【AS-14】(えーえすじゅうよん)

旧ソ連のモルニヤ設計局?が開発した、現在ロシアを代表する空対地ミサイルのひとつ。
NATOコードでは、AS-14「ケッジ*1」、ロシアではKh-29と呼ばれている。
本ミサイルは1970年代半ばにソ連のSu-24M「フェンサー」Su-17「フィッター」MiG-27「フロッガー」攻撃機用に開発されたミサイルである。
なお、AS-14を設計したモルニヤ設計局?は元々ロシアを代表する空対空ミサイル専門の会社で、空対地ミサイルを設計した事は珍しい。

(Kh-29Lの場合)誘導方式はセミアクティブレーザー誘導でミサイル発射母機・他の支援航空機・地上部隊からの照射でターゲットを捕捉し攻撃する。
攻撃目標は主に、戦車のように堅固な目標であるが、艦船・地上施設への攻撃も可能である。
ただし実際にはCEPが3m〜7mであることから、コンクリート陣地や航空機用強化ハンガーなど固定物を目標とするのが望ましい。

1980年代に量産化が開始され、射程も8〜10Km(後に後期型は3〜30km)と短いが、その分、弾頭重量は317kgと多く、HE成形炸薬弾頭を搭載するため破壊力は十分大きい。

現在は多くのバリエーションがあり、ミサイル自体を大幅に改良した為MiG-29「フルクラム」Su-25「フローグフット」にも搭載出来るようになった。
輸出の方もイラク・インド・アフガニスタン・ウクライナ・北朝鮮・ベラルーシ・ハンガリー・旧東ドイツ・カザフスタン・シリア・ブルガリア・ルーマニア・ポーランド等への輸出実績がある。

Kh-29.jpg

Kh-29T Photo: IAF(Indian Air Force)HP

主な搭載機

スペックデータ

全長3.87m
直径38cm
翼幅1.07m
発射重量660kg(Kh-29L)
680kg(Kh-29T)
射程2〜10km(Kh-29L)
3〜30km(Kh-29T)
飛行高度200〜10,000m
推進方式固体燃料ロケットモーター
エンジンNPO Soyuz製ロケットモーター
弾頭HE 成形炸薬弾
弾頭重量320kg
誘導方式セミアクティブレーザー誘導(Kh-29L/ML)
TV誘導(Kh-29T)
パッシブレーダー誘導(Kh-29MP)
画像赤外線誘導(Kh-29D)

主な種類

  • Kh-29L "ケッジA":
    セミアクティブレーザー誘導型。射程8〜10km。ただし誘導性能は低い。

  • Kh-29ML:
    L型のアップグレード型。

  • Kh-29T "ケッジB":
    TV誘導型。
    パイロットが12度×16度の視野を持つTV画像シーカーで攻撃目標を選定できるようになっており、さらに2.1度×2.8度のズームアップも可能である。

  • Kh-29D:
    Kh-29TのTVシーカーを熱画像シーカーに変えた、画像赤外線誘導型。

  • Kh-29MP:
    パッシブレーダー誘導型。
    Su-17に搭載され、SEAD任務に使用された。

  • Kh-29TE:
    TV誘導型。
    射程は最大30kmでKh-29ファミリーでは最新型にあたる。


*1 Kedge:投げ錨、もしくは投げた錨を手繰り寄せることの意。

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