【AW101】(えーだぶりゅーひゃくいち)

Agusta-Westland AW101 Merlin(マーリン)*1
イギリスのウェストランド社とイタリアのアグスタ社が合弁で設立した、EHI社によって開発された対潜ヘリコプター。旧称EH101。
現在は各社が合併してアグスタウェストランドとなったため、同社の製品となっている。
またこの影響で、2007年に機種名がEH101からAW101へ改められた。

BERP(英国実験ローター計画)の研究成果に基づき、先端形状が工夫された5枚のローターブレードを持ち、揚力の割にローターがコンパクトな特長を持つ。さらにこのローターは23mm弾の直撃に耐えうる強度がある。
また、二重化されたローターハブや、3発のターボシャフト*2などを持ち、信頼性が非常に高い。*3
さらに、12.7mm弾に耐える装甲や、不時着時に12Gまでの衝撃に耐えるランディングギアなど、生存性に対する配慮の多い設計となっている。*4

対潜装備として、ソノブイ散布装置、ブルーケストレル360度捜索レーダーディッピングソナーを装備し、スティングレイ?MK.46?MU90?などの対潜魚雷を最大4発搭載する。
また、オプションでAGM-84エグゾセシーイーグル?マルテ?などの空対艦ミサイルを搭載できる。

1,000km前後の航続距離と大型のキャビンを持ち、輸送ヘリコプター?としても優秀である。また、カナダでは捜索救難型が採用されている。
軍用だけでなく、民間輸送分野での活躍*5も期待されたが、現在のところ日本の警視庁航空隊が「おおぞら1号」として1機導入したのみである。
海上自衛隊でも、機雷掃海型MCH-101をMH-53Eの後継として、輸送型CH-101をS-61Aの後継(南極観測用)として、それぞれ導入する。*6
また、ひゅうが級ヘリコプター護衛艦(ヘリコプター空母)への搭載も予定されている。

余談だが、「EH101」という名称は「EHI 01」をタイプミスしたものがそのまま採用されたことによる。

スペックデータ

乗員2名+兵員30名
主ローター直径18.59m
全長22.81m
全高6.65m
胴体長19.5m
胴体幅4.6m
空虚重量10,500kg
最大離陸重量14,600kg
最大ペイロード6,000kg
エンジンターボシャフトエンジン×3基
民間:GE CT7-6Aターボシャフト(2,000shp)
軍用:GE T700-T6A1(2,145shp)またはRR/チュルボメカ RTM322ターボシャフト(2,263shp)
速度
(最大/巡航)
167kt/150kt
海面上昇率610m/min
実用上昇限度4,575m
航続距離625nm
兵装対艦ミサイル対潜魚雷等を搭載可能。


派生型

  • EH101:民間及び軍用型原型機。
  • マーリン HM.1:イギリス海軍向け対潜哨戒機。
  • マーリン HC.3/HC.3A:イギリス空軍向け輸送型。
  • EH101 ASW:イタリア海軍向け対潜哨戒機。
  • CH-148 ペトレル:カナダ軍が計画した対潜ヘリコプター型。後に中止。*7
  • CH-149 コルモラント:カナダ軍向け捜索救難型。
  • MCH-101:海上自衛隊の掃海・輸送用機。11機導入予定。
  • CH-101:しらせ艦載機。3機導入。
  • VH-71アメリカ海兵隊の次期大統領専用機「マリーンワン」(旧名称US101)。
    27機導入予定だったが、2009年6月に開発契約を破棄。
    詳しくは該当項目を参照のこと。

参考リンク:http://www.agustawestland.com/products01_01.php?id_product=7

http://www4.plala.or.jp/klesa108/temp/oozora1.jpg
おおぞら1号


*1 コチョウゲンボウの意。
*2 エンジンが多いため、稼働率や維持コストの面では不利だとされている。
*3 フライバイライトの採用も計画されていたが、実用機には採用されていない模様。
*4 BERPローターは非常時のオートローテーションが難しいため、安全性に対する要求が高いとする説がある。
*5 コミューター路線や北海油田へのアクセス用などでの活用が考えられていた。
*6 川崎重工にてライセンス生産予定。
*7 結局S-92がCH-148として採用された。

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