www.boeing.com/history/boeing/dash80.htmlを参照)
1958年には旅客機型が大西洋路線で運用されたものの、「ジェット機による世界初の大西洋横断路線」の称号は世界初のジェット旅客機コメット4型?に取られてしまった。

派生型が多数あり、1991年に生産終了*1となるまで、各タイプ合わせて1,010機もの生産数を誇り、世界各国でいまだに現役機が数多い。*2
(この他、準同型機であるKC-135系列の820機を含めると、総生産数は1,830機となる)

関連:E-3 E-6 E-8 KC-135 RC-135

主な派生型

KC-135のシリーズについては別項目で解説。

  • 民間型
    • B367-80
      初期試作機。アメリカ空軍?KC-135として採用された。
    • B707-120
      プラット・アンド・ホイットニー社製「JT3C」ターボジェットを搭載した初期型。
      • B707-128
        707-120の胴体を短縮して航続距離を伸ばした型。オーストラリアのカンタス航空が使用。
    • B707-220
      エンジンを改良型の「JT4A」に換装した型。燃費の悪さから5機のみの生産にとどまる。
    • B707-320 "Intercontinental"
      707-220をベースに胴体と翼を延長し、航続距離を伸ばした発展型。
    • B707-320B
      707-320のエンジンを、プラット・アンド・ホイットニー社製の「JT3D-3B」ターボファンエンジンに換装したもの。
      ターボファン化によって更に航続距離が伸び、「東京〜モスクワ間ノンストップ飛行」や「太平洋無着陸横断*3」などといった長距離飛行を可能にした。
    • B707-420
      707-320の機体に、英国製のロールスロイス・コンウェイ「Mk.508」ターボファンを搭載した型。
      主に英国及び英連邦諸国の航空会社が使用した。
    • B720
      707-120を母体に、胴体を短縮した短中距離バージョン。
      B727やダグラスDC-9などの登場により少数の生産に終わる。
    • 運10(Y-10)
      中国の上海航空機製造が、1970年代末期、中国民用航空総局(中国民航)の運用していた707をベースにデッドコピーした機体。
      当時の技術力不足により2機のみの製造に終わる。
  • 軍用機
    下記の通り、主にアメリカ軍が使用しているが、これ以外にもイスラエルやブラジル、オーストラリア、イランなど、各国の空軍や政府に納入された。
  • C-137
    アメリカ空軍?に納入された輸送機
    主に人員・軽貨物の輸送に使われた。
  • VC-137
    アメリカ大統領専用機(エアフォースワン)。
  • E-3「セントリー」。
    早期警戒機AWACS)。詳細は上記項目を参照。
  • ファルコン707
    イスラエル空軍の使用するAWACS。上記のE-3とは形態が異なる。
  • E-6「マーキュリー」
    707-320をベースに、潜水艦との超長波通信を中継するために改造したTACAMO(Take Charge And Move Out)機。
    海軍航空隊が使用している。
  • E-8「J-STARS」
    707-320をベースに改造した地上警戒監視機。詳細は上記項目を参照。

*1 民間向けモデルは1982年に生産を打ち切っており、その後は軍用機モデルのみを生産していた。
*2 現在旅客機として使われている機体は少なく、民間向けモデルの多くは貨物機や個人所有の自家用機に改造されているという。
*3 ただしこれは、飛行コースの気象状況やペイロードなどの条件が揃って可能になるものであり、恒常的に無着陸横断が可能になるのはB747の登場を待たねばならなかった。

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